04_「競争優位性を育む」ということ
いつの間にか、「ワンオブゼム」になってしまう
ご自身が提供・販売しているサービスや商品について
「他社と何が違うんですか?」
と尋ねられたご経験はありますでしょうか。
筆者は新規事業の立ち上げに携わった経験が多いのですが、
良いものは他社に一瞬で真似されますし、
気付くと、周りがみな同じようなことを謳っており、
「ワンオブゼム」=「たくさんあるサービスの1つ」
という状況になります。
「業界最大級」「顧客満足度No.1」「〇〇地域最安値保障」
これらはどこでも目にするワードだと思います。
ことデジタルの世界では、参入障壁が低い場合も多く、
同種同業のサービス・商品が乱立しがちです。
検索結果の頭数ページが、類似のサービスや商品で埋め尽くされることも少なくありません。
そうなると競争優位を顧客にどうやって認知してもらうのか?
が最大の関心ごとになることもしばしばです。
しかし優位性は誰が決めることなのか
優位性については、この「認知してもらう」ことに最大のポイントがあると考えます。
例えば
「技術やスキルが最大の強み」
「当社オリジナルの〇〇〇を配合・使用」
「徹底したアフターフォロー」
などもよく耳にするフレーズです。
しかしこれは「顧客の目線からはわかりづらい」のです。
特に「モノ」ではなく「コト」(体験・サービス)を提供する場合、
違いを感じるかは、顧客の経験と感覚に委ねられます。
全く同じ条件下での比較ができません。
上記フレーズが悪いというつもりはありません。
定性的な情報を強みに置く場合には
「自社の影響力・発信力・ブランド力」が要素として入ってきます。
そして顧客がそれを認めてくれて、初めて優位性たりえる。
つまり強みかどうかは顧客が決めることだと強調しておきたいのです。
結果的には、実績の数や声が大きいほうが勝ちやすいので
新興サービスの場合は、不利になることが多いのです。
優位性の鉄則
では新興サービスが
後々まで。つまり他競合に地位を奪われず、強いサービスとして成長をし続けるには、どのようなことを心に留めておけばいいのでしょうか。
ここでは特に私自身がそうした新規事業の展開に携わる際に、心得としていることを書きます。
①優位性は育むものである
強みは漠然と転がっているのではないということです。よく「自分たちのサービスの強みを見つけるための話し合い」などを協議する会などがありますが、経験上、宝探しのようなアプローチは効果的ではないことが多いです。なぜなら、同じレイヤーの人でも所掌範囲によって見えている世界がバラバラなので、答えを見つけようとする会話では意識の統一がなされづらいからです。重要なのは、「優位性は育むもの」であること=優位性にする事柄を決めること、またそれを仲間とともに「共通認識・共通ビジョンとして持つ」ということです。一方的にではなく、そこに参加している全員が、そうだと決め、創り上げるぞ!という士気を持ち、マイルストーンを設定していくことが重要だと考えてます。
②定量化できないものを「優位性」といわない
基本的に、優位性は他社と比べての比較なので、数値化できないものは優位性とするのは難しいと考えます。例えばWEBサイトの制作などを請け負っていて、「デザイン力」を差別化ポイントにしたいと思った際に、顧客がそれを納得してもらうために、どう定量的に言えるのかということです。もちろん、自分自身がその道の権威で、はじめからフォロワーが数万人いたり、アワードを獲っていたりすれば別ですが、そのようなケースは稀だと思います。例えば、過去100社で自社が作成を請け負ったサイトの90%以上に改善や集客増加の実績があって、それを以て「CVRがほぼ9割改善するデザイン」をつくることができる。というメッセージには裏付けと説得力が付随します。またこれも①の話に通じますが、組織で再現性を以て実現することが重要になってきますので、意図的に組織・チーム・メンバー全体にも明確にメッセージングを行い、実現に向けて協力を得るということが必要になります。
③特定の領域に特化しまくって、それを複数創る
②と連動しますが、まずは定量化(説得力)を持たせるにあたって、小さくても勝てる部分を見つける、吟味することです。いわゆる「セグメント・ポジション・ターゲティング」に近しい考え方ですが、ポイントは、「どこの誰にどんな価値をしているんですか」という問いに具体的に、定量的に答える個所を増やすということです。そしてこの小さく勝っている部分を増やしてくことで、最終的には、「大きな違い」として言えるようになると考えています。
④一方通行ではないことを理解する。
これは戒め的なことなのですが、上述の「優位性は誰が決めるのか」に通じる部分で、「うちはこれが強いんですよ」「他社との最大の違いなんですよ」という一方通行的なメッセージではなく、顧客とのコミュニケーションやフィードバックを頂き、進化し続ける仕組みが在り続けなければいけないいうことです。なぜなら顧客は日々、同じようなサービスや商品を目にしていますし、たくさんの営業を受ける機会もあるだろうからです。なので「自分たちのさらなる改善点は何か」、「本当に強みを強みだと感じてくれたか」、「提供後(納品後)、しっかり成果が出ているのか」といった顧客フィードバックを得続けることが大切になると考えます。
まとめ
今回は競争優位について、書いてみました。
最も大切なのは「顧客との双方向のコミュニケーション」です。
ファンづくりやCS(クライアントサクセス)といった言葉もありますが
「なくなっては困る」サービスをつくるという活動が、
最強の優位性を創ることになりますし、
ビジネスにおいて最も大事なのだと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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