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美食倶楽部@阿佐ヶ谷byオレンジページ。出版社が挑む体験ビジネスそしてコミュニティづくり

都内で3店目となる美食倶楽部が阿佐ヶ谷にできた。運営するのは、阿佐ヶ谷で体験スタジオ「コトラボ」を運営しているオレンジページ。コトラボの定例企画として、月に1-2回美食倶楽部形式の会が開催される。

著名メディアとのコラボという意味でも、阿佐ヶ谷というイケてるロケーションの意味でも嬉しいこの美食倶楽部について、いくつかポイントを書いてみたい。

学び場ではなく遊び場。料理教室をアップデート

オレンジページが「体験スタジオ」と称してコトラボを開始したのは2017年の夏。媒体の訴求力やブランド、料理家さん達とのネットワークを活用して「体験」という新分野に参入するのは理解ができた。(設立当初、阿佐ヶ谷に専用の建物を借りて毎週何十の企画をまわしていくと聞いた時には少し驚いたけれど・・)

それから2年と少し。昨年末あたりから、ご縁あり美食倶楽部とのコラボ検討に入った。コトラボそしてオレンジページが「新しい価値」で「新しい層」にアプローチしていくためのコンテンツとして美食倶楽部がバチっとハマると考えたぼくは、「学び場ではなく、遊び場です。」というコンセプトを提案した。

美食倶楽部と料理教室との違いは、冒頭から始まる。まず、乾杯するのだ。「飲みながら料理」という本場バスクでも体験した美食倶楽部スタイル。なんならつまみながら料理をつくる、料理教室というより「料理をする飲み会」と位置付けた。そして、参加者に提供するバリューは「学び」ではなく「FUN(楽しみ)」。なんならレシピも緩くていいくらいの場をイメージしながら、議論と実験を重ねた。

(これは社員やコトラボ講師の皆さんで行った内部プレイベントの様子を元につくった動画。サッポロビールさんの広告ではありません...)

CREATIVITY TO THE PEOPLE

内部プレイベントでインスピレーションを与えてくれたのは、当日ゲストで来ていただいたスパイスのプロ、シャンカール・ノグチさんの言葉だった。

「クリエイティビティを生徒に渡してあげると楽しいよね」

料理教室には、だいたい「正解」がある。美味しく綺麗にできて当たり前。その正解を学びに生徒さんは来るから、講師として失敗もしづらい。それに対して美食倶楽部はもっとゆるい。ベースのレシピはあるけど、参加者が食材やお酒を持ち寄ってもいいし、当日セッション的に新しいものをつくってもいい。講師側が決めて提供していた創造的な部分を、生徒に渡してあげる。そこがクリエイティビティのための余白となるね、そして講師もそっちの方が楽しいという話になった。

これこそ料理教室と美食倶楽部の一番の違いであり、FUNが生まれる理由なのだと僕は確信した。

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(カレー界で知らぬ人はいないスパイスの達人、シャンカール・ノグチさん。コトラボでも大人気の講師)

出版社がコミュニティをつくる意味

コトラボを舞台にした美食倶楽部@阿佐ヶ谷が目指すのは、阿佐ヶ谷、もう少し広げると中央線沿線の皆さんのコミュニティの場だ。「料理教室」ではなかなかアプローチできなかった人、たとえば男性とか、を含めて地域の皆さんのサードプレイスになるような遊び場に育てていこうと話をしている。

たとえばこんな利用イメージが、議論の中ででてきている。一緒に料理して食べる「イケてる公民館」。ホント近所にそんな場所があったら嬉しい人、たくさん目に浮かぶ。

・どうせ夕食食べるなら、家でひとりでではなくコトラボでみんなでつくろう。
・美味しい〇〇をたくさん頂いたから、コトラボでみんなで分けたら楽しそう。
・毎週●●の夕飯は、基本、美食倶楽部。
・今日は手抜きデー!親子そろってコトラボで夕食すませば、品数多いし片付けナシ!
・生産者やワイナリーの方から直接話を聞けたりすると、なんかファンになっちゃう。
・美食倶楽部に行くようになって、地域に新しい知り合いが増えた。

それにしても、そうしたコミュニティづくりに出版社であるオレンジページが取り組んでいるということが、とても興味深い。

紙の出版がとても厳しい昨今、出版社各社は存在意義や事業戦略が問われている。2年半前に体験領域に踏み出した料理メディアの雄は、さらに一歩踏み込んで、より深く複雑なコミュニティという分野に乗り出した。紙であれ体験であれ、「コンテンツを創って提供する」事業から、「コンテンツが生まれる場所」という形のコミュニティメディアの創造への挑戦。そう言えると勝手に思ってる。

そうした、出版社の新しい取り組みとしても注目の美食倶楽部@阿佐ヶ谷。皆さんご期待ください。(最新情報は下記のページから!)



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