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車で50分の推し活へ ~趣味に救われる

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉、仕事柄、すっかり聞き慣れていますが、皆さんは、意識されているのでしょうか?
 
仕事が好きだから関係ない、という方もいらっしゃるのかなと思います。
 
耳になじんでいる言葉ですが、私自身はというと、身になじんだ生活を送っているわけではありません。「紺屋の白袴」です。
最近の土日は、リアル研修、オンライン研修、書籍学習など、ほぼ仕事関連で占められています。

すべて織り込み済みです。自営業ですので、強制的にさせられている感はなく、時間の拘束も関係ありません。
趣味も後回しにして、それでも十分だと過ごしてきました。
しかし、限界を思い知らされました。
 



🌸開業後、最大の危機

ここ数週間、深刻な悩みに直面しました。
他士業の法律に抵触する、ある業務の相談に乗ってくれと、特定の人からゴリ押しされているのです。少しでも引き受けたら最後。私は法律違反で捕まるでしょう。それ以前に、自分の仕事を続けられなくなります。

資格、仕事を失う危機。
断るのは当然ですが、それでも執拗に来る連絡。
先にメンタルがまいってしまいそうな危険を感じました。
(このままでは、まずい……)
どこかで気分転換をしないと、本業の業務にも悪影響を及ぼしかねません。

閉塞感に覆われたころでした。
救いのイベントが待ちかまえていたのです。
趣味に関するイベント、いわゆる推し活でした。
 

🌸記憶に埋もれていた聖地

四半世紀以上、加入しつづけているファンクラブが2つあります。
1つは某音楽バンドですが、あえて触れるつもりはなくて……。
もう1つが、推理小説「名探偵・浅見光彦シリーズ」です。以前、こちらのnoteでもご紹介しました。テレビドラマの2時間サスペンスでおなじみです。
 
原作者は内田康夫先生です。
先生は6年前(2018年)の3月にお亡くなりになりました。
新作は途絶えてしまいましたが、ファンクラブは存続し、毎年3月の命日(3/13)近くに、偲ぶ会が催されています。
場所は、東京・北区や軽井沢。
 
「遠い……」
東京まで新幹線の乗車時間1時間、軽井沢まではその倍以上。
日本全国的にみれば、「近いだろうが!」とお叱りを受けてしまいそうな距離です。
昔は、サイン会やイベントで、たまに出かけていたのですが、寄る年波というせいでしょうか? 足が遠のき、偲ぶ会への参加は毎年、見送っている状況でした。
 
なぜ、東京・北区と軽井沢なのかと言いますと……。
北区は、作家先生のご出身地であり、かつ、名探偵・浅見光彦が住んでいる(設定の)街です。
軽井沢は、先生が作家になられて居住された地で、ファンクラブのクラブハウスが存在します。
ファンにとって、いわゆる、2大聖地でしょうか?
 
しかし、聖地と同じくらい、ゆかりのある場所が存在することをすっかり忘れていました。
先生のお墓です。そこは、「冨士霊園」。静岡県内に存在し、その名のとおり、富士山の麓に位置します。
今年の偲ぶ会は、冨士霊園で開催されることに。
そして、冨士霊園のある県は、私の地元……。
 
「近い!」
車を運転して行くことのできる距離です。
すぐに参加応募しました……、ではなく、失態をしでかしました。申込しようとしたら、期限を過ぎていたのです。日ごろ、趣味を後回しにしていたつけが回ってきたのですね……。大反省です。

ショックは一時で終わりました。ファンクラブ事務局の方のご厚意と、運とにより、参加できることになったのです。感謝です。
 

🌸朱書きではないお墓

私の車の中には、浅見グッズの1つ、車のナンバープレートを模したキーホルダーが飾られています。先生とのお別れで軽井沢のクラブハウスを訪れた際、購入したものです。
このキーホルダーを眺めながら、浅見さんのイベントに向かう……。夢にも思っていませんでした。
 
地元県とはいえ、そうそう訪れる機会のなかった冨士霊園。
広大な園の奥、小高い場所に、文学碑公苑がありました。1つの碑に、何十名もの文学者の方々のお名前と代表作がズラリと刻まれています。それが8基ほど建っていたでしょうか。
冨士霊園のサイトによると、800名ほどいらっしゃるそうです。
(公益財団法人 冨士霊園ホームページ:https://fujireien.or.jp)
国語の教科書でいうところの有名な方では、司馬遼太郎先生、井上靖先生のお名前も見られました。
 
ところどころ、お名前が黒ではなく、朱書きになっている方がいます。
朱書きの方は、ご健在な方。お亡くなりになってから、黒字に変えられるそうです。
内田先生も、朱書きの時がありました。生前、「お墓を見る会」というファンクラブイベントが開催されていますが、当時の私は車がなく、参加しなかったのです。悔やまれます。
 
黒字で刻まれた内田先生のお名前。
手を合わせ、自然と誓ったのは、「書き続ける」ということでした。
私がこうしてnoteに投稿していられるのは、「軽井沢のセンセ」のおかげです。
小説公募までは手が出なくなりましたが、ブログでも何でも、文章というものには向き合い続けたい。それが、せめてもの恩返しです。
 

🌸仕事か趣味か?

ファンの方々の存在も励みになりました。
 
遠くから参加されている方も多くいらっしゃったようです。しかも、私よりも年上に見える方々ばかり。はるばる静岡まで。頭が下がります。
「東京、軽井沢は遠い」とか、「年のせいか」などと言っていられません。
すべて言い訳でした。
趣味への情熱が失せていたことに気づきました。
またもや大反省です。
 
とはいえ、車で片道50分間の近場だからこそ実現した、今回のイベント参加。
晴れ渡った空、雄大な富士山、運転中に聴き続けた大好きな音楽バンドの曲たち……。
すべてが味方してくれたようで、ここ何日も覆いつくされていた、もやもやから解放されました。
厄介な問題に立ち向かう元気を与えられました。
 
「ワーク・ライフ・バランス」
活力を得るためには、仕事に没頭しているだけでは限界があるのかもしれません。
「仕事か○○か」。どちらか一方だけを選んだり、どちらかに偏ったりするのではない。メリハリつけるのが大事だと、身をもって学んだ日曜日でした。
仕事関連の書籍はひとまず横において、小説の文庫本を久々に手に取ってみます👩‍💼 


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