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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-2

社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-2)
人の管理とは、命令や指示をすることだけをいうのではない。従業員一人ひとりのモチベーションを高め、自ら率先して動くように仕向けることである。それには、会社の目的や理念を理解し、全員が一体として同じ方向に向かって動くようにすることである。
まず、社長自身が会社の目的や理念を明確に理解していなければ、社長の背中をみている従業員には伝わらない。当社の存在意義はどこにあるのか、一般的には顧客、従業員、そして広く当社を取り巻く社会全体に対し貢献していくことであることは間違いない。顧客や従業員、そして社会に役に立たなければ存在意義はなく、誰からも支持されることはない。
 
従業員が育つ会社には共通点がある。共通点は何かというと、社長が従業員に仕事を任せることができるか否かにある。一方、従業員が伸び悩んでいる会社の社長は、社長がやらないでよい仕事まで社長自ら行っている場合がみられる。小規模会社の社長は当社の仕事はオールマイティであり、できるのは当たり前である。やったことのない従業員にやらせるよりも自らやってしまうほうが早いし間違いない。しかし、このようなことを続けていれば従業員は育たない。
従業員を育てることがうまい社長は、まず従業員に任せることから始める。任せる以上は口を出さず、一通り終わってから注意点があれば指摘する。
 
できる社長は、「仕事上におけるすべての責任はトップである社長にある」ことを理解している。しかし、中には自らの責任を棚に上げて従業員に押し付ける社長もいる。業務上で起きるすべての責任は業務のトップである社長にあることを自覚しなければ同じ過ちを繰り返すことになる。また、公私混同が甚だしい社長を見受けることがあるが、できる社長の行動や考え方には見習うものがある。
ある会社の例であるが、社長は仕事上でかなり厳しく従業員はいつもキリキリしている。しかし、一旦会社から離れると飲み会や食事会などでは人が変わったようにやさしく接する。これが本当の社長の姿であると感心させられる。まさに会社での業務中は真剣勝負であり、仕事から解放された時とはけじめをつけている。そんな怖い社長でも従業員は畏敬の念を持ち慕っている。このような関係を築けるのも社長の人格、資質に対する従業員の信頼度があるからである。
 
社長の肩には従業員、その家族、そして取引先や顧客、大げさに言えば社会全体が寄り添っているのである。社長の使命は会社の健全化と安定性を持続させることであり、何よりも資金繰りの安定化と従業員のモチベーションアップに取り組まなければならない。

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