第634回 肩肘はらない文化財のあり方
1、街を歩けば文化財にあたる
早朝から銭湯に行ってきました。
東京都台東区上野三丁目 燕湯
昭和の中期、1950年代の建築ですが
国の登録文化財に認定されています。
指定されたのは2008年ですからもう10年以上前になりますね。
あんまり専門的な話になりませんが感想をまとめてみたいと思います。
2、今も息づいていることが価値
椿湯は幹線道路から一本内側に入った住宅街の中にある木造2階建。
知らないと通り過ぎてしまいそうな溶け込み具合。
開店早々の6時過ぎに訪れたのに朝一番のお風呂を求めて、近所の常連さんと私のような旅行者が半々くらいでしょうか、10人ほどのお客が。
大人1人は500円でお釣りがくる値段で入ることができますし、
タオルも安価で貸し出しをしてくれているので手ぶらで来ることもできます。
シャンプーとボディーソープも借りることができますし、
必要なものは揃っている印象。
ドライヤーの使用が10円を入れて、というのは懐かしいシステムでしたね。
浴室の奥壁にはもちろん富士山が描かれています。
と言ってもシンプルに富士山だけではなく、他にも色とりどりの絵が描かれていて賑やかな印象。
洗い場にはあの黄色い「ケロリン」と書いた桶。
湯船は5、6人も入れば窮屈に感じる大きさのモノが2つ。
どっちに入ろうか迷っていると、常連らしきおじさまが
こっちの方が熱くないよ
と教えてくれました。
こういう下町人情的なところが醍醐味ですよね。
ただそれでも普段自宅で浸かる温度よりはだいぶ熱く長時間は入っていられない感じでしたが。
3、場としての価値
風呂上りのコーヒー牛乳を飲みながら考えました。
このような場がある街は住みやすいだろうな、と。
常連さんたちは朝の挨拶とともに
今日も寒いね〜、火曜日は雪が降るみたいだよ。
とか
近所の誰々さんは最近朝会わないけどどうしてる?
とか自然な会話が生まれています。
街の人たちの人間関係が滑らかになるような役割を自然と担っています。
このような場としての価値も含めて
登録文化財に、という考え方でもいいのではないかと。
ずっと守っていければいいですよね。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
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