第1062回 2021/3/30〜4/5の歴史ニュース

1、日々鍛錬

子どもたちが春休みなので暇を持て余しています。

そこで父親からの朗読の宿題を出してみました。

その中で宮本武蔵の『五輪書』があり、

千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす

という言葉がありました。

365日毎日やったとしても3年でようやく鍛、

30年でようやく錬、ということになる。

ちょっと気が遠くなりますが、このブログは千回を越えているので鍛の域には達しているということですね!

さて今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、発見と情報共有

①国の文化審議会は、“廃虚の女王”の異名を取る旧「摩耶観光ホテル」(神戸市灘区)など兵庫県内の7カ所20件を、国登録有形文化財(建造物)として文部科学大臣に答申 R6 C

②熊本県天草市の発掘調査で、県内3例目となる「華南三彩 トラディスカント壺」の破片を発見 R6

③ 中国国家文物局は、長江上流の四川省で3000年余り前の「三星堆遺跡」から黄金の仮面など新たに500点以上が出土したと発表 R4

④沖縄県竹富町で博物館整備に向け竹富町文化振興・観光交流拠点基本構想を策定 R2 C

⑤中国河南省三門峡市仰韶村遺跡から5千年余り前の疑似コンクリートが見つかったと発表 R3

⑥高知県安芸市の瓜尻遺跡で1300年ほど前の飛鳥時代から奈良時代にかけての遺構を発見 R10

⑦和歌山県立博物館で 目が不自由な人が触って理解できるように点字や特殊な印刷を施した文化財図録の製作を継続中 R1

⑧1887(明治20)年8月19日に北関東から福島、新潟県にかけて観測できた皆既日食のスケッチなどの観測記録が、米エール大に保管されていることが判明 R6

⑨15世紀前半代に朝鮮王朝で金属活字印刷された書籍「吏学指南」が早稲田大の図書館に所蔵されていることが判明 R2

⑩群馬県前橋市の7世紀前半築造の方墳「愛宕山古墳」は、大量の葺石ふきいしを施した3段築成以上の構造と判明 R5

3、アクセスビリティの向上

いかがだったでしょうか。

今週は中国での発見の話題が重なりましたね。

仰韶村にしても三星堆にしても教科書に載るレベルの高名な遺跡です。

日本人の関心も高いから報道に載るのか、

世界レベルの成果だから情報が流れてくるのか。

逆に日本の発掘調査成果が海外に報道されることはあるのでしょうか。

外国語ができないとこういうとき歯痒いですよね。

⑦の話題も画期的です。

文化財とアクセスビリティはなかなか相性が悪く、

貴重な資料は直接触れることが難しい場合もあるので

視覚に障害があると情報にアクセスできないこともあります。

山奥の寺院など、足が障害があるとその場に行くことができない場合も

少なくありません。

その解消のために景観を損ねてまで便益施設を整備することはまた議論が生まれます。

そんな中で常識に囚われず、何かを言い訳にせず、

国民共有の財産である文化財を広く知ってもらうためのツールとして視覚障害があってもアクセスできるコンテンツを整備する、というのは

本来どこでも求められるものです。

この先進的な取り組みが全国に広がっていくと、どう文化財の世界が変わっていくのか楽しみです。

⑧と⑨は奇しくも自国の歴史にとって重要な資料が海外に保存されているという話題。

日本の資料が海外の研究機関に保管されていた、というケースもあれば

中国や朝鮮の資料が日本に伝わっていることもあります。

情報はもう国境も関係なしに共有される時代。新たな発見につながっていくといいですよね。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。






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