第857回 2020/9/1〜7の歴史ニュース

1、災害の季節再び

台風シーズンがやってきましたね。

九州地方を中心にまたも被害を与えている台風10号が過ぎ去り

次第に文化財の損傷も報道されていくかもしれませんね。

幾たび災害にあっても乗り越えてきた歴史が我が国にはあります。

今は大変でもきっと光明が見えてくる時があるでしょう。

どんな時も自分ができることを淡々とやっていくに尽きます。

さて、今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、今週も多様な10件

①無断サンプル採取問題で調査の結果が明らかになり、青森や北海道では被害なし R15 C

②宮城県松島町の観瀾亭松島博物館で「松島湾3町文化財展」を開催。9月27日まで R22

③滋賀県立安土城考古博物館で寄託資料の一部にカビが発生 R34 C

④山形県寒河江市の慈恩寺で重要文化財の十二神将に因んだ木札を発売 R5

⑤栃木県足利市の足利学校大成殿の修理が完了 R20

⑥滋賀県大津市の南滋賀遺跡で国内最古のコマ発見か R15

⑦和歌山県の和歌山市立博物館で江戸時代の後期と見られるマンボウの絵が描かれた疫病よけの木版画を展示 R20 C

⑧宮城県利府町で近隣市町と連携した親子土器づくり教室を開催 R42 C

⑨京都府京丹後市の山中で埋もれた地蔵像を救出 R10

⑩731部隊に関する政府文書が新たに発見 R25

3、お預かりは慎重に

いかがだったでしょうか。

みなさんの気になる話題もありましたでしょうか。

今週は偶然ですが②と⑧で自分が関わっている事業の報道があり、

仕事しているアピールもできたかな、とひとりごちでいます。

どちらの事業もすでに何年も実施してきた実績があるにも関わらず

報道発表まで頭が回らなかったというのが実情でした。

コロナ禍にあって何ができるのか模索している、ちゃんとやるべきことをやっているんだよ、と言うのは内外に向けて常に発信する意識を持たなくてはいけませんよね。

残暑が続く中、全国で調査は継続されており、全く新たな発見がなされた例も報告されました。

国内最古のコマは祭祀に使われたのではないか、とか「アマビエ」だけでなく「マンボウ」まで疫病退散に駆り出されていたとか、あるはずがないとされた旧関東軍防疫給水部(731部隊)に言及している政府文書とか

まったく歴史に関する話題は尽きることがありませんね。

一方で残念な話題もあり、収蔵品にカビが生えてしまったという悲劇も。

しかも寄託(所有者からお預かりしている状態)の資料。

預ける方も、自分の家に置いておくよりは専門的な博物館に預かってもらった方が安心だろう、と考えてのことだったのでしょうが

逆に収蔵庫内でカビの被害に遭っているとは。

管理が行き届かなかったことは真摯に受け止めつつ、

人手不足など構造的な問題もあるのでは、と邪推したくなってしまします。

県立の、しかも研究で注目も集めるような博物館でも完全な管理は難しいのですから

地方の貧乏自治体は言わずもながですよね。

①の無断サンプル採取についてですが、もう何度も触れましたが、

たった一人の甘い認識で、多くの専門家の貴重な時間が奪われることになってしまったのは残念です。

人からお借りしている文化財に、調査のためとはいえ、小さな破片だとしても、了解を得ずに貴重な文化財を切り取るなんて私ならちょっと考えられないです。

専門世界に浸りすぎて、一般常識と解離してしまったのでしょうか。

自戒を込めつつ、まだ残る地域の調査が進められているようですの見守っていきたいところです。


本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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