マッチレビュー J1第4節 ジュビロ磐田vsガンバ大阪

 こんな番組に出させてもらった翌週にレビューをサボろうとしてる奴が居るらしいぞ!!!

 というわけでギリギリになりましたが書いてます。ギリギリなので簡易版です。普段からたまに観させてもらってたチャンネルなので、出演できて楽しかったです。またいずれお邪魔できればと思います!

スタメン

 さて上図を見てもらえれば分かる通り、この試合はどちらも同じ3-4-2-1というフォーメーションを採用した、所謂ミラーゲーム。しかも、3-4-2-1、右から見ても左から見ても3枚4枚3枚ということで、基本的にはガッチリ噛み合うことになる。なので「どうズレを作るか」がポイントになる試合だったと思います。

噛み合わせ

 磐田側で主にズレを作っていたのは大津と大森の2シャドー。1トップの杉本が左に流れて開けたスペースに大津と大森の2シャドーが集まり、数的優位を作ってパスコースを作り攻め込む、みたいな形。

 片側に数的優位を作ることで、トランジション局面においてもメリットが出ていました。磐田の先制シーンは山本の落としのパスがズレて相手のインターセプトを受けたところからですが、前線の選手が片サイドに密集していたことで縦につけるパスの選択肢が無数に生まれており、ガンバは誰に誰がアプローチに出るのかが定まらないままズルズルと後退していった結果大森にバイタルでシュートポイントを作られてしまった、という状況でした。

 ヤット→鈴木→杉本→鈴木→大森のシュートって、何か見知ったメンバーばっかりで出来過ぎたゴールでしたね。

 さてガンバはジュビロのようにシャドーが大きく動いてズレを作るメカニズムはなかったように思います。ボランチの列落ちで最終ラインに余裕を作り、サイドに流して仕掛ける。磐田のように意図的にズレを作りにいかなくても、サイドで優位性を作れるという読みだったのかも。特に前半は右サイド、石毛・小野瀬・髙尾がトライアングルを作ってぐるぐるしながら仕掛ける、といった攻めが多かった印象です。

 加えて磐田が早い時間に先行したことで前線とボランチの5枚で中央に五角形を作り、中央のパスラインを封鎖してきたこともあって、ガンバはより外重心の攻めが増えていくことになりました。攻撃の時はガラッと大きく形を変える磐田ですが、守備の際は割と中盤でどっしり構えて動かない感じ。サイドのケアに出た時はボランチがプレスバックしにきて、たとえバックラインに人数的余裕があってもCBは動かしたがらない印象。CBが積極的に迎撃に出ていくガンバとは好対照。

 ここまで書いてみると、攻撃では動くが守備では動かない磐田、攻撃では動かないが守備では動くガンバ、みたいな感じで、同じ3-4-2-1でもずいぶん趣が違うなあと感じました。

 さて、後半のガンバ。前半と比較して右からの攻めが減っていったんですが、理由は右サイドで崩しに関与することが多かった石毛が積極的に左サイドのサポートに出ていくようになったことが挙げられると思います。磐田のやってたことをやり返した、みたいな感じですね。

 左サイドを起点に押し込むシーンが多くなったことで、髙尾のオーバーラップが目立った前半とは違い福岡のインナーラップが目立つようになりました。かといって右サイドの攻めが単調になったというわけではなく、逆サイドで小野瀬が浮くことでサイドチェンジから一対一を作り、抜いてクロス、という形から決定機を作れるようにもなっていました。

 後半はガンバが押し込めるようになったんですが、前半と比較するとプレス強度が高くなったことに理由があると思います。磐田は攻撃時にシャドーを動かして攻めるので、狙っている攻撃の形を作るためには選手移動の時間を要する。プレス強度を高めてその時間を作らせないことで、磐田の狙った前進の形を出させないようにする狙いがあったと思います。


 押し込んで決定機を作るもののなかなか同点ゴールが生まれない70分、片野坂監督が勝負に出ます。バックラインを一枚減らしてレアンドロペレイラを投入。今シーズン初のツインタワー!

パワー

 大分時代はまず発動できなかった戦術だと思いますが、片野坂監督がどんな気持ちでこの起用を決めたのか気になります。笑

 ただ当然その裏返し、パトリックとペレイラの2トップでは後半開始時点ほどのプレス強度が保てなくなり、敵陣でボールを奪い返して押し込み倒すことができなくなっていきます。試合はボールがいったりきたりのオープンな展開になり、どちらのチームにもチャンスが生まれることに。

 88分、果たして片野坂監督の博打は成功。自陣に引きこもる選択をした磐田に対し、三浦がペナ角まで攻め込むことで完全にフリーの状態でクロスを蹴り込み、ペレイラがうまく流してサイドネットにねじ込み同点ゴール。その後もあわやというチャンスを作りますが試合は1-1で終了。


 作られたチャンスの質、作ったチャンスの数を考えると、返す返すも前半の失点シーンがもったいなかった、勝てた試合だったなぁ、という感想です。ただ、サッカーはチャンスの数を競うスポーツではなく。磐田が作った噛み合わせのズレに対する回答を素早く出せなかったことで前半のふわっとした時間が生まれ失点に至ってしまったことを考えれば、チームとしていかに相手のアクションに対するレスポンスを高めていくかが課題なんでしょうね。経験が長く、老獪な選手(失礼。笑)が多い磐田との試合だったからこそ、よりその課題が浮き彫りになった気がします。

 逆にガンバも、アタッキングサードではそういう老獪さが欲しいと感じるシーンがありました。クロスの球の質などを見てもちょっと選択肢に乏しい印象があり、後半ロスタイムにニアに走り込んできた山見などのように、相手を見て逆を突くようなプレーがチャンスを作れればより得点も多くなっていくんじゃないかなぁ、と感じた次第です。

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