見出し画像

あなたはわたし(5)【ナツキの記憶】

メイとは神社の入り口で待ち合わせの予定でした。

が、結果的には神社の手前で会ってしまったわけです。


では、もう食事でもと思いましたが、メイは神社に行きたがりました。

一緒に行きたい所があると。


僕は、

それもよかろう。歩きながら話すのもすてきだし。

「なにより連れ居て行きたいところ」

にも、興味がありました。


それにしても、メイはとても楽しそうで、嬉しそうです。

桜の時とはずいぶん違う感じでした。

あの時は、どちらかといえば、過去を振り返り合う友人といった雰囲気で、
今日は、前を向き未来を切り開いて行く仲間と言った感じ。

僕をただの友人以上に、親友のように思ってくれているように感じていました。

どうしたんだ?メイさん。

不思議なギクシャクさの僕は、メイと話しながら、ゆっくり歩いて行きました。

メイはここの神社は詳しいようで、どんどん僕を導き歩みを進めます。

神社仏閣にはさほど興味のないものの、実は宮内庁の寺社部の建築士だった祖父をもつ僕は、空間としては好き。

詳しいメイに案内されながら、お参りをしました。

あっという間に終える僕と異なり、

彼女は長々と手を合わせていたのが、印象的でした。


なにをお願いしているのだろうか?
僕は、後ろから不思議そうに眺めて、待ちました。


そして、振り向いたメイは

こっちに行きたいの

と、神社の人気のない裏手に、僕を誘いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?