てるる

エッセイと考察を書く人で、普段はメーカーのエンジニア。写真は目に海水が入って痛がってる…

てるる

エッセイと考察を書く人で、普段はメーカーのエンジニア。写真は目に海水が入って痛がってるところ。スピッツとお笑いは何でも語れます(たぶん)/#一人じゃ気づけなかったこと『上地結衣賞』

マガジン

  • 推しの考察

    「運命には逆らえない」「あのアーティストの曲はなぜ心に刺さるのか」 推しは、心の中の煩悶や不思議な魅力を抱えている。 そんな背景を考察します。

  • また読みたいnote

    もう1回読みたくなる魅力がつまったnoteを、個人的にあつめてみました。

  • 科学のおはなし

    「宇宙ってなんで『暗い』んだろう?」「リニアモーターカーってどういうしくみ?」 いわれてみれば不思議なことを、理系大学院生の端くれが、できるだけかんたんな言葉でお話しします。2021.8.2開始。何かリクエストがあればぜひ!

  • 自己紹介がわりのnote

    自分らしさが出たな、と思ったnoteを集めてみました。

最近の記事

  • 固定された記事

1色ではないこの世界を、想像力で包みこむ

『ストリートチルドレン』。 家族が貧しいために、路上でお土産や生活用品を売り家計を助ける子どもたちのことだ。 彼らのことを知ったのは大学3回生のときだ。夏休みの旅行の計画を立てる中で、ふと海外に行きたいと思った。それまで海外に行ったことがなく、大学生のうちに行きたかったという背景もある。ただ、海外に行って遊ぶのはちょっと違う。それなら国内でも事足りる。せっかくなら海外でしか経験できないことをしたかった。 そんな折に、フィリピン・セブ島で『ストリートチルドレン』やスラムなど

    • 海がきこえる

      小説『海がきこえる』について記事を書こうと思った。仮タイトルは『海がきこえる』だった。文章を書き終えて、本タイトルをどうしようか考えた。しかし、『海がきこえる』以上にこの小説を表現できる言葉は見つからなかった。僕にとって、この小説はそんな存在である。 2022年7月8日、故・氷室冴子さんのデビュー45周年を記念して、小説『海がきこえる』の新装版が発売された。スタジオジブリでも長編アニメ化された90年代屈指の青春小説である。 『海がきこえる』に出会ったのは、数年前、当時大学

      • あなたにとっての一番星

        何年ぶりかも覚えていないくらい、プラネタリウムに行くのは久しぶりだった。数週間前に街中でプラネタリウムのポスターを見かけ、急に行きたくなったのだ。少し遠出になるが、明石市立天文科学館に赴くことにした。ちなみに、プラネタリウムの稼働期間の長さは日本一だそうだ。 すごく楽しみにしていた訳ではないが、前日は夜中2時頃まで寝つけなかった。普段寝るときのことだが、無音だと仕事のことなどを考えてしまうので、いつもテレビをつけっぱなしにしたまま寝る。ただ、朝までつけっぱなしだと電気代がも

        • 結婚式のマナー

          結婚式参列のために準備すべきことのなんと多いことか。新郎である、大学の先輩の結婚式を数週間後に控え、情報サイトに羅列されるマナーの多さに焦りを感じていた。何しろ、結婚式に参加するのは初めてだったのだ。 初参加の者にとって、一番の関心事はご祝儀である。サイトによれば、包む金額は偶数を避けた、切りのよい金額にすることがマナーとされている。割り切れる数だと、2人が別れることを想像させるため良くないのだ。友人の場合、相場は3万円と書いてある。まあ、社会人2年目のお財布事情的にも、そ

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        記事

          阪神タイガースの『アレ』を甲子園で見届けた

          9月14日、そそくさと会社を抜け出した僕は、意気揚々と甲子園へ向かった。その手には、阪神タイガース18年ぶりの『アレ』をかけた阪神VS巨人戦のチケットを握りしめていた 『アレ』とは、阪神タイガース監督・岡田彰布氏が、2010年オリックス・バファローズ監督時代に発した言葉である。当時、長年優勝から遠ざかっていたオリックスは、交流戦の優勝に手をかけていた。しかし、優勝という直接的な言葉を使ってしまうと、選手たちが意識してしまい、力みにつながってしまう。そこで、優勝を濁した表現と

          阪神タイガースの『アレ』を甲子園で見届けた

          終わらない歌の中で

          昨今の夏の日差しは、暑いというより痛いと表現した方がよい。数年前は、太陽照りつける中でも、「ああ、夏が来たな」と季節を感じる余裕があった。しかし、近年は「なんじゃこりゃああ!」と松田優作バリにぶっ倒れそうな暑さが続き、陽炎のようにユラユラと日陰を探し歩くことが多くなった。 昨年に引き続き参戦した『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023』(以下、ロッキン)へ徒歩で向かう道すがら、額の汗をぬぐいながらそんなことを考えていた。最寄りの蘇我駅からずっと人混みに揉まれ

          終わらない歌の中で

          正しさとは、自分のこと強く信じること

          気に入った曲を見つけると、熱が冷めるまでは何度もリピートして聴くことが多い。 今回もそんな3曲です。 2021年に漫画『進撃の巨人』は完結した。人類と巨人との戦いを描いた大人気作なのだが、僕が結末を知ったのは今冬のことである。 連載が始まったのは2009年だが、つい数年前まで読んだことすらなかった。 友人からグロテスクな描写が多い、と聞いており、そういった描写はあまり好きではないので嫌厭していたのだ。 観始めたのはコロナ禍が始まったタイミングだ。当時大学生で、家にいる時間

          正しさとは、自分のこと強く信じること

          2022年の終わり、2023年の始まり

          2022年の年の瀬はツイてないことが多かった。 まず、12月半ばにコロナに感染した。発症当日、朝起きるとノドの痛みと微熱があった。もしや、と思い、発熱外来のある病院を調べるも診療枠はすでにいっぱい。行政の相談センターに連絡するも、 「若くて症状も軽いので、大阪府が郵送する検査キットを申し込んでください」 というやり取りで終わった。ポジティブな要素が『若くて』しかない日だった。 陽性が判明したのは翌日の午前だった。届いた検査キット内の綿棒で鼻の奥の粘膜をグリグリとからめ取

          2022年の終わり、2023年の始まり

          今年の夏も音楽を聴いていた

          1日のうち、音楽を聴いている時間がやたら多い。朝の身支度中や、通勤・退勤中、夕飯づくり、風呂での時間など、もはや無くてはならない。休日も音楽のライブに行くことが多いし、店で知らない曲が流れているとすぐにiPhoneで調べてしまう。 聴く曲のレパートリーは数か月の周期で変わっていく。気持ちの変わり目の周期がだいたいそのくらいの期間だからだろう。新しく知った曲や再燃した曲、何曲かをその期間とことん聴きこみ、数か月したらまた別の曲に移っていく。そしてこの夏も、そのサイクルの中を生き

          今年の夏も音楽を聴いていた

          シン・社会人と甥

          大阪発の高速バスに乗車する1時間前、僕は『児童書』コーナーで絵本とにらめっこしていた。社会人として初めてのお盆、実家に帰省する前に1歳の誕生日を迎える甥へのプレゼントを買おうとしていたのだ。 どんな絵本がいいだろうか、とパラパラめくってみたものの、幼児がどんな絵本に喜ぶのかがよく分からないことに気づいた。とりあえずイナイイナイバァ的な本なら喜ぶだろうという考えの下、数冊購入し、バス乗り場に向かった。 (甥とのエピソード第1回はこちら) 実家に着くと、22時を過ぎていた。さっ

          シン・社会人と甥

          僕と甥と、ときどきホクホク

          年末、実家に帰省したとき初めて甥っ子に会った。まだ生後半年も経っておらず、とても小さい。人間はこんなに小さい時期があるのか、とちょっと感動した。 そのときはまだアワアワと喃語を話す程度だったのでコミュニケーションをとることは出来なかった。せいぜい小さなほっぺを触ったり、これまた小さな手に僕の指を握らせて遊んだりするだけだった。 赤ちゃんというのは、手にしたものを何でも口に入れたがるらしい。その習性通り、僕の指を口元までもっていき、自らグッと口の中に押し込んだ。こうしていろんな

          僕と甥と、ときどきホクホク

          M-1グランプリ2021の感想・考察

          M-1グランプリ2021に出場した10組の感想・考察を書いてみました。 ①モグライダー(8位)「美川憲一さんの『さそり座の女』が〈いいえ私はさそり座の女〉で始まるのは、歌い出しの前に美川さんの星座と性別を当てようとする輩がいたから」 こんな斬新なフリを思いつくセンスだけで高得点間違いなしと思った。それに加え、どこかアホッぽさを醸し出すボケ・ともしげと、明瞭でセンスのあるツッコミを繰り出す芝さんの掛け合いは、さながら珍馬を巧みに操る敏腕ジョッキーの関係を想起させ、多くの人が

          M-1グランプリ2021の感想・考察

          運命を信じるのは、悩む自分の背中を押してほしいから

          初詣に行った。コロナ禍の影響はどこにあるのやらと思うほど人で溢れていた。その一方で、やはりコロナ禍の影響か、想像していたより人出は少なかった。そんな矛盾した思いを抱えながら、友人たちとともに境内をぐんぐん進んでいった。 初詣といえばおみくじである。「大吉だ!」「小吉か…」などと一喜一憂する、日本人の一大行事だ。いそいそとカバンから財布を取り出し、木箱に100円を投げ入れ、おみくじの海へと手を伸ばした。 ふと思ったのだが、おみくじというのはなんと性善説にもとづいた仕組みなのだろ

          運命を信じるのは、悩む自分の背中を押してほしいから

          2021年を振り返って

          2021年も相変わらずコロナ禍の影響を受けた1年だった。特にそれを実感したのは就活だ。参加したかった学内の企業説明会も去年に引き続き中止になり、就活早々ガン萎えのスタートだった。その後もオンライン企業説明会・オンライン面接などが続き、けっきょく対面での就活の機会はほとんどなかった。消化不良の部分もあるけど、就活自体いい経験になったと思う。ガクチカを考えたり、強みや弱みをひねり出したりする作業は、自分と向き合うとても大切な時間になった。 唯一腑に落ちなかったのは面接のフィードバ

          2021年を振り返って

          Remember me

          その先輩と出会ったのは、大学1回生の頃だった。アルバイト初出勤の日、『同級生であろう』という根拠のない確信のもと、タメ口で話しかけたのがきっかけだ。彼は、気が抜けた炭酸飲料のような人だった。やる気が無さそうだが、実は何かを秘めている。バイト中もどこか飄々としているが、仕事はちゃんとこなすようだった。僕もそういうところがあるから少しシンパシーを感じた。しかし、時を共にするにつれ、想像以上に似た者同士であることを知った。使う言葉の種類やツッコミのタイミングも同じ。わざわざ口に出し

          Remember me

          我は、おばさん好き

          ある本を読んでいるとき、『バカの壁』(著・養老孟司)の〈「話せばわかる」は大嘘〉の一節を思い出した。 養老孟司さんが教授を務める北里大学の学生に、ある夫婦の妊娠から出産までを追ったドキュメンタリー番組を見せたときのことだ。授業の終わりに、ビデオの感想を書かせたところ、興味深いことに、男女ではっきりした違いが現れたのだ。 まず、女子学生のほとんどは「大変勉強になりました。新しい発見が沢山ありました」という感想だった。一方、それに対して、男子学生は一様に「こんなことは既に保険

          我は、おばさん好き