見出し画像

アイドルやタレントのイメージとテレビ業界を考える

 年々とアイドルのイメージが変わりつつある。筆者が小学生だった2000年代初頭はテレビで活躍するアイドルばかりで、同じ時間を一緒の空間で味わえるのはコンサートやイベントくらいしかなかった。ところが、2010年代に突入するとSNSが急速に発達し、スマートフォンさえ持っていれば、いつでもどこでも会える存在となった。SNSを活用しながらテレビの中のアイドルとして生き続けるジャニーズもいるが、今後のアイドルのイメージは大きく進化を遂げると思う。

 そもそもアイドルは「偶像」「崇拝される人や物」「あこがれの的」「熱狂的なファンをもつ人」を指す言葉だが、週刊誌などで報じられるスキャンダラスな記事を読むと、アイドルそのものについて考えてしまうことがある。かつては偶像と呼ばれていたアイドルも一部では恋愛に関するルールが緩くなったりと変化しつつあるが、それでも熱愛やプライベート写真の流出などがあると、ネット上で大バッシングを受けてしまう。結局、我々はどこか偶像を求めているのかもしれない。

 アイドルのイメージから脱皮するのはすごく難しい。無名のアイドルであれば、女優へのシフトチェンジが上手くいくかもしれないが、人気アイドルグループの中心メンバーとして活躍していれば、もれなく肩書きが付いてくるだろう。元AKB48の川栄李奈はアイドル時代にバラエティ番組で活躍し、2014年に行われた選抜総選挙では最高16位を獲得するなど人気が急上昇していたが、現在はドラマ・映画で幅広い役柄を演じている。同じく元AKB48の前田敦子もグループのセンターのイメージが強いが、卒業後はイメージを払拭するように多方面で活躍している。

 ただ、近年は元アイドルの女優が急増していることから共演者に他の事務所の元アイドルと共演することも少なくなく、どうしてもアイドル時代のことが脳裏に浮かんでしまう(ジャニーズとAKBとか)。

 一方で男性アイドルの場合はどうだろう。元KAT-TUNの赤西仁と元関ジャニ∞の錦戸亮・渋谷すばるはアイドル時代に比べてメディアへの露出が減少したが、SNSを活用しながらグループのイメージに囚われずにやりたいことを自由に活動している感じが見受けられる。

 アイドルから歌手・シンガーソングライター・女優に転身する者もいれば、タレントにシフトする者もいる。元モーニング娘。の辻希美もママタレントとしてブログを通じて一時代を築き、これがきっかけで多くの業界からママタレントが誕生した。同じく元モーニング娘。で初代リーダーの中澤裕子は結婚を機に活動拠点を福岡に移し、現在はローカルタレントとして活動している。田中将大と結婚したカントリー娘。の里田まいはタレントでありながらもかつてのおバカキャラから完全脱皮した形になった。

 ただ、タレントは他のジャンルと違ってイメージが重要視される。不倫や交通事故などのスキャンダルを起こすと、活躍の場を失ってしまい、かなり大きなリスクを背負うことになる。現在はテレビ以外にもSNSという個人で発信する場があるためメディア露出が激減しようが、自分の存在をアピールすることができる。かつてアイドル的な人気を誇った元俳優の押尾学は自身のインスタグラムで日々の出来事を発信していたり、何かしらの理由で芸能界を引退したタレントもSNSを活用していることが多い。そもそも芸能人はどこまで芸能人なのか疑問を呈したくなるが、今回は触れないでおく。

 この数年で男女ともに世代交代が加速している。2020年をもって嵐が活動休止を迎え、未来を担うジャニーズJr.が先輩のバーターとして番組に出演するなど特権を使いながら大いに盛り上がりを見せている。AKB48や乃木坂46が少しずつ落ち着きを見せ、昨年はNiziUが誕生した。近所の公園で小学生が縄跳びダンスをしているのを見て、完全に流れが変わったと確信した。現在は絶頂期を迎えているアイドルも、いずれはピークを迎えることになり、また新たなグループが誕生する。もしかすると、これまでのイメージを覆すアイドルが誕生するかもしれない。そうやってアイドルの形は変わっていく。

 これだけネット社会になっていながらも、未だに芸能人としての人気はテレビが基準となっている。人気の低迷や結婚・出産などでテレビ出演がなくなると、“あの人は今”として消えたも同然のように扱われるから不思議だ。

 また、人気タレントがスキャンダルを起こすと、その日からテロップ対応(※「○月☆日に収録しました」、「一部内容を変更して放送しました」など)、出演者の一部をカット、番組そのものが差し替えとなる場合がある。

 タレントのゆきぽよ、俳優の伊藤健太郎が記憶に新しいが、ちょっと可哀想だったのが香里奈である。一時期はモデル・女優としてメディアに引っ張りだこだったが、写真週刊誌にプライベート写真が掲載されたことで仕事が激減。第一線からは外れてしまったものの、昨年放送されたドラマ『恋はつづくよどこまでも』に脇役で出演するなど現在も地道に活動を続けている。

 テレビ以外にもラジオやYouTube、イベントの営業で活躍しているタレントが存在する。この数年は芸能人が続々とYouTuberデビューを果たしているが、知名度があっても成功するとは限らない。テレビと違ってネットニュースで取り上げられていたり、急上昇ランキングで浮上していない限り、ファンならともかく芸能人のYouTubeを見ることなんてまずない。ただ、驚くことに2000年代初頭に活躍していたお笑い芸人のヒロシは2021年2月現在の登録者数が100万人を突破している。テレビという狭い空間で活動するよりはYouTubeで自分らしく地道に活動していくことがいいのかもしれない。

 有吉弘行が自身のラジオ番組で女性タレントの入れ替わりの早さについて言及した。お笑い芸人も早い気がするが、女性タレントはそれ以上に早い。

小池栄子、菜々緒、中村アンなどの名前を挙げながら「あの辺のバラエティ出てたチームはみんな女優になったね」、さらに「熊田曜子とか優木まおみちゃんとか、安田美沙子とか矢口とか、あの辺はお母さんになって」とコメント。

有吉弘行「だから『みちょぱとばっかりだな』って」 女性芸能人のサイクルの早さ指摘

 この記事を書いている間にも女性タレントは目まぐるしく変わっていく─。


最後まで読んでいただきありがとうございます。スキとフォローをしていただけると励みになるのでよろしくお願いします。