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しまい ひらく


健康診断でせっかく新宿へ行ったので、終わってから久しぶりに新宿御苑へ。
新宿駅南口から新宿門までなら歩いて10分ほど。天気もいい。

かなり前だが、新宿御苑は好きすぎて年パス持ってたほど。その頃は時間があったのと、比較的行きやすい場所に住んでいたからだと思う。
どのくらいぶりかもう分からないけど、入園料が200円から500円になっていて驚いた。と言うことは他の都の公園も値上がりしてるのかしらん。まあでも一連の影響で一時期閉園してたし、維持費を考えたら仕方ないか。

平日だというのに結構人がいてこれまた驚く。ちょうど紅葉も綺麗で見ごろ。
以前と違うなあと感じたのは、あちらこちらで個人が撮影していて、YouTube用かしらん。韓国の女の子集団が撮影しながらゾロゾロ居たけど公園を楽しんでる様子ではなく、なんだかなー。
御苑あるあるの幼稚園児集団も居たし、大学生くらいの団体も何やら円陣組んでやってた。お子さん連れのママさん集団も居たり、老夫婦がお散歩してたり。人が多いと言っても広いので、密になる事はないからみんな好きな場所で楽しんでる。


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新宿御苑が好きな理由の1つに、とても大きな樹が多いこと。整備はされてるけど、自然のまま残されてる。

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池もあり、魚も鳥もいる。

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そしてここでもキラキラ。光が跳ねて楽しい。

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ここにいる樹たちは、都心では珍しくなんか生き生きしてるのだ。自由というか。

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遊んでるしー

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沢山の種類の樹がいる。

とにかく広くベンチも沢山置かれてるし、芝生エリアも幾つかあってそこでゴロンとするのも気持ちいい。動物不可なので裸足でナニカを踏んでしまう心配もない。
ぐるっと一周するだけでも結構歩けるのだけど、この日は健診疲れで周回はやめてお気に入りの場所へ。



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千駄ヶ谷門近くに桜エリアがある。

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春になるとこの辺り一面がピンクに染まり、本当に綺麗だ。
でも私は秋から冬のこのエリアも好きで、年パス持っていた頃は先ずここへ来ていた。

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出入りの多い新宿門とは違い、桜シーズン以外は比較的人通りが少なく、ここから更に奥は原生林に近い形で残されてる所もあり静かな空気が漂う。
当時先が見えなくて何したいのかも分からなくて、行き場のない思いを抱えてはここに来てボーッとしてた。あったかいお茶とおにぎり持って、ぐるぐるにマフラー巻いて何時間でも座ってられた。
花満開のきらびやかを終えた桜樹たちは、次の芽吹きの準備のために葉を落とし土に潤いを与え、ひゅるひゅると吹き付ける風に抵抗することもなくその流れと共に枝を泳がせ自由に遊んでいた。私にはその枝だけの姿で戯れているほうが愉しそうに見えた。
人の話し声もなく、ただ風の音と枝が触れあう音だけの世界。ゆっくりと巡りゆく時を自然のまま成るがままに揺られ会話してるかのようなその現れは、淋しさなどではなく、凛として美しく、かと思えばやわらかくしなやかで、そして あたたかかった。



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この場所から観るここが好きで、桜樹たちの静かなあたたかさに救われ守られていた。
私から何も問うこともなく、桜たちからも語られることはなかった。
でも心地よかった。安心できた。



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何年かぶりに同じベンチに座ってこの桜をみた瞬間 


終わったね
そして始まった

とナニカが響いた。
何が響いたのかは分からないけど、解った。

あぁそうか、終わったのか。ようやく終わったのか。ここに来ていたあのトキが、ようやく閉じるのか。長かったな。そして始まるのか。

そのために呼んでくれたのか。伝えるために。
今までひと言も語らなかったあなた達が初めて伝えてくれたのがそのコトバなのか。

私はここに来るまで座るまですっかり忘れていたよ。ここからあなた方を眺めるのが好きで楽しかったという思い出しかなかったよ。だから今日もここへ来たんだよ。

でも一瞬で思い出したよ。そうだね、ずっとここに座っていたね。そしていつも見ていてくれたね。

そうか、終わったのか。
そして始まるのか。


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お礼を言いに近寄ると、フワフワとした緑の苔でくるまれていて

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そこからは幾つもの枝が生え伸び、太い幹に流れるオトは優しくどこまでもあたたかかった。

ありがとね。

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今度はサクラの時においで

そう響かせながら
ユサユサと枝が踊り

うん、そうだね。
そうするね。

と答えて後にした。


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千駄ヶ谷門への帰り道ではこんな楽しげな大樹に見送られ

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門近くの紅葉グラデーションはそりゃあ見事だった。もうほんとキレイ。




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自分ではとうの昔に済んでいたと思っていた事が、いつの間にか過去の記憶に紛れてしまっていることもある。もうクリアしていたと思っているからそこには苦しみや悲しみはなく、ただ良い思い出としてだけ残ってる。
なのだけど、この全てが変わろうとしている切り替えのイマ、ちゃんともう一度見据えて向き合うことでシマイとなる事もあるのかもしれない。
なのであれば、それはきっと普段の中で、あちらこちらでささやいて手を振ってちゃんとシマウよう合図を送っていてくれてるのかもしれない。
いつでもどこでもそのタイミングを用意していてくれてるのかもしれない。
ジブンがそこにフォーカスさえすれば、そこらじゅうに転がっているのかもしれない。

自然は、森羅万象は、そうやっていつもあたたかく見守っていてくれる。
誰ひとりよける事なく、すべての人に物事に閉じることなく安心を開いてくれている。
それを見ないように、気付いてないように振る舞っているのは我々のほうで。



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ピンクが街中を彩るころ
またあの場所に逢いに行こう。

そして今度は
愉しい話を
いっぱいしよう。


ありがとうございます。 お受けしたサポートのお気持ちは、この巡りのなかで循環させられるよう、ありがたく使わせて頂きます。感謝致します。