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読書の形や対象はいろいろあると思います。

息子も大学生になると専門書等が増えていくことも予想されることもあり、少し本棚の整理を、なんて思いながら目に入ってきたのが『読書教育 - フランスの活気ある現場から』との一冊。2012年頃に初めて読んだ記録が残っていましたが、おそらくは息子が小学校に入った年くらいに息子に読書習慣を身につけさせたいなぁ、なんて考えていた矢先に引っかかったのかな、最初は図書館で見つけた覚えもありますが、今現在は蔵書になっています。

題名が示している通りに読書による教育が題材で、舞台となるフランスの教育現場における読書の活用状況を、「高校生ゴンクール賞」などの具体例を元に紹介されています。

作家を審査員とする文学賞が信用を失っている

出典:『読書教育 - フランスの活気ある現場から』

その「高校生ゴンクール賞」、日本でいうならば芥川賞を、高校生が主役となって選ぶ文学賞となります。なんでも本家のゴンクール賞とは受賞作が異なることも多いとのことで、これは面白いなぁ、、と感じた覚えがあります。

で、日本でも「高校生版芥川賞」なんてあったりすれば、とか思っていたら「高校生直木賞(2014年が第1回)」なんてあるんですね、、知りませんでした、アンテナが縮こまってるなぁ、、反省です。

フランスには、読書教育の一環として三十年以上にわたって行われている「高校生ゴンクール賞」(毎年二千人を超えるフランスの高校生たちが参加し、権威ある仏ゴンクール賞の候補作の中から自分たちなりの1作を選ぶ)があります。その日本版を目指して2014年5月に第1回(受賞作『巨鯨の海』)が開催されました。

出典:「高校生直木賞公式サイト」より

フランスに限らず、日本でも同様のジレンマ、「いわゆる文学賞の信用低下からくる読書離れ」があり、「本屋大賞」などもそのカウンターの一つになるのでしょうか。しがらみに囚われない純粋な視点で「読書離れ」を乗り越えようとしている一例として並べてみても、面白いかと。

もっとも、若者たち(小中高)の読書習慣は緩やかではありますが増加傾向にあるような情報もでていて、確かに息子の小学校では「朝の読書時間」なんてものが設けられていたような覚えが、、小6くらいの時にクラスでビブリオバトルとかもやってたとかも聞いたような。

出典:「過去31年の学校読書調査結果の推移」
(「公益社団法人 全国学校図書館協議会」サイトより抜粋)

どうやら時期的には、「子どもの読書活動の推進に関する法律」が平成13年(2001年)に施行されたことも、学校での読書時間が増えてきている一つの要因としてみる事が出来そうです。

(目的)
第一条 この法律は、子どもの読書活動の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、子どもの読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの健やかな成長に資することを目的とする。

(基本理念)
第二条 子ども(おおむね十八歳以下の者をいう。以下同じ。)の読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない。

出典:「子どもの読書活動の推進に関する法律」
(『文部科学省』,子どもの読書活動推進ホームページより抜粋)

(保護者の役割)
第六条 父母その他の保護者は、子どもの読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすものとする。

出典:「子どもの読書活動の推進に関する法律」
(『文部科学省』,子どもの読書活動推進ホームページより抜粋)

あと、国や地方公共団体のみならず、保護者の役割も明示されているのですね、、知らんかった、アンテナがダダ下がってますね、自省しろと小一(略

1カ月間に1冊も本を読まない児童・生徒の割合を示す「不読率」が令和に入り、増加傾向にあることが東京都内の小中高校生を対象にした都教育委員会の調査で明らかになった。

出典:「本読まぬ児童・生徒が増加 東京都教委調査」
(『産経新聞』2023年5月19日)

ただ一方では「本を読まない子供が増えている」との記事も散見され、少し気になります。統計手法の違いのような気もしますが、半年くらいの分析軸とかでの比較情報はないのかな、、探してみよう。

スマートフォンやタブレット端末などの普及を踏まえ、電子書籍を「本」として扱う一方、教科書や学習参考書、漫画、図鑑などは含めていない。

出典:「本読まぬ児童・生徒が増加 東京都教委調査」
(『産経新聞』2023年5月19日)

教科書や参考書は分りますが、漫画や図鑑を外すのはどうなんでしょう。『はたらく細胞』や『銀の匙』、『動物のお医者さん』といった、学びや気づきを多く与えてくれそうな漫画も数多くあると思いますが、図鑑はいわずもがなですし、、さてさて。

読書の「社会化」、つまり、読書という行為を共有しあう空間がつくられることで、それが可能になる。

出典:『読書教育 - フランスの活気ある現場から』

ちなみに『読書教育』では「高校生ゴンクール賞」以外にも、フランスでの「読書」を軸にした教育活動について色々と紹介されています。日本は昔から、例えば幕末に来た外国人が街角で普通に立ち読みする庶民の姿を見て「植民地化は厳しそうだ」との感想を持ったくらいに「読書」は身近にあったと思います。

にもかかわらず、フランスと比べると、日本での司書や司書教諭など、本に携わる人々の社会的地位が相対的に低く「読書教育」の根付きようはまだまだなんだなぁ、と当時、感じていたのを思い出しました。

ビブリオバトルなどが定着していった背景も踏まえると「読書」に対するポテンシャルは相当にあると思います、、一朝一夕にはいかないでしょうけど、様々な形での「読書」が定着していってほしいな、と。

本を読むということは、何かに集中する習慣のきっかけの他、自身の言葉でも解釈して再構築していくことも身についていくと思います。そういった意味では、対象は漫画でも小説でも図鑑でもなんでもいいかなぁ、と個人的には。まぁ、息子自身は、幸いにして読書をすること自体に抵抗感はないようですので、このまま継続していってほしいところです、、4月からは専門書に追われる日々も始まりますしね。

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