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限界集落からの再生。地域おこしの標本「NPO法人地域おこし」

「限界集落」という言葉を知っていますか?

過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落を指します。

国土交通省が平成28年3月に発表している「過疎地域現状調査」によると、
高齢者が50%以上を占める集落数:13,649ヶ所
高齢者が100%以上の地域:726ヶ所
合計すると、限界集落数は14,375ヶ所、全国的には約22%を占めることになっています。

少子高齢化や過疎化のが続いている限り、日本は限界集落は避けて通れない課題となっています。

そこで今回は廃村寸前の限界集落を再生させた「NPO法人地域おこし」(以下、地域おこし)の紹介です。

廃村寸前の限界集落を再生したことから「奇跡の集落」と称されており、現在も持続可能な生活スタイルを実現させています。

再生までの経緯をここでも簡単に書きますが、池谷集落が現在に至るまでの軌跡は地域おこしさんのホームページにありますのでぜひご覧ください。

37世帯211名→8世帯22名の集落に

池谷・入山集落は、新潟県のJR上越新幹線「越後湯沢駅」から、ほくほく線に乗り換えて30分程で到着する「十日駅」から、更に車で30分ほどにある場所にあります。

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1960年に住民は37世帯211人が暮らし、田んぼ・養蚕・林業が生業として取り組まれていました。夏には集落の神社で夏祭りをし、芝居をしたり屋台が出てたりと、とても賑やかだったそうです。

高度経済成長期に入ると、木材の輸入自由化などの影響で山の木の価値が下がり、収入の良い仕事を求めて集落を離れていく人が増えてきました。

入山集落は1989年(平成元年)に廃村となり、池谷集落は新潟県中越地震直前は8世帯22世帯になり、当時のにぎやかさは消えてしまい、限界集落と呼ばれる状態となりました。

新潟県中越沖地震をきっかけに立ち上がる

2004年に起きた新潟県中越大地震は池谷集落も被災され、一時6世帯13人まで減り、高齢化62%で子供は1人もいない状態までになってしまいます。

現在地域おこしさんの代表理事である山本浩史さんが、復興に向けてボランティアを通じて動きはじめ、地域おこしさんの前身である「十日町地域おこし実行委員会」を立ち上げました。

2012年にNPO法人として設立し、集会所の改修、米の直販、農業研修生の受け入れ、地域おこし隊の募集、移住の受け入れ、インターンシップ事業、加工食品事業など時間と共に事業の幅が広がっていきました。

2018年9月末の時点で集落の人口は11世帯23名となり、高齢化率は39.1%まで下がり、年少人口(0〜14歳)は26.1%と全国平均を上回るまでに至っています。

2つを柱に地域おこしの活動

地域おこしさんが事業としている2つの柱です。

1、池谷・入谷モデルづくり
事業池谷・入山集落で栽培した魚沼産コシヒカリ「山清水米」という独自のブランドでネット販売をされています。

NPO法人として農業参入をし、集落の田んぼを借り受けて稲作・集落の自然を活かした体験イベント・集落に移住者を呼び込む取り組みを行われています。

十日町市へのふるさと納税の返礼品にも加わっています。

2、地域おこし応援事業

他地域の地域おこしの支援もされ、全国からの視察や公園活動、地方での企業支援、地域おこし協力隊や行政担当者向けの研修会にも力を入れています。また、行政から委託を受け、インターンシップのコーディネートや移住相談会の企画も行なっています。

Youtubeでは今までの経験を基に地域おこしに必要なポイントを纏めたものをアップされています。

SNSで日々の活動をアップ

地域おこしさんや、オンライン対談させていただいた事務局長の多田朋孔さんのFacebookページでは農作業を中心とした日々のご活動を定期的にアップしていますので、地域おこしさんの活動内容をご覧いただけます。

地方移住をして地域おこしや農作業をしてみたいと思っている方にとって、具体的にイメージできます。

昨日のリールにした動画の画質が悪かったので、再掲します🙇🏻‍♀️ 音楽と合わせて楽しみたい方は、ぜひ昨日のリールもご覧ください! 🌾みんなで早朝草刈り☁️ この日は秋晴れのいいお天気だったので、日がのぼってくると暑かったそうです。 早...

Posted by 池谷・入山集落(npo法人地域おこし) on Thursday, September 23, 2021

昨日は、早朝に今度行う研修の資料作成をしました。 午前中は安藤君と籾摺りをしてから10時頃にコンバインのデモ機が到着したので、田んぼにデモ機と共に行きました。 まだ、露がついていたので最初ははじ刈りをしました。 そして早めに昼休みをとり、1...

Posted by 多田 朋孔 on Thursday, September 23, 2021


限界集落は解決できる!という強い思いが大事

多田さんへオンライン取材した際にお話させていただくと、気づきがありました。限界集落を再生させるための大事なこととして

「再生しようと強い信念を持っていること」

技術や事業の仕組みも大事ですが、それらを整えるには発起人が何がなんでも成し遂げようと強い信念を持つことが必要ということです。

池谷・入山集落を再生させる強い思いが周囲の人も心を動かされ、一枚岩となって今の池谷・入山集落があるのだと学びました。

地域おこしに興味があって移住を考えている
地方創生に興味があって活動してみたい

そう思っている方は、地域おこしさんの活動に触れてみてはどうでしょうか。

リンク

◆参照元
NPO法人地域おこし、内閣府NPOページ、書籍「奇跡の集落~廃村寸前「限界集落」

◆コミュニティの相談、記事紹介の依頼はこちらまで
TUproject0314@gmail.com

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