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30代のうちに自分のポジションを確立しておきたいんです【ドラマ「ラブファントム」スタート記念 桐山漣インタビュー】

撮影/飯田エリカ 取材&文/吉田可奈 

MBSほかでスタートしたばかりのドラマ『ラブファントム』。ドラマ内では”怪人”と呼ばれる完璧人間・長谷を演じる桐山漣さん。ここ数年、コメディタッチな作品での活躍が目立つ桐山さんに、これまでのキャリアや、今後のヴィジョンなどを語っていただきました。

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――ここ数年、『これは経費で落ちません!』や『いいね!光源氏くん』『おじさんはカワイイものがお好き。』などのドラマに出演し、様々な役柄で注目を集めている桐山さん。現在オンエア中のドラマ『カラフラブル』のキラ様役も印象的です。今年は『青きヴァンパイアの悩み』『ラブファントム』と、主演作が立て続けに公開されました。いま、あらためて、どんな心境の変化を感じていますか?

桐山 いい意味で心境の変化はあまりないんですよ。というのも、僕はどの作品に出ても、自分のやることは変わらないんです。2021年前半では主演作を2作いただきましたが、脇を固める役であろうと、なんであろうと、僕がやるのは、その役柄にきちんと立体感を持たすことに尽きると思っているんです。そこに説得力がないと、今の時代はすぐに観てもらえなくなってしまいますし…。今って正直、視聴者のみなさんはケータイを持ちながら観ていると思うんですよ。

――それは実感しますか?

桐山 はい。それが時代の流れなので、僕が何か言っても変えられることではないですし、少しでも隙があると、チャンネルを変えられてしまうのが現実なんです。それに、家で映画やドラマを最後まで観てもらえること自体、かなり少ないと思うんですよ。以前は“DVDを借りてきたからには見なくちゃ”という心理が働いていたと思いますが、有料コンテンツに加入していれば、どんな作品も、サブスクでいつでも観ることが出来るから、面白い、面白くないの判断がよりシビアになってきたと思うんですよね。でも、そんな状況であったとしても、多くの人が面白いと感じてもらえる作品があれば、そっちのけで没頭してもらえる。だからこそ、どの役を演じるにあたっても、画面の向こうにいる人の心をしっかり掴むお芝居をしないといけないという気持ちは、より強くなりました。

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――それは、ものすごく大事なことですよね。

桐山 そうですね。例えば、台本をあと何%探れば、さらに面白くなるんじゃないかというようなことは深く考えるようになりました。例えば、コメディ作品を演じるときに、テストで面白かったことを本番でなぞるように演じると、どうしてもテストのときの方が面白かったりするんですよ。でも、それがすごく悔しいので、毎回真新しい気持ちで演じるようにしています。さらに、違うところにアドリブを加えてみたり、ほんの何秒で出てくるアイディアなどを大事にしていきたいんです。物語に支障なく、より作品に厚みがでて立体的にできるのであれば、僕はどんどんアドリブを加えていきたいなと常に考えています。

――それを考えるようになったのはここ数年ですか?

桐山 どうだろう…はっきりとした時期は自分でもわからないのですが、デビューしてからいろんな作品に声をかけていただいて、経験を積んでいくうちに気づいていきました。

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――放送を見てくれている人が楽しんでいることが実感できたから、そういったことが出来るようになったのでしょうね。

桐山 そうですね。みなさん、ドラマを見ながらツイートをされるじゃないですか。そのつぶやきを制作陣やキャストは意外と見ているんですよ。もちろん、僕もオンエアのときは意識して見るようにしているんです。それは視聴者の方の意見を聞いて自分の芝居を変えよう、ということではないんですが、自分達がみなさんと一緒に汗水たらして作った作品で、退屈な思いをさせてしまったら絶対に良くないので。期待に応えられていたらいいなと思いながら演じています。

――最近は少しコメディ色が強い役が続きましたよね。

桐山 そうですね。2、3年位前からコメディが多めになりましたね。ここ数年でコミカルな役が増えてきて、すごくありがたいなと思っています。

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――それは桐山さんご自身、希望していたことなのでしょうか。

桐山 う~ん、どうなんだろう? 俳優って希望していてもそれが叶うわけではないので、必要とされて、そこで結果が出せて、次につながっていく仕事だと思っているんです。あまりコミカルな役を演じる印象が無かったと思うんですが、僕自身はコメディが結構好きだったんですよ。

――きっかけとしては『おじさんはカワイイものがお好き。』の鳴門役あたりからですかね?

桐山 たしかに『おじカワ』の鳴門はかなり様子がおかしかったですね(笑)。僕はものすごく真面目にあの役を演じていたんですが、オンエアを見たら自覚したんですよ(笑)。

――きっとその”真面目さ故にでてくるおもしろさ”がフィットしているんでしょうね。

桐山 そうだとしたらうれしいですね。鳴門は、人に向かって嫌味なことをズケズケ言う、一見嫌われ者になりそうな役なのに、尋常じゃないくらい猫が大好きで、でも肝心の猫には全くなつかれてないというギャップがあったんです。あんなにクセの強い気難しい人間なのに、そういうギャップがあることで愛されキャラになれるということに驚きましたし、勉強になりました。

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――桐山さんはデビュー当時から取材をさせていただくたびに、ものすごく真面目で真っ直ぐな方だな、という印象があるのですが、20代、30代と年齢を重ねるうえで焦りや悩みもあったと思うんです。

桐山 そうですね。この仕事をしていたら、悩みも焦りも絶対につきものだと思うんです。自分のなりたいような人生を送れる人ってごくわずかですしね。そんななかで、年齢を重ねてより感じたのは、必要としてもらえることのありがたみです。自分でやりたいと思ってやれる仕事ではないし、“この役を桐山漣に”という誰かの思いがあって初めて声をかけていただけるからこそ、最初に話したように、自分のやることは変わらないんです。選んでいただいたからには、100ではなく、100以上の、期待度を上回る数値で恩返しをしていきたいと思っているんですよ。もちろん、簡単なことではないんですけどね。

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――そういった気持ちで、焦りを乗り越えてきたんですね。

桐山 そうですね。たしかに20代後半は、「このまま俳優を続けていけるのかな」という思いもありました。努力したとしても、みんなはその結果しか見ていないから、どうしても結果がすべてになってしまいますし。とはいえ、人生は長いですからね。別に辞めるつもりもないですし、必要としてくれている限りはこの仕事をやっていこうと思っているんです。いろんな出会いもありますし、いろんな別れもありますが、やはり大切にしているのは、ちゃんと“お返しする”ということなのかもしれないなと再認識しています。

――その気持ちがあるから、今の結果に繋がっているのかもしれないですね。

桐山 そうですね。とはいえ、いただいている評価に対して充分にお返しできているわけではないですし。まだまだこの先、このお仕事をやらせてもらえるのであれば、やりたいこと、目指したい場所がたくさんありますし、“もっと”という願望もすごく強いので、現状に満足することなく、自分のやるべきことをひとつひとつ、変わらない姿勢で取り組んでいきたいと思っています。

――いつの間にか、父親役を演じても違和感のない年齢になってきましたよね。

桐山 そうなんです。ただ、お父さん役は、まだ自分では想像がつかないんですよ。年齢的にはきっといつか、とは思うし、絶対に面白いと思うんですよね。いろんなタイプの役をやらせてもらえるからこそ、今後もその幅を広げつつ、30代のうちに、自分のポジションをしっかりと確立しておきたいなと思っています。

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