内容と場所 ~動物と人間の類似点、相違点その4~

言葉は記憶と結びついている。記憶を言葉に置き換えて、言葉を用いて情報伝達する。言葉は置き換えを可能にしている。

動物は身体と感覚を持っている。しかしながら、言葉を用いて自らの記憶を表現したりはしない。
言葉を用いなければ、高度な置き換えを習得することは難しいだろう。相手の立場になって考えたり、自分を客観視したりすることは難しいだろう(フッサールによると、自分の主観を通してしか物事をみることはできないが)。

動物が感覚を頼りにして動物の世界を生きていけるように、人間は記憶の中を言語を頼りにして活動していくことができる。記憶の集合体の中において、(それを成立せしめている)内容と場所を得ることができるということが、人間を人間足らしめている要因ではないだろうか。

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