『おろしたてのノートの気持ちよさ』をいつまでも。 ハードカバー”だけ”をプロダクトにした話
ノートをうまく使いきれた試しがない。
小学生の頃から手にとってきた紙のノートという存在。
色とりどりのペンを使いこなして授業の内容をまとめる同級生。
塾の先生がすすめる数学の課題を解く力をつけるためのノート使用法。
ビジネスパーソンにひらめきを与えてくれるノートの使い方に関する書籍。
かのレオナルド・ダ・ビンチも、様々な内容をノートにメモしまくっていたというのに、自分と来たらろくな使い方ができていない。
そもそも字が汚い。
おまけに、鞄の中にノートをごちゃごちゃに突っ込みがち。
それでいて思いついた時にすぐメモをとりたいものだから、整理用のポーチやケースにノートを入れておくという使い方も肌に合わなかった。
そんな自分が文具屋をはじめた。
ノートを使う楽しさをお客さんに伝える時にも、そのノートへのコンプレックスが影響を与えている。
実際、卓越したイラストを描いたときの映え具合だったり、複雑な使用方法よりも、使うときの便利さだったり、表紙の美しさによるモチベーションを軸に商品をセレクトしてきた。
そんな私が、クラウドファンディングで「ノートカバー」を作ることになった。
そもそも、お店のオリジナルアイテムを作るとしても「ノートカバー」だけはないなと思っていた。
そんな私が作るのでもちろん、アーティストとコラボした素敵なイラストや、ノートに卓越した機能性をもたらすような工夫・・・には走っていない。
目指したのは「おろしたてのノートをいつでもいつまでも」という使用感。
今回はそんな不器用気味の店主がクラウドファンディングにチャレンジしている新しい「ノートカバー」の話を紹介させてほしい。
ノートは新品おろしたてが一番アガる
ノートを使っていて一番モチベーションが高いタイミングはいつなのだろうか。
そう考えた時、「新しく買ったノートを使い始める瞬間」は結構多くの人から賛同を得られるのではないかと思う。
折れ目も汚れもなく、シュッとした状態のノートにあれやこれやと書き込んで、これからのことを思い描いたり、アイデアをまとめたり、旅行プランを練ったり・・・。
新しいノートには、人生の節目をワクワクさせてくれる効果があると私は思っている。
でも「新しい」という価値は、なかなか長続きしない。
ノートは書き込めば、ページが埋まっていく。
美しい表紙も、雑に鞄に放り込んでしまえば傷つき汚れてしまう。
それももちろん「味」として楽しめるものなのだけど、せっかくならあの新しいシュッとした状態が長続きしないものか・・・。
そんなことを考えていると、ノートという物自体が「防御力の極めて低い物質」として見えてきた。
もちろん、防御力の高いノートだって存在する。
ハードカバータイプと呼ばれる、しっかりとした表紙に守られたノートであれば、中身がしっかり守られた状態で持ち歩ける。
でもなかなか普段使いできるような価格帯ではないし、書き心地だって結構限られる。
そんな時にふと、「ハードカバーノートのカバーだけ」って見たことない気がする・・・と気づいた。
内側に簡単なポケットをつけて、表紙を差し込むだけで、様々なノートが入れられる。
持ち運びの際はゴムバンドをひっかけてしまえば、ノートが外れてしまうこともないし、中のページが勝手に開いてぐちゃぐちゃになってしまうことも防げる。
おまけに、好きなブランドの好きなノートを入れられて、用途に応じて付け替えたってそんなにコストがかからない・・・。
ノートカバーだけを作ってる会社ってなかなかないし、ノートを作っている会社にしても、ハードカバーだけを売ってしまった時に、お客さんが自社のノートを入れて使ってくれるかわからない・・・。
でも文具店が作るのなら、どのメーカーのノートを使ってもらっても構わないし、むしろお客さんに楽しんでもらえる。
たぶんそんな理由で残されていた空白地帯をたまたま見つけてしまったことから、クラウドファンディングをしてみたら面白いのではないかということでプロジェクトがスタートした。
スマホの時代に求められる、ノートの携帯性
いまやスマホでなんでもできる時代。
確かに紙のノートには、いろんな画材が使えたり、広いスペースに考えを感覚的に書きなぐったり、充電が必要なかったりと様々なメリットがあるとはいえ、文具が好きな私でさえもあまり嵩張らないほうがいいなという気持ちはある。
だから、このノートカバーでは思い切って、入れられるノートの厚みを「5mm」程度に制限した。
ページに換算すれば60ページ程度のノートしか収まらない仕様については、結構悩んだ。
もちろん、差し替えることのできるノートの厚みを1cmとかまで広げたほうが、対応可能なノートは増える。
いろんなメーカーのいろんなノートが入れられて、お客さんのノート選びの「選択肢」は増えることは間違いない。
ただ、薄くて軽くて硬いノートという、ノートカバーを装着して見たときの感触は何者にも変えがたかった。
持った瞬間、ノートを使い慣れている人であればすごく違和感を感じると思う。
そして、鞄に入れる時に「薄くて軽くて硬い」ってこんなに取り回しがいいんだと気づいてもらえると思う。
iPad proでだいたい6〜7mmの分厚さがあるけれど、それとほぼ同等で重さは軽い。
この頃のリュックサックは、タブレットやノートパソコンの持ち歩きのことを考えてスペースが設計されていることも多いので、そのスペースに放り込むことだってできる。
もちろん、ごちゃごちゃしがちなリュックのメインスペースであっても、しっかり中のノートを守ってくれるだけの強さもあるので、ハードカバーという昔ながらのアイテムなのに「現代に対応している」ときっと感じてもらえると思う。
いつもいつまでもおろしたてのノートを使う気持ちよさを
冒頭でもお話したように、当初私は、ノートカバーだけはお店でオリジナルアイテムとして作る気はなかった。
それは、ノートカバーという存在が、ノートの付属品としての価値しか持たず、ドレスアップする程度のものなのであれば、ノートそのものがかっこいいものを裸で使ったほうがいいと思っていたからだ。
ただ、2020年夏に裸で使っていた私のi Phone8がバッキバキになってしまったように、防御力の弱いノートを裸で持ち歩くのは、ノートを消耗させてしまうことにほかならないのも事実だ。
そんなノートの機能性を補う形で「付け替えられるハードカバー」は誕生した。
そして、クラウドファンディングという形で2020年の10月末まで、皆さんのお眼鏡に叶うかを試しています。
皆様からのご支援を得て、プロジェクトは10/1 18:30から初日で20万円という最初の目標地点を超え、1週間経った現在、283名の皆さんから60万円以上のご支援を頂いております。
ぜひnoteを読んで気になった皆様も、1000円台で送料無料かつ10%オフで手に入れていただけますので、この機会に何卒ご支援を頂ければと思います。
もちろん、ご支援が難しい皆様もいらっしゃるかと思います。その皆様にはぜひSNSでシェアを頂ければ泣いて喜びます。
どうぞこの「ありそうでなかった、付け替えられるハードカバー」の挑戦をあたたかく応援して頂ければ幸いです!
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