第1185回 2021/9/21〜27の歴史ニュース

1、残り時間を考えるよりも

2021年もあと100日を切った、というツイートを見かけました。

するとつい焦ってしまいがちですが

今年もいろんなことあったじゃないですか。

いまだにオリパラが開催できてしまったことが信じられませんが。

まずは生き延びているだけでも十分です。

さて今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①三重県鳥羽市の海の博物館が志摩マリンランドから蔵書2万冊の無償譲渡を受ける R9

②愛媛県久万高原町の上黒岩岩陰遺跡と愛南町の平城貝塚出土の縄文人骨をゲノム解析成功 R6

③イタリアのコントラーダ・ブラーラの海底で2016年に発見されたインゴットは紀元前6世紀のオリハルコンであることを確認 R14 C


④北海道三笠市の北炭幌内炭鉱変電所に落書き R4

⑤福岡県糸島市の平原遺跡出土のガラス玉が中央アジア由来と判明 R18

⑥江戸時代にローマ教皇へ送られた書簡を分析 R17 C

⑦石川県能登町の旧松波城の庭園跡で発掘調査 R15

⑧ギルガメッシュ叙事詩が刻まれた粘土板をイラクに返還へ R7

⑨和歌山県高野町の高野山清浄心院で寺宝箱の学術調査へ R20

⑩文化庁と堺市は伝仁徳天皇陵の保全を目的とした発掘調査を開始 R18 C


3、

いかがだったでしょうか。

みなさんの気になる話題もありましたでしょうか。

⑩の話題はつい先ほど目にしたものですが、あくまでも

前方後円墳の墳丘を二重に取り囲む堤のうち、内側の第1堤の3カ所を発掘し、遺構や遺物の残存状況を確かめる

というもので、主体部という埋葬された場所でもないし、古墳本体ですらなく周囲を取り囲む堤部分のみです。

被葬者が誰か特定されるのか!?

ということはほぼないので安心してください。

世界遺産登録にもなったことですし、学術目的だとしても核心に迫るような部分の発掘はおそらく今後もないでしょう。

古墳の状態を適切に維持していくためには、ある程度の土木工事が必要で、

その計画を立てるにあたって必要となる情報を、最低限の発掘調査で入手する、というものです。

古墳がどういう構造になっているのか、作られたのはいつなのか、それにつながる情報は断片的に積み重ねられることは期待できます。

そもそも考古学は蓄積の学問。

最大規模を誇る古墳の情報が少しでも上乗せされるだけでも波及効果で

古墳研究に及ぼす影響は大いにあるかと思います。

そして⑧のギルガメッシュ叙事詩の刻まれた粘土板。

オークションで値段が吊り上げられたことに驚いてしまいましたが、

湾岸戦争の混乱の中、1991年にイラクの博物館から盗み出されたという出所も衝撃的です。

国のアイデンティティにもつながるような貴重な遺物が元の場所に戻ることになったのはまず喜ばしいですね。

④の落書きのニュースも心が痛みます。

文化財を維持管理していく、というのは想像以上に大変なこと。

それを足蹴にするような行為には憤りを感じてしまいますが

ニュースで大々的に取り上げてしまうのは逆に愉快犯を喜ばせてしまうことになってしまうのでは?と考えてモヤモヤ。

どうするのが正解かは分かりませんが、守るに難し。


本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。






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