映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』を観ました
マッツ・ミケルセン主演の『ライダーズ・オブ・ジャスティス』がアマプラで配信されていたので観ました。
マッツをはじめとした魅力的なキャラクターたちが切り開く、独特で深みのある復讐アクション映画。観てよかった!
公式サイト:
https://klockworx-v.com/roj/
直接的な言及は避けてますが、以下、映画のネタバレを含みます……!
魅力的なキャラクター
「理系おじさんトリオ」がまず印象に残っている。
変わり者で独特のこだわりを持っている理系の(いわゆる陰キャな)三人組。
それぞれ問題やトラウマを抱え、人間の弱さや脆さを象徴する一方で、愛らしい印象でコミカルな安心感を与えてくれる存在だった。
一方で、主演のマッツが演じるマーカス。
淡々と怒り
淡々とキレて
淡々と暴力を振るい
そして淡々と敵の命を奪う
力強さと恐怖の印象を与えてくる。
淡々と話すので、セリフこそ少ないものの、その圧倒的な存在感に魅了される。ハードボイルドおじさん。
物語の終盤、行き場のない怒りを淡々と発散した末に発する「怖いんだ……」というセリフと涙は、彼の外面の力強さとは裏腹に、内面に突き刺さる痛みを表現していて、強く心に残った。
とにかく、愛らしいキャラクターたちと、マッツの演技力が存在感際立つ映画!
異彩を放つリベンジストーリー
ストーリーは暗く陰鬱な空気感はあるが、上述したキャラクターたちのポップでコミカルなやり取りでテンポよく展開する。
独特なユーモアでクスッと笑えるシーンや、バイオレンスなアクションシーンが随所に散りばめられていて、観ていて飽きない。
また、よくある、悪い奴らをやっつけて復讐だ! という構造のリベンジストーリーだが、さらにひねりを加えて深みを出している。
母の命を奪った事故の前に起きた出来事を辿って、一つの原因を突き止めようとするマーカスの娘に対し、
理系おじさんがカオス理論や不確定性原理を取り入れて、運命論を語るシーンが印象的だった。
未来は全く予想できない。人生は何が起きるかわからない。
起きた事象の原因を見つけても、その以前の出来事も含めて全てが予想できない小さな出来事の結果であるという現実を指摘し、人間の無力さと運命の残酷さを語っている。
それに対する「それでも私は、(残酷な運命を決定づけた人を)見つけて、とっ捕まえたい」という娘のセリフは、切実な思いを表現している。
このセリフは虚しさを孕んでいる一方で、人が悲しみを乗り越えて生きようとする強さの象徴であると思った。
とにかく、人の弱さや無力さに対する愛が伝わってくるストーリー!
タイトル「Riders of Justice」
邦題は原題を英語に直訳したもので、
これは主人公たちの復讐仇であるギャング組織の名前でもある。
これは主人公たちの行動を風刺する皮肉な言葉遊びであると思う。
悲しみやトラウマ、後悔を乗り越えるため、盲目的に復讐に燃える主人公たち。
自分たちが作り上げた正義に乗っかり、押し通ろうとする主人公たちの姿が、皮肉にも悪辣非道なギャングたちに重なる。
物語は、クリスマスに自転車をプレゼントされた少女が、雪景色の中、その自転車を漕いで喜びを表現するシーンで幕をとじる。
自分の幸せの裏で誰かが悲しんでいることを露知らず、自転車を漕ぐ少女。
彼女もまた「Riders of Justice」なのだと思う。
自分たちの幸せという正義に乗っかって盲目的になっていないか、という人生に対する問いかけと、
それもひっくるめて愛そう、というメッセージを感じられるシーン。
個人的推しポイント
仕事熱心な父と年頃の娘がドギマギしながらも心を通わせる家族ドラマ
たまに出てくる、ジョークなのかわからないジョーク。笑えばいいと思うよ
おじさんのお尻
おじさんが殴られたあとの鼻息
500から逆に数えろ、そうすれば眠れる
クリスマス仕様のマッツ
魅力的なキャラクターとストーリーが印象に残る、感動とユーモアの映画でした!
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