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口に出して言ってみたいワード【2021年7月号 風間俊介 連載】『ダンスはうまく踊れない』

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俳優のお仕事をしていると、普段は経験しないようなシチュエーションを体験することがあります。銃を向けたり向けられたり、手術をしてみたり、特殊な仕事や人物になることが出来るのです。俳優という仕事の醍醐味の一つですね。僕は、今でこそ警察側を演じることも増えてきましたが、前はひたすら捕まる側でしたね。「おぉ、今回はこのタイプの護送車かぁ」などと考える程には、バリエーションも経験しました。日常を描いた作品ももちろんたくさんありますが、非日常を経験する機会に恵まれているのが、俳優という仕事です。

だって、皆さん、人生において「貴様ぁ!」って言ったことありますか? いや、ふざけてとかじゃなくて、大真面目の「貴様ぁ!」ですよ。日常生活で、なかなか言わないでしょ、全力の「貴様ぁ!」は。それも、お芝居の世界だと、しばしばやってくるのです。僕も何度か「貴様ぁ!」体験があるのですが、台本に「貴様ぁ!」って書いてあるとワクワクしますよね。男の子が剣とかでワクワクするのと同じ構造で、もう漫画の世界だもの。『ドラゴンボール』で言うところの、ベジータだもの。物語だから自然に言うことがあるかも知れないけど、本物の日常で「貴様ぁ!」って言う人に会ったら、怒りの内容より「わぁ、この人、凄い! 日常の中で本当に『貴様ぁ!』って言った。もう一回、言わないかな」とか考えちゃうもん。だからこそ、作品の中にある「貴様ぁ!」チャンスは貴重に感じます。もちろんのこと、作品においておかしな流れにならないように演じますが、「あっ、このシーンがやってきた。『貴様ぁ!』のシーンだ。今回の『貴様ぁ!』チャンス、どんな言い方にしようか」とか考えちゃいますもんね。口に出して言ってみたい(プライベートでという意味ではない)ワードの代表格です。

そして、まだ言ったことのない、口に出して言ってみたい、台詞で来たらワクワクするワードがあるんですよ。

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