第495回 発掘された日本列島2019

1、今年も東北にやってきた

毎年、全国で話題の発掘調査成果を一堂に会する

発掘された日本列島展

江戸東京博物館で開催されるイメージがありますが

毎回場所を変えながら全国を巡回しています。

今回は隣県の花巻市博物館で開催されるとのことでしたので

近くていいやーと思いつつ、

気づいたら会期があと一週間を切っていました。

なんとか行ってこれたので少しレビューをしたいと思います。

2、地域も時代も違う発掘調査成果のエースたち

まずは大きく分けて3部構成、地域展も含めると4部でしょうか。

第1部は旧石器時代から近代まで12の遺跡の最新成果が紹介されています。

第2部は

特集1「復興のための文化力 福島の復旧・復興と埋蔵文化財」

と題して、東日本大震災の被害が甚大だった

南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町

の特徴的な遺跡を紹介しています。

第3部は

特集2「記念物100年~守り受け継ぐために~」

と題して、制度ができて100年を迎えた記念物について紹介する内容になっています。

そして第4部は地域展

花巻城ー南部領の成立と展開ー

という地域独自の展示を開催していました。

まずは第1部の内容について

気になったものをいくつかご紹介していきます。

まずは縄文時代、長野県はエリ穴遺跡から出土した

2643点にも及ぶ土製耳飾り。

時代も地域色も多様性が認められることから

他の集落からも集められて埋納されるような形で遺された可能性が示唆されていました。

土製の耳飾りは現代のピアスのように耳たぶに穴をあけて装着されたと考えられ、直径1㎝から9㎝もの大型のものまで時縄文時代に普遍的に出土するものですが、実際にお墓から着装した形で見つかっているものはそれほど多くないようです。

次に気になったのは大阪府茨木市の郡遺跡・倍賀遺跡で出土した大型の石包丁。

こんな大きいもの何に使ったんだ?という驚き。

続いては、承和十二年(845)に写書されたことがわかる勧請板。

魔除けのお札みたいなもので、鎌倉時代のモノはいくつか見つかっているようですが

平安時代のモノは非常に珍しいとのこと。

なにより驚きだったのは、この木製のお札が田下駄として再利用されていたということ。

しかも10世紀のことというから下手すると写書されてから100年くらい経過した後かもしれません。

時間の感覚が現代と異なっているようにすら感じますね。

そして個人的に一番期待していた群馬県東吾妻町の岩櫃城跡。

最近流行りの赤色立体地図でお城の地形が紹介されていました。

出土遺物は金属製品と鍛治関連遺物に陶磁器、かわらけなどがありましたが正直インパクトが弱かったように感じます。

やぱり城郭は遺構の迫力を現地で伝えるのが一番ですね。

そして2020東京五輪が近づいてきた今だからこそ映える

富山県富山城跡で出土した幻のオリンピック記念杯。

みたかったものが見れて大満足です。

3、不思議な街

いかがだったでしょうか。

第4部の内容は専門分野のため稿を分けて明日にでもレビューします。

それにしても感じたのは会場となっている花巻市博物館の素晴らしさ。

開館から15周年を迎えるということですが

まだまた古びた雰囲気はありませんし、展示室がなんとなくゆったりしていてごちゃごちゃ感がないんですよ。

宮沢賢治童話村と隣接していて

私が博物館に没頭している間に子どもたちは広い公園を走り回りつつ

宮沢賢治の童話の世界に浸ることができたという素晴らしい立地。

今回は急に思い立って行ったので限られたところしか見られませんでしたが

いずれは花巻という街をもう少しゆっくり見てみたいと思います。


本日も最後までお付き合いくださってありがとうございます。

ぜひ貴方の気になった遺跡遺物などありましたらコメントで教えていただけるとありがたいです。


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