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【つれづれ】寄り添うとは【よもやま話】

たなかゆうすけです。

昨日の記事にコメントをいただきました。

ゆきさん、ありがとうございます。

体外受精はほんとにたくさんの想いがあります。
受精卵が愛しく、お腹に戻ってきただけで愛情が溢れます。
移植もどの先生にやってもらってもいいわけではなく、田中先生とここまで準備してきたんだから先生の手で卵を戻してもらいたい。体外受精は先生との二人三脚だと思います(^^)不安なことたくさんありますが、信頼して今がんばれています(^^)
いつもありがとうございます!

【つれづれ】本質を突き詰めた結果【よもやま話】コメントより

このコメントに関連して、少し思うところをお話させていただきます。


患者と医師の二人三脚

医療行為は『患者と医師の二人三脚』ということですが、それはまさにそうでしょう。

では、この二人三脚における双方の配分は全く同じでしょうか。

それはそうではないでしょうね。
立場が違いすぎます。

当事者はあくまで患者さんであり、医師はあくまで伴走者です。
治療の決定権は患者さんにありますが、治療の適応を判断したり、治療行為を実施に行うのは医師です。
知識と経験の量も全く異なります。

医師のことばや行動は強い力を持っています。
それが明確な意思を持って発せられるとき、患者さんの認識も意思もすべてを塗り変えてしまうことがあります。
それは文字通り『人生を変えてしまう』ことがあります。

さらにそれは、無自覚に行われてしまうことがあります。


Evidence-based Medicine(EBM)

現代の医療は、Evidence-based Medicine(EBM)という考え方を基本としています。

evidenceとは科学的根拠のことで、このエビデンスを最も重要視して医療行為を行いましょうといわれることが多いです。

カナダのGordon H. Guyattさんが提唱した概念ですが、もともとは、
『入手可能な最良の医学的根拠(エビ デンス)を知ったうえで、患者に特有の病状や意向、医師の経験や医療の状況に配慮した医療を行うための一連の行動指針』
がEBMであるとされています。

ここでは、
『現時点の最良の臨床研究によるエビデン ス』
『医療者の熟練、経験』
『患者の価値観』
『患者の臨床的状況と置かれた医療状況』
がクローズアップされています。

いわゆる科学的根拠のみではなく、それ以外に患者さんと医師という要素が含まれています。

それではこの、患者さんと医師の関係性はどうあるべきなのでしょうか。


患者さんと医師の関係性

医者と患者の関係は、その昔父権主義(パターナリズム)と言われていました。
パターナリズムとは、強い立場にある者が弱い立場にある者の利益になるという理由から、その行動に介入したり干渉したりすることです。

ある意味での『おまかせ』の医療です。

その後、患者さんの『主体性』『自己決定権』を尊重する考え方へと変化していき、説明を行った上で同意を得る(インフォームドコンセント)ということが行われはじめました。

しかしこれは、医師の説明を聞いたうえで患者さんからの同意を得るという、ある意味では上から下への一方向の構造をしています。

逆に、説明を聞いて同意を得てさえいればいいのかという話にもなってきます。

意思決定における患者さんと医師との関係性は、collaborative(協力的)であるべきでしょう。

それぞれの立場を踏まえた上で、協働的な意思決定が行われるべきと思います。


医師として気を付けておくべきこと

前述したとおり、医師のことばや行動には強い力があります。

それは、患者さんを正しい方向に導くことも、誤った方向に導くこともあります。

患者さんの価値観を尊重し
情報を提供して、選択肢を提示し
時には多すぎる情報で混乱しないよう、時間をとったり、情報を絞ったり
恣意的な誘導にならないよう、十分に配慮し
それでも限られた選択肢の中から最も望ましいであろう選択をできるよう、選択の自由を確保しつつ、患者さんの価値観を尊重したうえで、助言をしたり

『患者と医師の二人三脚』でありますが、
節度を持って、自分を律しながら
伴走者でありながら、中立的でもあり、時にはそっと背中を押したりして
医師としての役割を果たす

それが寄り添うということだと思います。

日々勉強、日々精進です。


終わりに

今日はもマジメでポエミーな話をしました。
医療ポエムという新ジャンルでも打ち立ててみましょうかね。


妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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