第531回 災害に遭って自分ができること

1、嵐の後に

台風19号、すごかったですね。

いきなり過去形で書いてしまいましたが、

まだ避難して不自由な暮らしをされている方

救助活動、復旧に従事されている方も大勢いらっしゃると思いますので

一刻も早く日常の生活に戻られるよう祈念して本文に入りたいと思います。

かくいう私もとある避難所の運営に関わって

地域の役員さんたちとの折衝や

施設管理者である小学校の先生方との調整、

自治体の災害対策本部との連携、

高齢の避難者の方の介助など

やることが多岐にわたって、己の力不足を痛感しつつも

大きな問題もなく最後まで見届けることができたので

ほっとしました。

この国に住んでいる以上は災害は避けては通れないので

このような経験を蓄積していくしかないのかな、と思った次第です。

2、考古学から災害を考える

さて災害の話が出ましたので

以前もこのブログで触れたことがあるかとは思いますが

この取り組みを紹介したいと共います。

私も会員となっている宮城県考古学会の一つの取り組みとして

災害の痕跡を考古学で探ることができる冊子の出版と

その内容を広く伝えるための普及活動を行っています。

お察しの通りきっかけは2011年の東日本大震災です。

「想定外」という言説が飛び交う中で

考古学的には何度も津波に襲われていた歴史があったことがすでに分かっていた、

ただ、それを広く知らせることに積極性が足りなかったのではないか

そんな反省が考古学を志す仲間たち(大学に籍を置く研究者と行政の文化財担当者)から上がり

この取り組みを行うことになりました。

地震による津波はよく引き合いに出される貞観津波(869)や慶長三陸地震(1611)だけでなく

弥生時代、縄文時代の地層にも残る津波痕跡を取り上げています。

さらには火山噴火の痕跡である火山灰層の話や

今回のような洪水被害についても、弥生時代と古墳時代の事例を紹介しています。

このような研究成果を専門家たちの間だけで留めておくのではなく、

広く知ってもらうことで、土地のリスクを考えてもらうきっかけになったり

災害の時の判断基準の一つになったり

そんなことができたらいいなと思っています。

冊子は東北歴史博物館や仙台市内の書店でも販売しておりますし、

送料がかかってしまいますが、会に直接でも購入できますので

ぜひご興味のある方はお手にとってみてはいかがでしょうか。

3、これで何を実現するか

冊子の執筆者や普及活動で出向く講師は会員の中でも

教員のOBなど一般向けのわかりやすい解説が得意なメンバーばかりです。

別にご指名もありなので、私が出向いて講座をすることもできますよ(笑)

これからは学術研究も一般社会での支持がないと生き残れない時代になってきます。

考古学、歴史学は必要な学問だし、

なにより楽しいものだ、

そう思ってもらえないとどんどん衰退していってしまうでしょう。

考古学会はまだ自治体の文化財担当者が

会を支える役員になって運営を頑張ってますし、

考古学や歴史学は地域を超えて研究が深化するものですので

他地域の方にも需要があるので成り立っているところがありますが

数多あった郷土史系のサークル活動は維持が難しくなっているようです。

好きなことで社会に貢献できる、その最もわかりやすい形の活動です。

宮城県考古学会では会員も随時募集しています。

専門家のタメだけでない考古学を実現していくのは私個人の目標でもあるので

ぜひご興味のある方は今後も注目していただければと思います。

本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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