第850回 2020/8/25〜31の歴史ニュース

1、雷がなって季節も変わる

一昨日の夜中、にわかに雷が鳴り出したと思いきや、バケツをひっくり返したような雨が降って、

今日は急に秋めいた気候になりました。

ようやく暑さもひと段落かとほっとしています。

みなさまのお住まいの地域はどうでしょうか。

さて、今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、海外の話題も豊富

①新潟県村上市の藤基神社に秘蔵されていた、村上藩主・内藤家の歴代当主とみられる肖像画の下から別の肖像画を発見 R19

②熊本県天草市の崎津資料館みなと屋で、「ウマンテラさま」の展示 R5

③熊本県人吉市の民家から人吉海軍航空隊の関連資料を発見 R15 C

④中国青海省西寧市にある青海師範大学の研究チームが黄河源流域のザリン(扎陵)湖畔で実施した調査で、約3千年前の石棺墓を発見 R9

⑤栃木県足利市の史跡足利学校で企画展「足利学校に魅せられた来訪者たち」を開催。11月29日まで R25

⑥中国陝西省の石峁遺跡で4300年前の翡翠交易で栄えた都市を発見 R2

⑦京都市東九条村の豪農・長谷川軍記の日記を研究してきた佛教大非常勤講師の伊東宗裕さんが、その成果を著書にまとめる R33

⑧奈良県立橿原考古学研究所で中東・バーレーンで続けている古墳の発掘調査の成果を紹介するアトリウム展「バハレーンで古墳を掘る―バハレーン、マカバ古墳群の調査―」を開催。10月9日まで。 R4

⑨東京都渋谷区の原宿旧駅舎解体へ R15 C

⑩イスラエル・テルアビブ近くの発掘調査地でアバース朝時代(約1200年前)のものとみられる金貨425枚を発見 R4

3、鳥の目と虫の目

いかがだったでしょうか。

今週は海外の発掘調査成果が3件。

どれも学界に波紋を呼びそうな大きな発見です。

⑧の橿考研の展示も海外の調査成果の展示ですので

今回はとくに海外の話題が多い週でした。

それにしてもいつも思うのですが、県立である橿考研で海外の遺跡調査ができることはこのご時世でなくてもすごいことだと思います。

もちろん古代の奈良はシルクロードの終着点としての位置付けができれば

中東の文物にも深い関わりがあるのは間違い無いのですが、

行政のセクショナリズムによく対抗しているな、と関心してしまいます。

隣町の歴史文化を紹介するのにさえ、

歴史的につながりが深く、現在の自治体の境を超えた文化があったんです、

と断りを入れてからじゃないと着手できない印象のある地方の田舎町とは大違いです。

あとは庶民の暮らしの中に本質があると感じさせる話題が多かったのも印象的です。

⑦はとかく英雄譚で語られてしまう幕末維新史の傍らで、日々の暮らしを脅かされつつも精一杯生きた名も無き人々がいたことを思い出させてくれる、貴重なお仕事です。

③も豪雨被害からの文化財レスキューで思いがけず、地元の資料館ですら把握していなかった記録が見つかったということですし、

②隠れキリシタンという独特の文化の中で、他に例をみないような不可思議な造形が作り出されたという点で非常に興味深い事例です。

大局を動かす英雄たちの生き様と、同じ時代に生きていたリアルな庶民の暮らしと両方味わうことができるのは歴史の醍醐味です。

また次回も多くの歴史ニュースに出会えることでしょう。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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