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びす男
2024年6月26日 00:28
井上靖は、中学の頃に読書感想文の課題だった。自伝小説を読んだのだが、誰かから「読め」と言われた本を面白く読めたためしはなく、ただ長くて辟易した記憶しか残っていない。この本は対照的だ。三つの短編がおさめられ、100ページちょっと。ところがサクッと読めるかと言えば、そうではない。文章が濃密な感じがする。細かい見落としがあるだけで、読んだ感触が大きく損なわれてしまう。短編はそれぞれ、特徴がある。