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何かが気にかかって、ふと足を止めてみる。そしてしばらく考えてみる。それにはいったい、どんな意味があるんだろう? その積み重ねでできたエッセイです。文と写真はすべてマキタ・ユウスケ…
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2018年5月の記事一覧

ここから⇒人生の広場"灯台を見にいく"

前回が海に夕日を見にいく話だったので、今回は灯台について書いてみたい。まず最初に言っておきたいのは、灯台は日中に見るものではなく日没後に見るべきものだ、ということ。どういうことかご説明します。 なぜ灯台は日没後に見るべきなのか?灯台は白い。白くて長い。 船の航行のためにあるから、かならず海に面している。 白くて長い灯台は、海と空の青に映えて美しい。 だから灯台は観光地図や案内にも載っていたりする。 そういう灯台をカメラに収めるのが趣味という方もきっとおられると思う。

ここから⇒人生の広場"夕日はどこに沈む?"

夕日と言えば、あなたはどんなイメージを抱くのだろう。 それは海に沈むのか、山に沈むのか? 今回は夕日について書いてみました。 夕日を見にいくたまに夕日が見たくて海に行く。 僕の住んでいるところからは30分ほどドライブすればすぐ海に行ける。 だから運転免許を取ったばかりの頃はよく誰かと連れ立って海に行った。 そしてあてもない話をしたり、煙草を吸ったり潮風に吹かれたり砂浜を歩いたりして、日本海に沈む夕日を見た。 気持ちよく夕日を眺めるには、よく晴れた日の日没10分前までに海岸

ここから⇒人生の広場 "ベンチ"

ベンチの魅力いつの頃からかはっきりとは覚えていないのだけど、「ベンチ」というものに心惹かれるようになった。公園とか歩道沿いに置いてある、あのどこにでもあるベンチである。それはコンクリート製であったり木製だったり、鉄で出来ていたり石で出来ていたりする。稀にごろっと横になっている人もいるけれど、基本的には人が座るためのものだ。 ベンチに人が座る。その目的は様々だ。ちょっと一息つく、待ち合わせ場所にする、ランチを食べる、本を読む、スケッチする。ベンチは座るという動作に付随する、多

ここから⇒人生の広場 "リップクリーム"

さて、ここから下のエッセイはリップクリームについて、である。 おいおい、前回出だしで人生の広場だとか何やら大仰なことを言っていた割には随分こじんまりとした題材じゃないか、と思われるかもしれない。実際その通りだと思う。 でも、僕はこのリップクリームという奴にはそこそこ言いたいことが溜まっているのだ。 メンソールから無香料へ僕は唇が乾きやすい体質なので、季節を問わず通年でリップクリームを使用している。以前はどこでも手に入るメンソールタイプのリップを使っていたのだけれど、ある時気

ここから⇒人生の広場

池澤夏樹さんの短編集『きみのためのバラ』に『人生の広場』という話がある。 慌ただしい世間のレールから外れてふと立ち止まり、これからどこに行くかは時期が来たら決めればいいさ、としばらく広場を散歩して自由になることを自分に許す。人生の中でそんな期間があるとそれから生きるのが少し楽になるんだ、というような話だ。 経済的にも時間にもある程度の余裕があって、好きに使えるというのがその条件になる。そういう期間のことを人生の広場と呼んだのは池澤さんのアイディアだろう。その短編の中で話し手の