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ボケとツッコミ。どちらのタイプ?

社会人になるまでは、どっぷり関西で過ごしたため、昭和50年代、60年代初頭までは、関西のテレビ番組をくまなく見ていた。土曜の昼にやる吉本新喜劇も、毎朝起きたらやっている「おはよう朝日です」も、学校開始ギリギリまでラジオで聞く「ありがとう浜村淳」もほぼ日課のように視聴していた。中でも上岡龍太郎が司会をする「探偵ナイトスクープ」「ラブアタック!」「鶴瓶上岡パペポTV」は欠かさず見ていた。そんな上岡龍太郎が、58歳の2000年であっさり引退する。探偵ナイトスクープの司会も辞めた。どうせまた出てくるのでは?と思っていたが今となっては20年経ち、横山ノックの葬式で見事な弔辞を読んだ時以外は、公の場に姿を見せず完全引退である。なお、上岡龍太郎の横山ノックの弔辞はとても素晴らしいものであった。ウイットに富み、笑いあり、涙あり。こんな弔辞を読んでもらう横山ノックは幸せだ。

そんな上岡龍太郎が、なぜこんなに早く引退するのか?というインタビューで面白い話をしている。ノックさんや坂田利夫さんはボケ。ボケは歳をとってひな壇にいても、若手にいじられるので可愛い。一方で、ツッコミは歳を取るとキツい。時代からズレてしまい、昔受けていたのに受けるどころか、聴衆にうんざりした感覚を与える。ボケは寿命が長いが、ツッコミは短い。だから早く辞めるのだ。

この話は、非常に含蓄が深い。なぜなら経営者やマネジメントにも「ボケ」と「ツッコミ」型があるのではないかと思うからだ。経営者になるくらいだから、若い頃は洞察力鋭く「ツッコミ型」であると思うのだが、そのまま「ツッコミ型」で行く人と、「ツッコミ型→ボケ型」に切り替えられる経営者もいるように思う。

早稲田大学の入山先生の著作に、新規事業をやる時は、「チャラ男」と「根回し親父」が必要と書かれているが、私も全く同感である。チャラ男だけだと組織で浮いてしまうが、それをシニアのマネジメントが、あたたかく守ってやることが必要だからである。

わかりやすい例を一つあげると、プレイステーションを世に出した当時の久多良さんは「チャラ男」、それを見守った丸山茂雄さんは「根回し親父」ということになる。

丸山さんもソニーミュージック内で、Epic Sonyを創業し、アンティノスレコード、アニプレックス、Zeppといった数々の新規事業を立ち上げてこられたわけだから、若い時は間違いなく「ツッコミ型」「チャラ男型」であるはずなのだが、何処から切り替えてらっしゃるのだなと感じる。

このように、「ボケ」と「ツッコミ」、「チャラ男」と「根回し親父」どちらも揃わないと、会社はうまくいかないのかもしれない。洞察鋭く行動力のある「ツッコミ型」も実は「ボケ型」の手のひらで泳がされているのかもしれない。

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