第997回 2021/1/19〜25の歴史ニュース

1、三寒四温というけれど

日差しが暖かいな、と思うと風が冷たく感じられたりして、

寒暖の差に体調をやられそうな日々ですが、

みなさまお変わりはありませんでしょうか。

さて今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、今週のニュースヘッドライン

①福島県で文化財保存活用計画に取り組むのは4市町にとどまる R18 C

②徳島県の徳島城博物館で企画展「眠れるお寺の宝物展」を開催。1月31日まで R7

③兵庫県姫路市の登リ田遺跡で飛鳥時代の墓から「土馬」が出土 R18 C

④佐賀県の県立美術館で修復の終わった最古の刀剣書「「銘尽(龍造寺本)」を1日限定公開 R13

⑤松尾芭蕉は郡山で句を詠んだのか、新資料発見で句碑建立 R8 C

⑥神奈川県座間市で鈴鹿明神社の棟札を文化財指定へ R10

⑦中国の雲南省大理市五指山遺跡で南詔国時代の建築群遺構を発見 R7

⑧栃木県大田原市の侍塚古墳を県が学術調査へ R17

⑨岩手県立博物館がコロナ関連資料を蒐集呼びかけ R39 C

⑩京都府舞鶴市松尾寺の仁王門解体修理に伴う初の発掘調査で、平安時代の整地跡や建物の基壇跡を確認 R7 

3、二つの県の挑戦に注目

いかがだったでしょうか。

一番リアクションが多かったのは⑨の記事。

県単位でコロナ資料の蒐集、ということになるとどの程度集まるのでしょうね。

博物館の大事な機能の一つとして、今を記録する、ということがあろうかと思いますので

非常にいい取り組みだとは思いつつも

どこまでが関連資料なのか、という判断は難しそうです。

県立博物館レベルで一定の蒐集基準・マニュアルを作ってくれると

参考にできていいんですけどね。

アベノマスクから始まって、手作りマスクブームはマスク品薄に狂奔させられた世相をよく表す資料として後世に残されていくべきだと思いますし

飲食店が一斉にテイクアウトを始めるようになったことを示すチラシは

きっとリアリティを持ってコロナ禍の雰囲気を伝えてくれるでしょう。

最近では時短営業も要請されていますし、

廃業・倒産も増えていくのかもしれません。

いつの日かきっと資料を残していないと忘れ去られてしまう「空気」があるでしょう。

市民に呼びかける、という形をとることで

当事者意識の醸成にもつながってよいですね。

個人的には⑧の話題が胸熱なんですよ。

考古学史、考古学という学問がどのように発展してきたか、という文脈で

必ず触れられる侍塚古墳。

水戸光圀が『大日本史』をまとめるにあたって各地の史料・伝承を集めていたことは知られていても、発掘調査までさせていたことはあまり知られていないのかもしれません。

この自治体財政の緊縮が求められる世相の中で、

遺跡が壊されてしまう開発に先立って行う緊急調査でなく

学術的な目的をもってされる発掘調査自体が少なくなっています。

予算を計上し、果敢に挑戦する栃木県の姿勢は素晴らしいですね。

広域自治体である県はかくあるべし、といったところでしょうか。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?