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ITニュースWEB 23/03/10

インターネットで飛び交う、今週1週間のIT・科学・経済のニュースを 独自の視点で振り返る「ITニュースWEB」は、、、

「H3ロケット打ち上げ失敗」にみる日本と海外の宇宙事業への取組み格差について、、、

これからの宇宙事業において日本が国際競争力のある宇宙ロケットの実現のため、これまでのH2ロケットの打ち上げ費用100億円を半減(50億円)させることを目標に、2014年より開始された国家プロジェクトである新型「H3ロケット」開発。

H3ロケット開発(JAXA)
https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/

日本では初めてのJAXAと三菱重工という民間企業との共同開発として2020年の試験1号機打ち上げを目指して始まりましたが、新開発のLE-9エンジンの不具合から延期が余儀なくされ、ターボポンプの振動問題なども相まって2度の延期から2023年2月17日の打ち上げとなりました。ところが当日の打ち上げ直前に制御コントローラーの誤動作が発覚し急遽取りやめ。そして先日3月7日の打ち上げ。打ち上げは成功しましたが、第2段エンジンへの点火の段階で点火できず制御不能となり、宇宙空間に到達することもなくやむなく指令破壊信号を送信し、搭載されていた先進光学衛星「だいち3号」もろとも海の藻屑となりました。

新型ロケット「H3」打ち上げ失敗、日本の宇宙政策に打撃(03/07)
https://jp.reuters.com/article/japan-h3-rocket-idJPKBN2V903H

打ち上げ費用の削減のため部品数を以前のLE-7Aより20%少なく実現させたLE-9エンジンの技術力は間違いないのですが、なぜ日本ではまだ安定的にロケットの打ち上げができないのでしょうか。

3月9日のJAXAの発表によれば、今回の第2段エンジンへの点火制御不能の原因は「電源系統の異常、機体側かエンジン側かは調査中」とだけでした。

H3ロケット打ち上げ失敗 「電源系統に異常」JAXA報告(03/09)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/09/news091.html

こうしたことから推察するに、発射する際の「アンビリカル(臍の緒)」と呼ばれる電気と通信のラインから切り離して「制御を第1弾ロケットに移す行為」、つづいて第1弾ロケットを切り離して第2弾ロケットへ「制御を移す行為」、こうしたところでトラブルが続出していることがわかります。

2月17日の新型ロケット「H3」打ち上げは仕切り直し、発射0.4秒前 何が起きた(03/06)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2023/03/story/20230306h3rocket/

chatGPTに聞いたところ「制御を移すことで発生する電気的なショックについては、ロケット打ち上げにおける一般的な問題として認識されており、このショックを和らげるために、管制室側でスイッチを切って電気と通信を切り離す操作が行われます。」と回答。この問題は世界中誰もが克服させている課題のようなので、日本だけでできないはずはないと思います。因みに今週はなんと日本の学生さんのロケット打ち上げは成功したようです。

東海大学の学生、ロケット打ち上げ実験に成功–高度416mに到達、機体を回収(03/09)(10)
https://uchubiz.com/article/new14836/

一方アメリカNASAではイーロン・マスク氏率いるスペースX社のクルードラゴンは3月2日打ち上げ成功の一方、対するAstraSpace社が推進するAstraロケットのほうは冷却システムの暴走で打ち上げ失敗に終わったようです。

有人宇宙船クルードラゴン「エンデバー」打ち上げ成功(03/02)
https://sorae.info/ssn/20230302-crew6.html

Astraロケットの打ち上げ失敗、NASAが「冷却システムの暴走が原因」と発表(03/06)(10)
https://uchubiz.com/article/new14705/

現状ではまだまだ失敗があってこそ成功があるということなのかもしれません。そんな中、スペースX社のスターリンク計画(地球周回軌道に小型通信衛星を多数打ち上げての衛星インターネットサービス)

スターリンク(Starlink)とは?
https://sorae.info/extra/starlink-spacex.html

に対抗してなんと、中国が小型通信衛星:最終目標4万基を打ち上げるコードネーム「GW」計画を準備中との報道。

中国、衛星1万3000基打ち上げ計画──スターリンク対抗で宇宙空間の「場所取り合戦」に(03/09)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/03/13000-1.php
https://gigazine.net/news/20230227-china-internet-satellite/

世界の宇宙事業計画に引けを取らないよう日本を応援していきましょう。WBCとともに、、、、。


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