第1318回 2022/8/9〜22の歴史ニュース

1、東北がまた一つに

いや、ついにこの日が来ましたね。

高校野球の優勝旗が白河の関を越えて、東北にやってきたのは歴史上初めてのことです。

個人的には2003年にダルビッシュ選手がいた東北高校が準優勝したときは印象深いものでした。

その翌年から駒大苫小牧の躍進が続き、優勝旗が東北を飛び越えて北海道に、というのを悔しがるムーブが東北人たちの一般的態度でしたね。

そう、東北人は「白河以北一山百文」と言われ、中央から見下されてきた、
という自己認識を学校教育でしっかり叩き込まれているので

https://www.pref.miyagi.jp/documents/1322/216347.pdf

大方の世情は今回の快挙に歓喜しているのです。

といいつつ私自身は実はあまり野球、というかスポーツ全般に関心が薄いので、地元の空気感として興味深い、という認識をしているまでですが。

それはさておき、本日も気を取り直して、今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。
ちなみに前回はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①高知県安芸市で遺跡の保存と活用に配慮した中学校建設 R8

②島根県松江市の松江城の発掘調査で前身の「末次城」の遺構発見か R8

③福井県坂井市の丸岡城の様子を収めた映像フィルムを新たに発見 R10

④中国福建省の万安橋が炎上 R11

https://news.yahoo.co.jp/articles/a04a4f9d1146828a6f07852868c8a76f9f4bb44f

⑤香川県高松市の歴史資料館で松平頼重の生誕400年を記念した展示「ズドン―頼重と鉄砲―」を開催。8月14日まで R3

https://www.coolkagawa.jp/news/entry-2520.html

⑥神奈川県小田原市で新たに前方後円墳を発見 R14 C

⑦森鷗外の新資料が相次ぎ発見 R1

⑧全国で4割の自治体が歴史的な公文書の選別を未実施 R3

https://searchivist.hatenablog.jp/entry/20220810/1660057200

⑨富山県富山市の資料館学芸員が宮崎文庫記念館(黒部市荒町)の所蔵資料から足利義詮の手紙を発見 R11

https://news.yahoo.co.jp/articles/b9a0c6c90ac144154559af2b5a603f949a1a2c92

⑩沖縄市の諸見民芸館で琉球古銭の売買の冊子と、印刷の原版とみられる版木1枚が所蔵されていることが判明 R20

3、アーキビストの必要性

いかがだったでしょうか。

みなさまの気になる話題もありましたでしょうか。

個人的には⑧の話題が一番身近で危機感を感じましたね。

現在、江戸時代の歴史を研究する上で、幕府はもちろん、各地の藩や在地の村長、肝入、庄屋と呼ばれる行政的な立場にいる人々の所有した古文書は言うまでもなく重要で、

当時の人々が通常の業務の参考にするように、と残したモノたちが

現代の歴史学者にとって貴重なものになっていることは間違いありません。

その趣旨で言えば、行政的な価値、文書として今後も参照するであろう度合い、保存年限、といったものとは全く別の価値基準で

保存優先度が高い公文書が決まってくるのだと思います。

しかし、歴史学的な価値がこの公文書にはあるから、一般的な保存年限とは区別して保存しておこう、という判断ができる人材が各地にどれだけいるでしょうか。

業界ではアーキビストの養成が進んできていますが

まだまだ現場に直接的な影響を及ぼすほどのムーブにはなっていない印象です。

かと言って、私を含めた埋蔵文化財担当としての役割が第一義的に求められて自治体職員となっているものは多いでしょうから、

その文化財担当者や学芸員に行政内の公文書管理について

目を光らせておく、気を配ってもらえるよう周知する、などが求められているのでしょう。

もはは文化庁が研修として全国一律に発信してくれたほうがいいのではないか、と正直思いますね。

4割の自治体が歴史的公文書の管理ができていない、と言う事実は

現場を知っていると驚くに値しませんが

かと言って現状のままでいいわけでは決してありません。

まずは目の前のことからコツコツやっていくしかないですよね。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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