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Web3事業成長を支えるTuringum Business Chain

Turingumの代表取締役CTOの田原(なまはげ)です。
今回は弊社が発表した「Turingum Business Chain」というサービスについて説明したいと思います。

Turingum Business ChainとはEthereumのレイヤー2と呼ばれる、Ethereumの利点であるネットワークの分散性や安全性を利用しながら安価で高速なブロックチェーンを開発するサービスです。
Turingum Business Chainでは顧客企業様のサービスに合わせてカスタマイズされたレイヤー2ブロックチェーンを開発し、運用します。そうすることでサービスの運用フェーズにあったプラットフォームとしてのブロックチェーンの展開が可能になります。

と、説明したところで「これは何に使えるの?」「何が嬉しいの?」と思う方がほとんどでしょう。
今回は我々Turingumがこのサービスを展開しようと考えた背景について、世の中のWeb3業界の動向や今後の動きについて説明します。そして今後のWeb3の世界になぜTuringum Business Chainが重要なのかを説明します。

よりリアルビジネスに近づくWeb3の世界

これまでのブロックチェーンはとてもバーチャル

ブロックチェーンは「価値のインターネット」として期待されています。インターネットが情報をオープンに流通させることで世界を変革しました。それに対してブロックチェーンは資産価値のある物をオープンに流通させることができると言われています。
しかし、今のブロックチェーンの使われ方はとても「バーチャル」でブロックチェーンの世界に閉じこもっており、「価値のインターネット」としての役割は果たしていないと言えるでしょう。

たとえば、EthereumやBitcoinのような分散化されたブロックチェーンに対してより高速で安価であることを謳ったレイヤー1ブロックチェーンがたくさん現れました(そして2023年現在実際に使われていないブロックチェーンの方が多くなっています)。また、ブロックチェーン上のデータそのものに価値を見出すNFTやブロックチェーン上でトークンを獲得することそれ自体が価値になるPlay to Earnゲームやそうしたバーチャル資産をやり取りするDeFiやマーケットプレイスが現れました。
これらのユースケースは全てブロックチェーンの中で価値が完結しており、外のリアルワールドには何も紐づいていません。もちろんだからといって全てのプロジェクトが意味がないというわけではありません。DeFiやNFTマーケットプレイスは新しい価値の流通のあり方を示してくれましたし、一方でDAOや分散性の難しさも教えてくれました。

ただし、こうしたDeFiやNFTマーケットプレイスなどの仕組みはブロックチェーンという「価値のインターネット」というシステムの部品にすぎません。「価値のインターネット」にリアルな世界の「価値」がないと意味がないのです。
これまでは「部品」を作るためのフェーズでした。しかし業界は新しい局面を迎えています。
これを如実に表したのがSECによるBinanceとCoinbaseへの訴訟だと思います。この詳細については省きますが、価値が流れていない「価値のインターネット」に対する批判や、法的な論点が十分整理されないまま「DAO」や「ガバナンス」という安易な概念に逃げてきた批判とも見ることができるでしょう。

「価値のインターネット」はなぜ凄いのか

では、実体経済の価値が存在しない「価値のインターネット」となってしまったブロックチェーンは全く利用価値のない将来性のないものなのでしょうか。
僕は違うと思います。

まず決済システムとして見た時にBitcoinやEthereumなどの主要ブロックチェーンほど安定した実績を達成しているシステムは存在しません。しかもそれがオープンに運営され、誰でも参加する権利が与えられています。
誰でも参加できることによって世界中のアイディアが集結し、開発者が独自のアプリケーションを作ることで思わぬユースケースが見つかることも大きな利点です。事業者が思いもよらない新たな視点が常に世界中からもたらされることはプラットフォーム事業者にとっては非常に魅力的です。

また、改ざんができないデータベースという特徴もとても大きなメリットです。改ざんされていないこと(ブロックチェーン上に登録されてから一度も変更されていないこと)を証明できるだけではなく、その証明の結果をNFTなどの形で容易に流通させることができます。
繰り返しにはなりますが、こうした素晴らしいプラットフォームがオープンに運営され、誰でも参加することができるのです。これ以上に魅力的なプラットフォームは他にあるでしょうか。

リアルビジネスが参入しない理由

しかし、まだブロックチェーンの外にあるリアルな価値が入ってこないのにはいくつか要因があります。

一番の問題点はブロックチェーンは厳密なシステムであるが故に融通がきかないところです。ブロックチェーン上のサービスは問答無用でオープンなサービスとなり、ハッカーなども含めた多様なユーザーに揉まれてしまいます。このことはスモールスタートや規制環境に合わせたビジネスを行いたい事業者にとっては大きなマイナスになります。
ガバナンストークンによるガバナンスに自分のビジネスを委ねるWeb3的な運用を最初から好む事業者はいません。事業に求められるオープンさは事業フェーズによって変わっていきます。

また、ユーザーに課されるトランザクション手数料やトランザクションの承認にかかる時間もネックとなっています。この利用料はとても変動が激しい上に利用者側にETHやBTCといったネイティブトークンの保有を強制させてしまいます。その上、承認に時間がかかることはユーザビリティの大きな低下につながります。
かといって早くて安価なブロックチェーンを利用すると、こうしたブロックチェーンは分散されていないことが多いためそもそものブロックチェーンのメリットが十分の享受できなくなります。
これらの要因が重なることでなかなかブロックチェーンの外の価値が流入しにくくなっています。

価値のインターネットに価値を流通させる準備は整った

しかし、現在レイヤー2と呼ばれる新たな技術(Polygon、Binance Smart Chainなど)によってEthereumやBitcoinという分散化されたブロックチェーンの価値を十分に生かすことができるようになりました。
レイヤー1とレイヤー2の違いについては以前の記事でも触れました。

レイヤー2技術というのは独立したブロックチェーンでありながら、データの検証・所有をEthereumやBitcoinといった安全なブロックチェーン(レイヤー1とも呼びます)に行わせることで分散化のメリットを享受できる技術のことです。
レイヤー2技術で構成されたブロックチェーンはレイヤー1ブロックチェーンよりもより安価かつ高速に利用することができます。また、独立したブロックチェーンでもあるため、ある程度カスタマイズすることが可能であり、前節の問題点を解決してくれます。また、レイヤー1チェーン上のETHやUSDCなどの資産を技術的に安全な方法で移すことができることも大きなメリットです。

こうした「部品」が揃った今、僕らWeb3事業者はブロックチェーンという価値のインターネットにリアルな価値を流し込まなければいけません。

リアルなビジネスがブロックチェーンに入り込む世界が来る

価値のインターネットに注ぎ込まれるリアルな価値はどんなものが考えられるでしょうか?
これらの価値はブロックチェーンの外の実体経済にありながら、ブロックチェーンによってより生かされるものでなくてはなりません。

例えば実体経済で利用されるアセットのブロックチェーン上での流通が挙げられます。金や原油などのコモディティやアートなどこれまで一般投資家が気軽に投資できなかったものを流通させることができますし、円やユーロなどの通貨をステーブルコインのような形で流通させることができます。

またカーボンオフセットの取引やトレーサビリティの確保など、需要はあるもののクローズドなシステムではあまり意味をなしていなかったサービスもブロックチェーンの世界でオープンな取引が推進されることでより価値を持つようになります。

GameFiもより「リアル」になるでしょう。これまではゲームではなくトークンを稼ぐこと自体が価値になるというクローズドな価値循環に陥っていました。それが今後はゲームの面白さやエコシステム全体によって生まれた熱狂そのものが価値としてブロックチェーン上に現れるようになるでしょう。

リアルな世界の価値を価値のインターネットに注ぎ込むのがTuringum Business Chainの最大の役割です。

Turingum Business Chainの役割

Turingum Business Chainでできること

Turingum Business Chainはレイヤー2技術を利用してそのサービスにあった最適なブロックチェーンを作成し、運用するサービスです。

このサービスで実現できるビジネスは前節の通り、ステーブルコインやコモディティ・アートなどのリアルな世界での資産の流通が一般のユーザーにもアクセスできるようになります。よりゲーム性の高い複雑なGameFi・ファンコミュニティ、そしてカーボンオフセットの取引などリアルビジネスに紐づいたブロックチェーンビジネスを高速でWeb2ライクに一般ユーザーにもわかりやすく提供することができます。

そして何よりこうしたサービスをEthereumという巨大で分散化されたチェーンを生かして展開することで分散化のメリットを享受することができます。

リアルビジネスに合わせたチェーンの展開

Turingum Business Chainは事業フェーズやビジネスの特徴に合わせた柔軟な展開が可能です。

事業のスタート時点ではチェーン上に載せるコントラクトをある程度制限したり、利用できるユーザーを限定することやレイヤー1と連携できる資産を制限することができます。
ユーザーへの手数料の負担をなくしたり、取引スピードなども調整することもできます。

これによって規制リスクに対応したりスモールスタートが可能になり、ブロックチェーンにあまり慣れていないユーザーにも使いやすいサービスも目指すことができます。
事業フェーズが進んだ時点でよりパブリックに展開することで、よりEthereumやブロックチェーンのオープンな特性を生かして事業としてグロースさせることができるようになります。

Turingumによるビジネスサポート

Turingum Business Chainではただブロックチェーンを構築するだけではなく、Turingumによる手厚いビジネスサポートも受けられます。

Turingumは国内外でも数多くプロジェクトを企画・運営してきており、企画立案フェーズから運用フェーズまでのサポートを行います。独自ブロックチェーンを利用することでより幅広いビジネスを実現することができ、顧客企業の能力を活かした「事業化・収益化のための Web3ビジネス」を実現することができます。

Turingum Business Chainを皆様のビジネスの発展と成長の一助としてご活用いただければ幸いです。

Turingum Business Chainにご興味を持ってくださった方は、サービスページのお問い合わせよりご気軽にお声掛けください。


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