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和菓子を愛した人たち

歴史上の人物と和菓子について取り上げた本。虎屋文庫の名を冠しているだけあり、虎屋で企画された展示に加筆され、200名を超える人たちと和菓子について書かれた本。出てくる人たちも多彩で、紫式部や清少納言、和泉式部といった最近よく目にするようになった人から、源頼朝、明智光秀、徳川家康、といった戦国武将、紀貫之、井原西鶴、夏目漱石、樋口一葉といった文豪、ほか文化人など多彩なメンバー。

そこで出てくる和菓子も、上生菓子からお手製の団子まで時代に合わせて様々。意外な組み合わせや、それは一体どんな味なのか想像もつかないような組み合わせもあったり。
いずれもその人物に何かしらの資料を集め編集されたものだと思うが、その量が膨大で、読み物というよりも、人物百貨もしくはお菓子の百科事典のよう。

どんなジャンルにも代表となるものはあり、ランキングは個人の好みもあるが、大概出てくるもの3つを取り上げて、3大鯛焼きとか3大豆大福などと称されることがある。人が言うものが必ずしも自分の口に合うとは限らないが、その3つに取り上げられると言うことは多数の人に支持されつつ、それぞれに個性があることになるので、挑戦するにはまずそこから手を出すのも悪くないと思う。が、それらは隣三軒両隣りにあるわけではないので、3つといえど制覇するのは難しかったりする。
かく言う自分も、どら焼きは制覇した。豆大福はせっかく訪ねても定休日だったりと制覇できていない。たい焼きは制覇したが、一番美味しいと思うのはこれ以外の店だったりする。

甘味は昔から贅沢品でもあり、それを食べる時の記憶が人それぞれにある。この本のように、時代の偉人にならなくとも、人それぞれのエッセイがNOTEに書かれている。100年、1000年後の人たちがこれを読むと、今の時代の人たちはどんなものを食べ、何を考えていたのか知ることになるんだろうなと思う。

街歩きがさらに楽しくなるものがあるといいな