第528回 今も創作を生み出す源泉

1、源氏物語がトレンドに!

皆さんもTLでお見かけになったでしょう。

源氏物語の写本が新たに発見されたとのこと。

Twitterで

今年の歴史関連10大ニュース入り確定だな!

と呟いてしまいましたが、あながち間違いじゃないよな、と改めて思うようになってきました。

全く門外漢ですが、その凄さを自覚するためにも情報を整理してみようかと思います。

これをご覧になった、その筋の方、ぜひ私の誤りなどありましたらご指摘くださいね。

2、なぜ話題なのか

まず報道に載った情報を箇条書きにすると

①藤原定家が書写させた源氏物語の写本が新たに見つかる

②作者の紫式部自身が『紫式部日記』で書き残しているとおり、原本は失われており、藤原定家が様々な写本を検討してまとめた一連の作品が現存最古のものとされている。

③今回見つかったのは、物語の代表的な場面「若紫」。

というところでしょうか。

一つずつ掘り下げて行きますと

希代の文人である藤原定家は、わずか150年ほどで多くの写本が出回り、本来の姿がわからなくなった源氏物語を校訂し、後に「青表紙本」と呼ばれる形でまとめます。

しかしこれも、能書家である定家がまとめた(直筆でないものも多いが)ということで重宝され、現代では名家に家宝として伝わったものや、研究資料として大学に収蔵されたものなどに分かれてしまっています。

そのうちの一つで、世に知られていなかったのが、今回発見されたもの、ということになりますね。

伝来した大河内家は、源氏の名門で、三河国(愛知県)に土着した家柄でした。徳川家康の命で松平家の庶流を継いだ正綱と、「知恵伊豆」として知られる信綱の躍進によって、老中を排出する譜代大名となりました。

この写本も浜松藩の藩主となった松平信祝が福岡藩主黒田継高から贈られたものだとされています。

さて、源氏物語は全54帖とされていますが、その第5帖にあたるのが「若紫」。

主人公である光源氏が、初恋の人である藤壺によく似た少女を見かけ、やがて理想の女性として手元に置いて育てることになる、

源氏物語でも最もよく知られた部分ではないでしょうか。

より原本に近い写本が見つかったことで、今後は教科書の記述も改訂になるのではないか、とも報道では触れられています。

まあ教科書に最新の研究成果が取り入れられるまでに時間が相当かかることはままあること。

報道をきっかけに世論が盛り上がれば、教科書会社も執筆する学者さんたちも早急に対応してくれるでしょうか。

3、思えば遠くにきたもんだ

いかがだったでしょうか。

全くの余談でしたが、教科書などで『源氏物語』を見ていた頃は気になりませんでしたが、

おっさんになって各登場人物の年齢を見ると、こう、来るものがありますね。

「若紫」の帖で主人公の光源氏は18歳。

父の後添いで、源氏の初恋の人、藤壺が23歳。

藤壺に受け入れられない源氏が失意の中で出会った紫の上は13歳。

嫉妬に狂って源氏の正妻、葵上を生き霊で呪い殺す、年上の六条御息所ですら25歳(諸説あり)。

だいぶ大人の世界の話だと思って読んでいたのが遠い昔のようです。

今だからこそ感じることもあると思うので、いつの日か今回発見された「若紫」活字かされたら読んでみたいですね。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。





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