第1349回 2022年の歴史ニュース その1 海外編

1、自粛期間の成果①

今年も残りわずかとなってきました。

少し早い気もしますが、自粛期間でまとまった時間が取れますので、

恒例の歴史ニュースの年間まとめを始めていこうかと思います。

まずは海外の話題から10件。

あくまでの私自身の興味関心が高いもの、となりますのでご了承ください。

ちなみに一年前の記事はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①約3600年前の「ミノア噴火」が引き起こした津波の犠牲者が160キロ以上離れたトルコの海岸で初めて見つかる

②トンガで起きた15世紀の大津波の痕跡を発見

③ペルーのワリ王国の「醸造所」で幻覚作用がある植物の残留物を発見


④中国上海市の崇明横沙島北東部の海底に沈む沈没船「長江口2号」引き揚げ開始

⑤キルギス共和国で人骨を分析し、西方由来のキビを食糧としていたことが判明

⑥中国山西省運城市の東渠遺跡で夏王朝時代の遺構を発見

⑦イラクのクルディスタン地方で3400年前に栄えた古代都市の遺跡を発見

⑧ポーランドの中世後期に「吸血鬼」とされた人骨を分析

⑨トルコのイズミル西部スミルナでオスマン帝国時代のコーヒーカップが大量に出土 

⑩古代ローマ時代の都市を丸ごと地中レーダー探査

3、科学分析の向上がもたらすもの

いかがだったでしょうか。

災害が多い世相を反映し、地震・津波の痕跡が話題に上ることが多かったように思います(①・②)。

科学的な分析技術が向上して詳細な年代がわかるようになってきた、ということも関係あるでしょうか。

分析技術と言えば、発掘調査しなくても街全体をデータ化するという⑩の話題や

人骨の分析から生前に口にしていた食糧を明らかにする研究⑤も特筆できます。

特に後者は精度向上が目覚ましく、集団の移動や通婚関係に迫るまでになっているようです。

また後日日本の調査成果の話題でも触れますが、水中考古学も最先端技術を応用して成果が目覚ましい分野です(④)。

一方で⑧の話題は迷信を科学が打ち消していく例として興味深いものです。

「魔女」とか「吸血鬼」とされた人々が少なからずいたのは歴史的な事実ですが、

その遺体を科学的に分析することで、当時の他の人々と何ら変わらない形質を持っていたことが明らかになると

そこを分つものは「文化」というしか無くなっていくのです。

また10大ニュースには取り上げませんでしたが、

戦争被害で失われる文化財も多く、火災で消失するものも報道されていました。

負の記憶を風化させない、そのためにも

文化財を後世に伝えていくための取り組みは今後も不断の営為として続けられていくべきでしょう。

来年も継続してニュースの収集に取り組んでいきたいと思います。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


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