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サラリーマンもインボイス制度で事務仕事が増える? 「FAX現役の日本」で、未来の道具を考えてみた話

「インボイス制度って結局なにが大変なんですか?」

そんな質問が商工会議所でも税理士さんでもなくうちのような文具店に届く。
それは去年に書いたこんな記事が原因だったりする。

商工会議所での勉強会に参加して学んだ内容をnoteにまとめた記事は、3万PVを超える数値を叩き出し、たくさんの人に読んでいただいた。
でも、前回はあくまで「小さなお店」にとっての話をしたけれど、今回触れたいのはもっとたくさんの「会社に勤める人たち」にとってのインボイス制度の話だ。

というのも、実を言えばインボイス制度は「消費税を免税されている売上1000万円未満の個人事業主や会社」だけでなく、確実に「会社で経費処理をするサラリーマン」にこそ事務処理負担として関係してくるのだ。

というわけで、今回は「サラリーマンにとってのインボイス制度」という切り口で、私の考える「未来に予測される事務処理」を皆さんに共有したい。
もちろん、インボイス制度への登録を考えている個人事業主や会社さんにも関わる話だ。

インボイス登録番号を「確認する」って?

インボイス制度において、サラリーマンとして自分が今も働いていたとして、一番めんどくさいと感じることはなんだろうかと思った時に思い浮かぶのが「インボイスの登録番号の照合作業」だ。

インボイス制度が2023年の10月から始まると、インボイス制度に登録しているお店で食事をしたり、お買い物したときには、Tを頭につけて始まる13桁の番号が領収書やレシートに記載される。
これがインボイスの登録番号というもので、すごくすごく乱暴にざっくり言うと早い話このインボイスの登録番号が領収書に載っていないと、その領収書を経費精算に使ったときには、インボイスの登録番号が載っている領収書の経費精算を比べた時、勤めている会社の消費税の支払金額が増えてしまう。

ここまでは簡単な話だと思う。
要するに領収書にTから始まる13桁の番号がのっていたらいいんだなって理解できるだろう。
でも、例えば。
この番号が嘘だったり、間違って印刷されていたらどうだろう?

そんな時のために、この制度にはきちんとルールが決められている。
それは領収書の発行を受けた側が「その領収書を発行したお店や会社が正しい番号を掲載してるか、上のサイトで検索して確認してね」というものだ。

これがなかなかにやばい。
領収書が発生するたびに、このインボイスの登録番号13桁を間違いなく入力して、領収書に記載されている会社が本当にインボイス制度に登録しているのか確認しないといけないというのだ。
ただでさえ金額や日付、勘定科目等を入力しているだけでも大変だというのに、そんな作業をしていると事務作業はえらいことになる。

そしてこの「確認作業」こそが、サラリーマンとして働く人達がインボイス制度から一番影響を受ける部分だと言える。
こうなってくると対処方法は下記のいくつかになってくると思う。

①経費精算をする時に、経費を処理する社員が自分でインボイス登録番号をその都度サイトで検索して確認する。
②経費精算を全て経理担当者に任せているので、経理担当者のインボイス登録番号確認作業が負担となって押し寄せる。
③確認作業を外部の会社やシステムに委託して処理してもらう。

どうだろうか。
①だと経費処理のたびに作業負担が上がってしまうのが目に見えてつらい。
②だと、経理担当者の方のしんどさを想像しただけでもつらい。
となると、③をできれば使いたいところ。
実際に、インボイス登録番号の照合を代行してくれるようなサービスも生まれているようで、クラウド系の会計サービスもきっと対応するようになるのではないだろうかと推測される。

そもそもこうなってくると、紙のレシートや領収書では、番号をわざわざデータ化するのは非効率。
そもそもデータで領収書を発行してやりとりするのが当たり前な世の中になる!


……
そう……
「いつか」はなると思う……

けど、思い出してほしい。
いまだに発注書などをFAXでやりとりしているのが日本だ。
学校のお知らせも「紙」媒体で行ってるのが日本だ。

本当にすぐに紙の領収書やレシートはデータに移行してなくなるだろうか?

個人的にはそんな未来はすぐにやってくると思えない。
そんな前提を元に、今後の領収書の処理の流れを私なりにサラリーマン経験を加味して予測しようとすると、ここで一つ大切なレシート関係の制度変更が思い出される。
それが「電子帳簿保存法の改正」だ。

電子帳簿保存法の改正後の世界

2022年からある一つの制度改正によって大きな変化が生まれた。
それが電子帳簿保存法の改正という、インボイス制度ばりに馴染みがなさそうな制度の登場だ。

クラウド会計サービスを展開するfreeeさんとomocoroさんの上の記事を見ていただくと(タイトルだけで)わかるように、きちんとシステムを使用して領収書をスマホのカメラでスキャンしてデータ化すると、領収書やレシートを捨ててしまってよくなったのだ。

これまでは意地でも7年間は原本を保存しなければならなかったのが、この制度改正によって領収書をデータとして保存できるようになり、リモートワークを取り入れている会社の社員にとっても、領収書原本を会社に郵送したり、出社して持っていったりという手間をなくすことができるようになった。

過去にはスキャナでないと認められなかった領収書の電子化も、スマートフォンのカメラの進化によってスマホアプリを使用したカメラでのスキャンも認められるようになった。
更には、OCRと呼ばれる「写真から文字を読み取りデータ化する技術」もどんどん進化しており、領収書をカメラでスキャンするだけで、日付や金額、勘定科目まで推測して入力補助をしてくれる時代に突入している。
こういった機能は家計簿アプリなどでも身近になりつつあるので、使ってみた方もいらっしゃるのではないだろうか。

ここでもう一度思い出して欲しい。
「インボイス登録番号」も領収書に記載されるわけだ。
ならば、このOCR機能によって13桁のインボイス登録番号を読み取ってしまえば、事務作業は圧倒的に減らすことができるようになる。

電子帳簿保存法は単体であれば、領収書の紙保存をなくせるというメリットが中心となるため「別に導入しなくてもいいか」と判断されている会社も沢山あることと思う。
しかしながら、インボイス制度が2023年から始まれば、「インボイス番号の確認作業の効率化」と結びついて重要になってくるのではないかと私は思う。

領収書をスマホでデータ保存する時代に何が起こるか

さて、領収書をスマホのカメラでスキャンしてデータ化し、紙の領収書を棄ててしまう時代になった時に何が起こるか。
なんだかちょっと近未来的でわくわくする反面、個人的に気になってくるのは「領収書データ化のクオリティをどうやって保つのか」といったすごく現実的なことだったりする。

なんせ撮影した写真がきちんと経費精算をしているかどうかの証拠となるのだ。
大事なところが指で持っていたがために隠れてしまったり、スマホや自分の影が写り込んでしまったら、きちんと証拠としてのクオリティを保てないかもしれない。

そもそも領収書はグチャッとしてしまいがちだ。
油断してポケットに入れた日にはもう、頑張って伸ばしても立体的に盛り上がってきたりする。
こうなってしまったが最後、なかなかきれいに領収書は撮影できない。
また、クリアホルダーを使ってレシートを伸ばして撮影すると、指も写らないし便利なのだけど、天井照明が反射して白い点として写り込んだりして、なかなかストレスになることもある。

このように、電子帳簿保存法に対応すると、レシートの原本があればなんとかなるという現状が、写真のクオリティによっては証拠書類とならない可能性もあるため、これまで以上にきれいにレシートを読み取る必要性が出てくると考えられる。
そうなってくれば、会社でもしっかり領収書を撮影できていないと怒られるし、気軽にスマホでスキャンといった楽そうなイメージが薄れてくる。

そんなことを寝ても覚めても考えていたら、いつのまにかレシートをサッと美しく撮影できる道具を作ってしまっていた。
領収書を低反射タイプのシートで挟み、机が散らかっていても斜めに傾けて撮影ができる道具だ。

日本で初めて透明デスクマットを開発・販売した老舗メーカーの製造する低反射シートを使用することで、天井照明の反射もこの通り。同じ環境下でライトで照らしても反射を最低限に抑えてくれる道具だ。

そしてそんな道具を実際に作るためにクラウドファンディングまで始めてしまった。
もちろん、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正は全て事実をベースにお話しているけれど、その後に訪れるかもしれない会社の動きはあくまでも予測だ。
もしかしたらこうはならないかもしれないし、他の会社は導入してもあなたの会社は違うかもしれない。

けど、インボイス制度について記事を書いて、少しでも誰もが楽に経費精算をしていけるようにする方法を考えていたら、新しい文具を気づけば作っていた自分がいる。
もし、あなたがこのnoteを読んで、やってきそうな未来の事務作業のことを考えてみて、この未来の道具「レシートスキャンボード」が必要だなと思ったら、ごしえんいただければ嬉しく思う

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