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何十年経っても。たとえば車椅子になっても。

あなたと会えなくなって10年が経ったけれど
この先何十年経っても
きっとあなたのこと大好きだと思う。

たとえば
太ってお腹が出てきても
髪の毛が薄くなってハゲ散らかしても
足腰が悪くなって車椅子になっても

それでも大好き。

お腹をプニプニして太ったねぇと笑えば

あなたも私の二の腕を触って太ったねと笑うはず。

ハゲ散らかってるねぇと笑えば

君も白髪だらけになったねぇと笑うはず。

あなたが車椅子になったら
私はあなたの車椅子を押して
いろんなところへ連れて行ってあげる。

ベッドで体も拭いてあげるし
ご飯も食べさせてあげる。
おむつ交換が必要なら、それもしてあげる。

あなたとただ一緒に過ごしたかった。
あなたとなら、つまらないことでも大笑いできた。

育った環境も全く違うのに
価値観も違うのに

どうしてこんなに楽しいのか
不思議なくらい 居心地が良かった。

あの時、私はあなたといることができたのに
どうしてその道を捨てたんだろう。

固定観念に囚われずに
一緒になればよかったのかな。

自分に自信がなかったのかもしれない。
色んな意味で。
あなたにはふさわしい人がいるだろうと思ったし。

あなたは私と暮らす家も
探していてくれていたのに。

私はトラウマから
そうしてはいけないって離れなくてはいけないって
そう思っていたけれど

その道も間違いじゃなかったのかな。


いや、やっぱりあの時離れたことは正解だった。

もしも
私たちが本当に運命で繋がってるなら

最適な時に
最適な答えに出会えるはずだから。

あの時、私は自分の役目を果たすことを選んだんだし

それはきっと間違ってはいなかった。

あなたも迷いがあった。
私ではない人と、あの後たくさん付き合って
きっと答えを見つけている。

素敵な人にもたくさん出会ったよね。
あなたが幸せならそれでいい。
幸せでいてほしい。


私はこの15年で随分と歳をとってしまった。
あなたはいつまでも素敵なままだと思うけれど

どんな容姿になっていようが
愛情は消えない。

あの時

15年前に

あの曲がり角で

私たちにしかわからない時間が流れたあの時みたいに
目があうだけで分かり合えたあの時みたいに

またあなたに会えたらいいのに。

こんなに忘れられないなんて
会えなくなって10年もたったなんて
ほんと、嘘みたい。

今でも昨日のことのように思い出せるのに。

あなたの大きな手や
少し甲の高い足
あったかくて大きな胸板。
優しい声。

もしあなたが結婚してしまって
介護が必要になって
奥さんにお払い箱にされたら
その時は、私が介護をしてあげる。

そんなことがあるか分からないけれど
そんなことでも妄想しながら
生き抜くしかない。
もしあなたが誰かと一緒になってしまっているのなら。


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