第642回 世界はもっとよくなる

1、読書記録98

今回紹介するのはこちら

2019年のベストセラーになっていたのでご存知の方も多かったと思いますが、

売れるのもわかる、読むと人に進めたくなる本でした。

2、世界をどうみるか

まずファクトフルネスとはなにか、ですか

ファクトは事実、

事実に基づいて世界をみること

を実践するにはどうすればいいのかということが解かれています。

フェイクニュースが選挙の結果を左右し

ジャーナリズムも信頼を失っている昨今、

何が事実なのか、何を信じていいのか、迷うこともあるでしょう。

まず、著者は知的エリートとされる人でも、いかに偏った知識で世界をみているかを明らかにします。

本書にも掲載の13のクイズをWeb上で試すことができます。

なんと平均は2問正解。

著者は2017年に14か国・1万2000人にオンライン調査を行うとともに、

講演などで赴いた先で、高学歴で国際問題に関心が高いであろう層にも調査を行ったにもかかわらず

大多数が間違っていたといいます。

なぜそのようなことが起きるのか。

人間は生物的な本能に基づいて世界を見てしまっているからだ、と結論付けます。

ドラマチックすぎる世界の見方

をしてしまっているからだ、と著者は言います。

例えば貧困の問題にしても、先入観に囚われ、ここ20年で劇的に改善していることを認識してないということ。

それを視覚的に捉えることができるのがこちらのサイト。

世帯収入ごとにどんな暮らしを世界の人々がしているかを一目瞭然に示したもので、

これをみると、

国や文化、地域が違っても世帯収入が同じであれば、ほぼ似通った暮らしをしていることがよくわかります。

そして世界の極度の貧困率(1日2ドル以下で生活する人の割合)は

1800年代は85%であったのに、2017現在では9%まで下がっているという事実。

20年前ですら29%だったといいます。

メディアによる報道はショッキングな事件や悪いニュースを報じがちなので

世界がどんどん良くなっていることに気づかないかもしれませんが

正確な数字やデータ、先入観や思い込みに囚われないようにすれば

より世界を正しくみることができる、ということがわかりやすい具体例によって示されていきます。

そして、1番心に刺さったのは

問題が起こった時、課題があるとき、犯人探しよりもシステムの欠陥がどこにあるのかに意識を向けた方がいいということ。

世界を本当に変えたければ現実の仕組みを正しく理解することから始めなければいけないということ。

私自身の課題に引き付けて考えれば

どうしたら貴重な文化財を守っていくことができるのか、という課題に対して

時の政権の無理解が悪い、とか

景気が悪いから予算が回ってこない、とか

人々の心の余裕がなくなっているからだ、とか

嘆くだけでなく、どうやったら守っていく仕組みができるのか

現行の仕組みだとどこが悪いのか

どうしたら改善できるのか、

を考えていくことが大事だということ。

さらにいうと、社会全体としてはデータベースとして公開される情報も増えてきましたし、

3次元データを容易に取得できるようになったこともあります。

アプリやゲームで裾野が広がっている部分も確実にあります。

SNSで情報を交換し合い、仲間も見つけやすくなりました。

確実に20年前よりも環境は良くなってきています。

3、世界と心を穏やかに

いかがだったでしょうか。

ベストセラー本だけあってすでに書評はネットに溢れていますが

改めて皆さんに紹介したくなる魅力的な本でした。

事実に基づいて世界を見ると心は穏やかになる

と著者は記しています。

著者はこの本の完成を見ることなく世を去り、

息子夫婦が最後までやり遂げて形にしたそうです。

彼らが父を評して曰く

世界を心配する気持ちとあふれるほどの人生の喜びに満ちた人であった

そうです。

そんな生き方をしてみたいですね。


さて今回も最後にPRタイムとさせていただきます。

来る3月1日にイベントをやります。

宮城県松島町で歴史講演会。

テーマは近代。

すでに50名を超える申し込みをいただいておりますが、

マックスで100名程度は入るハコなので

ご興味のある方はぜひご連絡ください。

このnoteにコメントでもいいですし、

TwitterでもFacebookでもなんでも連絡いただけると嬉しいです。

さらにお時間ある方は講演会終了後オフ会に参加しませんか?

まったりご飯かお酒を味わいながら歴史の話ができればと思います。

連絡お待ちしております。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


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