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【つれづれ】本質を突き詰めた結果【よもやま話】

たなかゆうすけです。

とある理由で、2024年1月から5月までの移植あたり妊娠率を集計しました。
そのとある理由は今回の本題ではありません。

私の胚移植あたりの臨床妊娠率は、61.5%でした。
109回の胚移植を実施して、そのうち67回で胎嚢の確認ができました。

2023年の胚移植あたりの臨床妊娠率は52.3%でしたので、現在のところ昨年よりも良い成績が出せています。

今回の本題は、どうやってこの成績を出しているか、ということです。


本質を突き詰める

やっていることは非常にシンプルです。

状態の良い受精卵を、適切な時期に、子宮内の適切な位置に置いてくる。

本当にそれだけです。

僕の診療を受けている方や僕の診療内容を知っている方はお分かりと思いますが、本当にほぼそれしかやっていません。

体外受精・胚移植の本質は、良い状態の受精卵を選別して、それを子宮内に移植することです。
受精の改善や卵管の問題をスキップするための方法というのが、もともとの体外受精・胚移植ですが、受精卵の選別を行わなければ妊娠率は十分上昇しません。

この本質を突き詰めるということが、最も重要と考えています。
本質を突き詰めずに、他のなにかに手を出してみても効果は高くはないでしょう。

逆に、この本質を突き詰めるだけで、実際にこの成績が出てしまうのです。


基礎技術の重要性

ただし、突き詰め方は半端ではありません。

自分の行っている行為の意味をしっかりと考え、それによって起こることを予想し、予想通りなのか予想通りでないのか評価し、結果をしっかりと受け止め、それを自分にフィードバックし、次の行動をさらに改善していく。

このサイクルをすべての行為について常に行っています。
日々の診療の中で、数限りない回数行っています。

新しい技術をどんどん取り入れていくというよりは、コアとなる基礎技術をブラッシュアップしていき純度を高めていく。

徐々に不純物が取り除かれて洗練されていくと、後に残るのはとてもシンプルなものです。

名刀と言われる日本刀のような、強く、しなやかで、その機能を体現するためだけに存在しているようなものです。

体外受精・胚移植は、『卵巣刺激』に始まり、『採卵』を経て、『授精』『胚培養』を行い、『胚移植』で完結します。

卵子個数をしっかり増やせる卵巣刺激技術がある。
増やした卵子を短時間で安全に回収する。
授精と胚培養は主に培養士さんの技術ですが、私は管理者として関与しています。
できた受精卵を、適切な時期に、適切な位置へ確実に移植する。

この技術を日々磨き上げてきました。

漫然と何も考えずにただ行ったことはないと断言します。

その結果が上に示した妊娠率です。


当たり前のことを当たり前に行う

ここまでお話したことは、何も特別なことではありません。

ヒトの受精卵を扱う生殖医が、当然磨き上げるべき技術と思っています。

我々の仕事には、それだけの責任があります。
ヒトの受精卵を扱うというのは、そういうことなのです。
『当たり前』のことなのです。

当たり前のことを当たり前に。
それが難しいことなのですが、それなくして始まりません。

私が生殖医として前線に立つ限りは、このスタンスを変えることはないでしょう。


終わりに

今日はちょっとマジメな話をしました。
わざわざこんなことをいう必要もないのかもしれませんが、診療にかける思いというものを少しでも感じていただければ幸いです。


妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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