第1169回 2021/8/31〜9/6の歴史ニュース

1、もう秋ですね

先週残暑といいながら、今週はめっきり寒くなりましたね。

ついに朝晩の通勤にはスーツのジャケットも羽織るようになってしまいました。

そう先週はたまたま個人住宅新築に伴う調査など小規模ながら発掘の現場が続いて、

やっぱり事務仕事と違ってワクワクするなぁ、と喜びつつ

筋肉痛に苦しんだ一週間でした。

さて今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。


2、ニュースヘッドライン

①宮崎県都城市が東大史料編纂所と「歴史的な史料情報の共有・利活用促進に関する覚書」を締結 R7

②三重県明和町の斎宮歴史博物館で特別展「斎宮平安五種競技―弓・馬・鞠・鷹・相撲」を開催。11月21日まで R8 C

③香川県丸亀市の丸亀城で南西部に位置する石垣が広範囲にわたって崩落 R3

④福岡県春日市の須玖遺跡群・須玖岡本遺跡の出土物から、弥生時代中期(紀元前2世紀~同1世紀)とみられる石製の分銅「権」(最大長5センチ、最大幅4・15センチ)が新たに確認 R48 

⑤奈良県明日香村のキトラ古墳(特別史跡、7世紀末~8世紀初め)の石室の壁画(国宝)で、十二支像の一つ「巳(み)」の図像があったとみられる痕跡を確認 R6

⑥函館市南茅部地区の大船遺跡でクマが目撃され、臨時閉鎖に R12 C

⑦沖縄県伊是名村の海岸にある龕屋で保管されている葬具「龕」を村教育委員会に寄贈 R12 C

⑧長崎県雲仙市愛野町の6世紀後半~7世紀代の円墳「稲荷鬼塚古墳」で、発掘調査の結果を公表 R10

⑨岩手県花巻市が旧料亭「まん福」を未活用で解体へ R15 C

⑩兵庫県丹波市で柏原藩の藩校「崇広館」の復元を望む声 R11

3、解体しか道はなかったのか

いかがだったでしょうか。

あなたの気になる話題もあったでしょうか。

一番リアクションがあったのは④の弥生時代の分銅(石ですが)が確認されたという話題。

韓国ですでに見つかっていたものと比べてちょうど10倍の重さがあったことから、当時10進法が使われていたことも想定されています。

そして⑥の話題。「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産の登録を受けたばかりで、水を刺すような記事。

何年か前に実際に遺跡で見学対応の準備をしていた担当者が熊に襲われた事件もありましたよね。

これは根本的な解決は難しい問題です。

⑨の歴史的建造物を活用できず、結局解体へ、という話題もある意味とても痛ましいニュースです。

閉店した旧料亭を、建物は無償譲渡を受けたものの、土地代金と途中まで行ってしまった改修工事費用はすでに支出していました。

集会場として使う場合、建築基準法に適合させるため、耐震工事や消防設備に最大2億円の追加費用がかかる。

と記事にはあります。

とあるフォロワーさんからは「指定文化財」となれば建築基準法の適用除外を受けられるのではないか、とのご指摘を受けましたが、ことはもう少し難しい問題を孕んでいたようです。

まず、市の指定文化財にするにしても、市の文化財審議員を納得させられるような調査が必要になります。

古材を使っていると思われていましたが、天井の屋久杉、床の間のコクタンとシタンは、別の木の表面に貼り合わせた安価な「単板(たんぱん)貼り」だったことが判明するなど実際に工事が始まってみないと判断できないものもあったのかもしれません。

いかに建築基準法の適用を受けない、といっても

耐震補強が十分でない建物に不特定多数の人が出入りするのはちょっと不安な気がします。

そもそも集会所、という資金を回収できなそうな運用をしようとしていたのが間違いだったのではないでしょうか。

市は19年、民間事業者にアイデアを募ったが、1億円を出してまで活用する方法が見つからず、解体が決まった。

と記事にはありますが、ちょっと対応が後手後手になっているのがよくわかります。行政あるあるですが、他山の石としておきたいと思います。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。






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