スーパーと熱々の米の話
僕は頻繁にスーパーに行く。特にお目当ての物は無いけれど、何故か脚を運びたくなる。安い物とか新しい物があると幸せな気持ちになる。この単純な奴め。
いつものように魚売り場に行くと、いなだがこちらを見ている。(ブリの小さいやつ、ブリは出世魚なんですね。) 僕はもう恋に落ちてしまった。(ブリなのにコイってね。)
さっそく家に帰って刺身にして手作りのタレに漬けた。早く漬からないかなぁなんて子供のようにワクワクしながら、その時を待つ。
そして遂にやってきた晩御飯の時間。僕はお米を用意して、よーく漬かったいなだを勢いよくパックからご飯の上に放った。 いつもならすぐ食べてしまうのだけど、その日は噛み締めて味わって食べた。
これが間違いだった。
あれ?なんか白くなってきてね? 時すでに遅し、熱々の米に放り込まれたイナダ達は、あまりの熱さに焼き魚みたくなっていた。 なんかゴメンな。綺麗な刺身として食べてほしかったよね。僕は申し訳ない気持ちを押し殺しながら、温くなっていくイナダ丼を掻き込んだのだった。
御馳走様でした。