つくしnote vol.1「Devgon Ash - 中華エアガン(開封動画)くじ屋台・完全マニュアル」
つくしレコーズnote開設を記念し、Devgon Ashによる 「中華エアガン(開封動画)くじ屋台・完全マニュアル」をVIAの音源付きでリリース。 日々、小中学生YouTuberによってアップロードされていくエアガン開封動画をさらに増やすため、実際に近所のお祭りでエアガンくじ屋台を開くまでの、仕入れ〜販売の体験レポートを無料公開。 おまけとしてVIAの音源「エアガン開封動画」がダウンロードできます。
……はいどうも、みなさんこんにちはこんばんは〜。
え〜、きょうはですねぇ〜、家の近所のお祭りで、エアガンくじ屋台をやってみた話をしようかとおもいます…。
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「はいどうも、みなさん〜」の挨拶から始まる、小学生・中学生YouTuberの動画をはじめて観たのはいつ頃になるだろう。ニコ動でやった方がウケるんじゃね?と思っていたら、いつの間にか一大ジャンルに発展していた。
特に「エアガン開封動画」。バーチャンとかからもらったであろう小遣いをドブに捨てるがごとく、人殺しの道具のレプリカに浪費、わざわざサバイバルナイフで箱のシュリンクパック開けちゃったりしてるのがほほえましい。
個人的に気に入ってるのは、リアル消防・厨房の生態を垣間見る感じ、部屋の隅のゴミ箱から、すえたあの匂いが漂ってくるような雰囲気の動画。……学習机の上、布団の敷きパッドの上とかに並んだエアガンの箱。片手でカメラを持ちつつ、もう一方の手でシュリンクパックを雑にむしり取り、開封。その場でつっかえ気味のレビュー(声変わり前がベター)をしながら、遠くでテレビの音が聴こえたりする、ほぼ一発撮りの動画だとポイント高い。お祭りの屋台のくじで当ててきた、粗悪な品質の中華エアガンのレビューだったりすると、さらに良い…。
ふと思った。……こういう動画の新しいやつ、これからも、もっと見られる方法はないだろうか? 自分で中華エアガンのレビューをしても意味がないので、リアル消防・厨房に動画を作ってもらうように仕向けるには…。
9月の連休中に開催する、地元・名古屋の大きな祭「今池まつり」。毎年、職場でブースを出す機会があり、去年は店番がてら、実家でホコリをかぶっていたガンプラやらファミカセやらレゴブロックやらを、100円とか300円で叩き売る小商いをしていた。かなりの勢いでハケたのに気を良くして、今年はちゃんと仕入れをして、それなりに利益が出る小商いができれば…と思っていたが、これと組み合わせたら…!
というわけで、ナントカ法人ばりに「つくる人を増やす」勢いで、中華エアガンくじ屋台をやってみることに。
仕入れ
まずはAmazonで検索。東京マルイの一番安いエアガン「ニュー銀ダンエアガン」にしても定価が1,600円。500円とか300円とかのくじの景品にして、儲けが出る値段のエアガン、とすると中国メーカーのやつだろう。Ali ExpressとかDealeXtremeとかBanggoodなんかの中華ネットモールで死ぬほど売ってるんじゃね?と思ったが全く検索にひっかからず。販売規制でもあるんだろうか?
……VIAの片割れ、DJ USAが昔サバゲをやっていたのを思い出し、中華エアガンの出所について訊いてみることにした。
教えてもらったリンク先の店を見ると、灯台下暗し。名古屋にはデカい菓子・玩具問屋街、明道町があるのを忘れていた…!
さっそく偵察に行ってみると…ファミレスとか駅の売店でしか見ないようなチープトイの山に頭クラクラ。エル・ドラドは意外と近所にあった…。
貼り紙からして売ってるものがヤバかった、名古屋ガンショップ a.k.a. おもちゃのてっぽう問屋にはぜひ一度行ってみたかったが、移転。小売りはもうやってないらしいので、明道町西側エリアに絞り、問屋を何件か巡る。
明道町・おすすめの店
堀商店
小売りに対応していない問屋が多い中、少額購入も可能な店。土曜日ともなれば、無料駐車場の空きを待つ車の列。地域の子供会のお祭りの景品を仕入れにきたと思しき、オトーサン&オカーサンで賑わっている。
店内はGoogleストリートビューで回遊可能。上述の「名古屋ガンショップ」もストリートビューで店内が見られるんだけど、問屋街で流行ってるんだろうか?
買ったエアガンについて
いわゆる「銀玉鉄砲」ではなく、エアコッキング式の「エアガン」に絞って買い集める。
上位(原価:2,000〜800円)の景品はやっぱり、長尺のスナイパーライフルとかショットガン型。買えば買うほど粗利が減るが、見せびらかし用にはどうしても揃えたい。
中位(原価:400~500円)の景品はギミック重視で、レーザーポインター代わりのLEDライトがオマケに付いてるやつ、箱のデザインが良さげなのをバラバラに何種類か。
下位(原価:250~150円)の景品は少しでも箱が大きくて安いもの。シュリンクパックされていると、なお良い。
※問屋で買う中華エアガンで気をつけたいのは、箱の横や裏に貼ってある、数字が書かれたシール。[No.150]なんて入ってるのは、仕入れ原価なので、事前に剥がしときましょう。
安物ほど見映えが大事
末等に選んだ、このエアガンの問屋価格、シュリンクパックの箱入りなら160円、OPP袋の簡易包装だと100円。OPP袋のエアガン、粗利は稼げるんだけど、中身がエアコキでも銀玉鉄砲にしか見えず、舌先三寸でゴマかすのも限界がある。「開封動画」という題目を掲げるなら、最低ラインはせめて箱入りだと悟った…。
祭の出店時間は10:00〜20:00ぐらい。ブースの準備、片付け、車での移動まで含めるとなんだかんだで、1日15時間ぐらいの拘束。せめて、交通量調査のバイトをやったぐらいには儲かってほしい…。会期中、1日だけの出店のつもりで50丁ほど買っておいたが、翌日も出店することになり、結局買い増し。大小あわせて80丁、計18,655円分の中華エアガンを買い込む。
ここで気付きが。エアガンの箱に書いてある型番で検索すると、中華エアガン開封動画がディグれる…!ユーラシア大陸の遥か彼方のロシア人のガキまで、手元にあるのと同じエアガンの開封動画を投稿しているのには震える…。
くじ
シモジマみたいな包装用品の店で、三角くじと抽選箱を買うと1,000円は下らないし、三角くじに等数を書き込んでのり付けするのは考えただけでダルそう。テキ屋定番の100枚シートになった、めくると番号が出るくじにしようかと思ったけど、抽選がフューチャリスティックだとガキの目を引くかと思い、iPad用のアプリ「三角くじ」を使うことにした。福引き系アプリの中では、画像やBGMの設定ができたりとやたらと高機能だと思う。
看板
ターポリンのテント生地にUV印刷とか、cre8 base kanayamaみたいなメイカースペースで作れないこともないけど、どうせ祭の間しか使わないだろう。……イラレで適当に描いて、職場で余っていたハレパネの切れ端で看板を作る。あわよくば、その場でリアル厨房にエアガン開封動画を撮らせてもらおうと、YouTubeのウインドウを模した撮影ブースも用意。準備は万全すぎる…!
祭・当日
当日は数日前から雨の予報。この様子じゃ、エアガン80丁と共に心中だな…と思ったのもつかの間、テーブルに店を広げると小学生男子にコンスタントに売れていくエアガンくじ。
それもそのはず、事前にエアガンくじ屋の景品の相場を、客を装いリサーチ。末等レベルでもシュリンクパック、発泡スチロールのケースに入ったエアガンが一応手に入る、というアドバンテージがあれば、くじを引く消防や厨房のガッカリ感は最低限に食い止められる。……金庫代わりのジップロックにジャラジャラ溜まっていく小銭の音が小気味よい。
当初は周りのくじ屋を見つつ、つり銭の管理も楽な、くじ1回:500円に設定。採算分岐点を越え、上位の等がハケた2日目の終盤では、くじ1回:300円にPOPを入れ替えている。にわか雨の中でも2日間で73丁を売り捌くことができ、最終的にジップロックの中には32,200円分の小銭! 必要経費を考えなければ、粗利は13,545円、打ち上げでやっすいしゃぶしゃぶ食べ放題なら行けるかな…。仕入れるエアガンを吟味して、当日の天気さえよければ、売り上げをさらに伸ばすこともできただろう。
出店してみての気付き
リピーター、助かるわ…
祭だからこそ、出会う人とのやり取りが楽しい。
近所のたこ焼き居酒屋のコワモテのお兄さん、おもしろがって2回もくじを引きにきてくれる…。後輩をいじめる時に使うんだろうか? 両方とも安エアガンしか当たらなかった時は、結局運なんだけど、内心、ヒヤヒヤしていた…。
祭で気が大きくなっているのが見るからに分かる、小学生グループはちょうらかし、小銭を何度も恵んでもらう。最近の子供、カネ持ってるな…。あと、意外と子供の顔って覚えているもんで、くじを引きにきてた別の子供の一人、去年はガンプラ買いにきてた子供だったのにはニヤニヤ…。
中華エアガンの歩留まり、悪すぎ…
組み立てもバリも、ひどすぎな中華エアガン。くじ代が、特に同伴のカーチャンの財布から出費されていた場合、開封済でも不良品はクレーム対応にきちんと応じましょう。
買ってきたエアガンの種類だけ、等を設定しない
「はい、11等〜!」(末等)なんて言われた日には、ガキがヘコむのは目に見えてる…。下位の等のしょぼさを悟られないように「一番くじ」のように「A賞」「B賞」とか、もしくは「はやぶさ賞」とか「コンドル賞」みたいに、どれでもなんかすごいのが当たったような感じにするべきなのかも。
まとめ
ここまでくると、余生はエアガンくじ屋への転職を夢見てしまうもの。しかし、よくよく考えてみると、天候に左右される、全国各地の祭を回っても当然、休みの日しか店が出せない、おまけにショバ代まで取られるんじゃ、さすがに生活への展望が見えないっすわ…。ガチでテキ屋を生業にしている方々は、景品の仕入れとか、さらに画期的なソリューションを用意しているんじゃないだろうか? 中華エアガンにまつわる闇、まだまだ興味は尽きない…。
……え、開封動画? 雨でそれどころじゃねーよ! 一瞬の晴れ間、たまたま2等を当てた厨房にブースを渡し、iPhoneで1枚ポートレートを撮らせてもらうのが精一杯だった…。
東京でも…
つくしレコーズが「インターネットヤミ市 東京2016」に出店するのを聞きつけ、直訴。リベンジとばかりに、1回500円で空くじ無しのエアガンくじが引けて、開封動画もその場で撮影する、インターネットの闇を具現化した「エアガン開封動画くじブース」を脇でやらせてもらえることになりました。10/16(日)の12:00~18:00、3331 Arts Chiyoda体育館にてお待ちしております。……エアガン開封動画、撮らせて!
ボーナストラック
ここまで読んでいただいたみなさんに、なんと、つくしレコーズからのプレゼント。「ナードコア祈年祭」でもプレイされた、VIA「エアガン開封動画」の音源をエクスクルーシブでご提供!激ヤバ鬼マスト!
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▼プロフィール
Devgon Ash
1981年生まれ、名古屋在住。
2002年頃より、サーキットベンディングを始める。2005年、日本版ベンディング・フェスティバル『bend++』よりライブ活動・インスタレーション製作を開始。活動名・HNはハイスクールの文化祭出演時に結成したコピーバンド名より流用。「全校生徒の前でバンド演奏という妄想」スタイルのパフォーマンスで、NYで開催されるベンディング・フェスティバル『Bent Festival』に2006年・2009年、出演。
近年は音楽活動が停滞する一方で、ネットカルチャーの辺境のDig、ロードサイドの観察を飽きもせず続けている。
つくしレコーズのnoteへの寄稿のきっかけは、10年以上前、サーキットベンディングや、日常のあれこれを綴ったブログ「いっそ感電死。」(現在は閉鎖)をやっていたことが縁。
http://devgonash.com
https://twitter.com/devgonash
つくしレコーズ http://tuxurecords.tumblr.com/
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