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命の選択

私が難病のALSと診断されたのは 2019年1月ですが、時を同じくして癌と診断された女性がいました。

彼女は同じ会社の後輩です。
勤務先は違いますが、検査入院することは伝えていたので退院前に会いに来てくれ、そこでお互いの病気を知ったのです。

ALSは次第に自分で体が動かせなくなる病気です。
自発呼吸もできなくなるので、進行が早ければ発症してから 2~5年で呼吸不全になります。
人工呼吸器を装着すれば延命できますが、それなりの覚悟が必要です。

病名は違がいますが、お互い余命宣告されたわけです。

二人とも仕事は続けましたが、病気が進行し働けなくなった私は2020年1月から休職し、在宅療養に入りました。

その夏に京都のALS患者嘱託殺人事件が報道された後、地元のテレビ局から同病患者として取材を受けるようになります。
ニュースで放送されるたびに彼女は細かいことを見つけてダメ出しのLINEをしてくれました(笑)

彼女の癌は増殖スピードが速い悪性の乳癌でした。
「悲観して過ごすよりできるだけ笑って過ごしたい。今できることを精一杯やって楽しく過ごしたい!」と言って抗がん剤治療は途中で止めてしまい、乳房切除もしませんでした。

仕事もセーブしながら続けてましたが、2021年1月の中頃になって仕事を休んでいると知りLINEをすると、数日してから「大丈夫ですよ」と返信が来ました。
でも その後は既読はつくけど返信は来なくなり、やがて既読もつかなくなります。

そして2月11日、私より先に逝ってしまいました… 
まだ40歳でした。

亡くなる 4ヶ月前には家に来てくれたんですが、あれは別れの挨拶だったのでしょう。

マツカナちゃん

彼女が亡くなった後、継続取材された内容が1時間のドキュメンタリー番組となり放送されます。
それはTSKさんいん中央テレビが制作した『命の選択~ALSとの闘い~』で、その年「第30回FNSドキュメンタリー大賞」で大賞を受賞しました。

今となっては叶わない夢ですが、彼女にも見てほしかったです、そしていつものようにダメ出ししてほしかったです…

余命宣告をされた後、何を選択し どう生きるかは人それぞれです。

私は2021年の冬には自発呼吸が弱くなり、マスク型の人工呼吸器が外せなくなりました。
既に体は動かせなくなり寝たきりでした。
目は見えるし耳も聞こえますが、構音障害と嚥下障害が出ており、喋ることも食べることも思うようにできません。
視線で操作する意思伝達装置で気持ちを伝え、胃ろうから栄養剤を注入していました。

  
「もうすぐ死ぬのか」「まだ死にたくない」「このまま生きていてもいいのか」「死んでたまるか」「いつ死ぬか分からない」「生きてやる」「こんなことなら死んだ方がマシ」「生きてて良かった」
ALSになってから何度も頭をよぎります。

ALS患者の7割の方は気管切開の手術をしてまでの人工呼吸器の装着はしません。
迷いましたが、私は2022年10月に気管切開の手術を受けました。
今は重度訪問介護サービスを利用し在宅療養を続けています。

あなたが癌やALSになったらどうされますか?
何を選択し残りの人生を過ごされますか?

今は他人事だと思いますが、そのうち私のようになるかもしれません。
どうか今 生きてることの全てを大切になさってくださいませ。


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