第1164回 2021/8/24〜30の歴史ニュース

1、残暑お見舞い申し上げます

八月もようやく終わりますが、暑さは続きます。

残暑という言葉がこれほど合う季節はありませんね。

さて今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①萩生田文部科学相が鉄道遺構「高輪築堤」(東京都港区)のような開発区域で出土した埋蔵文化財について、保護制度の見直しを含めた議論をするよう文化審議会に要請 R10

②神奈川県横浜市の戸塚図書館が郷土史料の寄贈を呼びかけ R8 C

③福井県おおい町本郷公民館で北極圏に住む民族の狩猟文化や伝統を紹介する巡回展を開催。8月28日まで R1

④福井県小浜市の小浜城跡で福井城跡と同じ瓦が出土 R6

⑤福岡県大宰府市の九州国立博物館で10月9日~12月5日に特別展「海幸山幸-祈りと恵みの風景」を開催 R11

⑥中国四川省成都市の周代の犀園村遺跡を発見 R11

⑦京都市宇治市の平等院で鳳凰堂北面扉絵右端の框部分から銀とチタンを検出 R19 C

⑧渋沢栄一が、衆議院選挙で大隈重信首相の養子を支援するよう地元経済人に働きかけていた書簡を発見 R11

⑨イスラエルのエルサレム市内で約2800年前に発生したとみられる地震の痕跡を発見 R5

⑩石川県加賀市の大聖寺歴町ふるさと館で企画展「なつかしい昭和の紙幣」を開催。9月25日まで R8 C

3、「何を見せるか」と「何を感じるか」

いかがだったでしょうか。

皆様の気になる話題もありましたでしょうか。

個人的にもっとも驚きだったのは⑦の話題。

確かに教科書的には50年前の大気汚染が深刻だったことを学んでいましたが

実際にその対処として行われた痕跡が文化財の一部として残っているのは示唆的です。

試行錯誤しながら貴重な文化財をより後世に残していくか、という職人さんの気概も感じますね。

全国的に視野を広げたら50年前の世相や環境を反映した物質的な資料でどれだけあるのでしょうか。

切り口次第で展示が魅力的になる、という観点からは⑩の話題も印象的でした。

古銭や切手などは収集家が多かったこともあり、時たま我が街でも寄贈の申し出があるのですが

金銭的価値がわかりやすい資料ですし、地域的な要素も少ないので

積極的には受け入れていませんでした。

フォロワーさんの指摘にもありましたが、当時の世相を反映したデザインにもなっていますし、

何より実際に使っていた年代層は懐かしさを感じてくれる、というメリットもあります。

「見せ方=魅せ方」次第で資料は活用の幅を大いに広げることができる、と改めて思い知りました。

①の話題は掘り下げると長くなるので別稿を期するとして、

②も博物館と図書館の連携、という文脈から触れたいですが

⑤の話題で取り上げられている「日月山水図屏風」が持つ、一度見たら忘れられない魅力に触れないわけにはいきません。

六曲一双の屏風で春夏秋冬が表現されています。

極端にデフォルメされた山の形が躍動感を感じさせ、

室町時代の作と言われつつも作者が不詳なのも謎めいています。

それでいて仏教の宗教行事である「灌頂」で用いられていたとも言います。

いつか実物を見てみたいですね。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。




 








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