見出し画像

第766回 指定区分「美術工芸品」は幅広い

1、読書記録118

月刊『文化財』第681号は

特集 「新指定の文化財―美術工芸品―」

令和2年3月19日の文化審議会答申で新しく指定される見通しとなった

4件の国宝、38件の重要文化財が紹介されています。


2、長いですが引用します

【国宝】
〈彫刻〉 

木造阿弥陀如来坐像 京都市金剛院 院覚作 平安時代 

木造天蓋 奈良県斑鳩町 法隆寺金堂 飛鳥時代・鎌倉時代

〈工芸品〉
鼉太鼓 奈良県 春日大社 鎌倉時代

〈考古資料〉 

群馬県高崎市 綿貫観音山古墳出土品 古墳時代

【重要文化財】
〈絵画〉
紙本金地著色夏秋渓流図 根津美術館蔵 鈴木其一筆 江戸時代 

室君 永青文庫蔵 松岡映丘筆 大正時代 

豫譲 永青文庫蔵 平福百穂筆 大正時代 

絹本着色天台三祖師像 滋賀県大津市金台院蔵 鎌倉時代 

絹本着色阿弥陀如来像 京都市阿弥陀如来像 京都府金蓮寺蔵 南宋 

絹本着色満済像・義賢像・義堯像・義演像・覚定像 京都府醍醐寺蔵 江戸時代 

〈彫刻〉

 木造千手観音立像、二十八部衆像 東京都青梅市観音寺蔵 鎌倉・室町時代 

木造明巌正因坐像 神奈川県鎌倉市正伝庵蔵 院応作 南北朝時代 

 木造十一面観音坐像 愛知県小牧市賢林寺蔵 平安時代 

木造観音菩薩立像 京都市勝光寺蔵 平安時代 

木造如意輪観音坐像 京都市随心院蔵 鎌倉時代 

木造能面癋見 奈良市奈良豆比古神社蔵 室町時代 

 木造二天王立像 奈良県大和郡山市金剛山寺蔵 奈良時代 

木造神像 男神・女神坐像 宮崎県高千穂町高千穂神社 平安時代

〈工芸品〉
菊螺鈿鞍 東京国立博物館 鎌倉時代 

金銅密教法具 山形県米沢市法音寺 鎌倉時代

染分縮緬地襷菊青海波文様友禅染振袖 民間所有 江戸時代


〈書跡典籍〉
福井崇蘭館本医学書 文化庁 南北朝から江戸 

勧修寺聖教 京都市勧修寺蔵 平安から江戸 

 中山世鑑・蔡鐸本中山世譜・蔡温本中山世譜 沖縄県那覇市 第二尚氏時代 

〈古文書〉

 豊臣秀吉辞世和歌・豊臣家家臣等血判起請文・豊臣秀吉朱印状幷慶長役陣立書 大阪市 安土桃山時代

長屋王家木簡 奈良文化財研究所 奈良時代

伊達家文書 仙台市博物館 鎌倉~江戸 

伊達家印章 仙台市博物館 安土桃山~江戸 

松平家忠日記 駒澤大学蔵 安土桃山時代 

大音家文書 個人蔵 鎌倉~明治

春日大社神事日記 春日大社

〈考古資料〉
東京都下宅部遺跡出土品 東村山市 縄文時代 

新潟県本ノ木遺跡出土品 津南町 縄文時代 

愛媛県朝日谷二号墳出土品 松山市 古墳時代 

長崎県福井洞窟 出土品 佐世保市 後期旧石器から縄文 

宮崎県下北方五号地下式横穴墓出土品 宮崎市 古墳時代 

〈歴史資料〉

 一橋徳川家関係資料 茨城県立歴史館蔵 江戸時代 

長久保赤水関係資料 茨城県高萩市歴史民俗資料館蔵 江戸時代 

東京市営乗合自動車 東京都 大正時代 

河内屋可正関係資料 滋賀県 個人蔵 江戸時代 

京都電気鉄道電車 京都市平安神宮 明治時代 

【登録有形文化財】
〈歴史資料〉 

近代教科書関係資料 玉川大学教育博物館 明治から昭和

3、気になったものを少し紹介

鼉太鼓(だだいこ)は雅楽演奏に用いられる太鼓です。

高さ6mを超える大きなもので、

左右一対で、それぞれ龍と鳳凰が火炎のような縁に彫刻されています。

平安時代と鎌倉時代の特徴を有しているの過渡期の作例とされているようです。

春日大社若宮における毎冬恒例のおん祭りにおいて使用されていた割には

遺存状態がよいですよね。

どこかで見たことあるな〜と思ったら

大阪は四天王寺にもこれに匹敵する鼉太鼓があり、2年前くらいにこちらを宝物館で見たのでした。

さらっとしか見なかったな…

そして米沢市法音寺の密教宝具。

五鈷杵の中銛の根元四方に「善光寺如来理阿」という文字が刻まれているとのこと。

実はこれは信濃の善光寺から上杉謙信が越後に持ち出して、

さらに景勝の代に米沢に移ったということを示しているのですね。

法音寺には秘仏とされる善光寺の如来像もあるとのこと。

最後に触れておきたいのはやはり伊達の書状と印章。

伊達家に代々受け継がれて、仙台市博物館に所蔵されている関係文書は

全体で1万1000通もあり、うち政宗時代までの1046通が今回重要文化財に指定されたとのこと。

11代伊達成宗(仙台藩祖政宗は17代)が上洛した際の日記や、16代輝宗が織田信長と交わした書状、豊臣秀吉から送られた小田原陣陣館書など各時代の一級資料が盛り沢山です。

その書状にも押されていたであろう印章類も伝来する260顆のうち歴代藩主が使用したことが明確な127顆が重要文化財に指定されました。

これらの資料も見ることができる仙台市博物館は5月19日から開館しています。

新指定をきっかけに多くの方の目に文化財が触れることができること願って。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?