箱ティッシュを2つランドセルに詰めた私が興奮した「エチケットに満ちた財布」の話
「へっくしょん!」
小学五年生の春。
私は謎の奇病におかされた。
「へっくし!、へっくし!」
風邪をひいたわけでもないのに、くしゃみがとまらず、鼻水は垂れ流し、涙が溢れ出る。
学校のクラスの友達はその様子を大笑いしながら見ていたことを今も覚えている。
当時、まだ一般的ではなかった『花粉症』。
流行前に勝手に飛びついてしまったらしい。
いや、身体よ。そんな流行捕まえなくてもいい。
とんだアーリーアダプターだ。
ポケットに詰め込んだポケットティッシュは早々になくなり、為す術もなくした私は、私は勉強道具を学校の机に全て詰め込み帰宅した。
明日は箱ティッシュを2つランドセルに入れて登校するために
・・・
時は20年以上流れて現在。
インスタグラムを眺めていた私は、メーカーさんのある投稿を目にして驚愕した。
「な、なんやこれ! 素晴らしい!」
ETIQUETTE WALLETと名付けられたその商品。
名前の通り、お財布なのだが・・・もちろんそれだけではない。
ポケットテッシュが出せるのだ。
大切なことなので、もう一度言う。
ポケットティッシュが出せるのだ。
なぜこんなに興奮したのか。
今思えばそんなに興奮することでもない気もするのだけど。
見た瞬間確かに身体を電気がかけぬけた。
花粉症のアーリーアダプターである身体が・・・だ。
メーカーさんである「ANDNUT(アンドナット)」さんの投稿には食い気味に「これは素晴らしい!」とコメントしてしまうぐらい興奮していた。
その後、実物がお店に届き、お客様に販売するにつれてその良さの輪郭が見えてきた。
まずは外見。
ベージュ、ブラック、カーキという三色カラーでナイロン製。
アウトドアを強く連想させる出で立ちで、タフに使うことができそう。
ジッパー部分には止水ジッパーを使用。
ちょっとした雨に濡れても大丈夫だろうし、アウトドア感を更にアップしてくれている。
WALLETというからにはもちろん財布なのだけど、このシンプルな構造の中で実にうまいことできている。
お札も小銭もしっかり入るし、カードも15枚ぐらいはバッチリ入る。
たくさん入れても分厚くならないのもポイント。
大きめのポケットに入れてシンプルに持ち運ぶことができる。
サイズ的にはパスポートがピッタリ入るサイズなので、旅先での財布としても活躍してくれるだろう。
そして
ポケットティッシュが出せる!
実際使うと、正直止水ジッパーがしっかりしすぎていて出しにくい気はする。
財布を開ければ普通にティッシュは取り出せるのだ。
じゃあポケットティッシュ用のジッパーはいらないんじゃないか。
そう思いがちだろう。
ただ、それは違う。
この道具の姿勢として
「おれはポケットティッシュの出せる財布なんだ」
という主張。
財布と使い主とのコミュニケーションが発生するのである。
お前は普段忘れているかもしれないけど鼻炎持ちで、花粉症持ちなんだ。
地震が起きたときにはもしもの時に誰もが備える。
けれど、本当に大事なのは日常の中での備えなんだ。
いつ鼻水がたれてくるのか。
いつ花粉症が発症するのか。
いや、珈琲をこぼすこともあるし、ガムを吐き出したい時だって不意に訪れる。
誰かティッシュを必要とする時に、さっと取り出すこともできるだろう。
ワインボトルのラベルはフランスで「エチケット」と呼ばれることを知っているか?
「エチケット」はもともと「荷札」という意味だったんだ。
それが宮廷に来た不慣れな人が、どういう礼儀作法をとったらいいかとかが記載された札を指すことだったことから、宮廷儀礼の意となり、今使われる意味になっているんだ。
昔のフランスの人が札を見て礼儀作法を導かれたように。
お前は財布を手に取るたびにこの話を思い出すだろう。
そして、男として、人としての礼儀を守ろうと思うことだろう
・・・おっとあぶない。
この財布に記事を乗っ取られそうなぐらい話をしはじめましたね。
でも、このティッシュ用のジッパーはこのまえ拝読したばかりなんですが、さとなおさんの『一見無駄に見える「エビフライの尻尾」がクリエイティブにおいては大切だという話にもつながる気がしています。
ただ、ポケットティッシュをいれるポケットが付いているだけの財布
それだったら私はこんなに胸を踊らせることはなかったように思います。
大阪の十三に拠点を置くANDNUTさんは本当にえらいものを作り出されました。
鼻炎の人
花粉症の人。
エチケットのある素敵な大人になりたい全ての人におすすめです。
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