第1333回 全体を俯瞰し、個別を掘り下げ

1、ようやく行けた!

今回は岩手県平泉町に令和3年11月に開館した世界遺産ガイダンスセンターを見てきましたので、レビューしたいと思います。

ただ、ちょっとだけ先に言い訳しますと、出張のついでに、他の人と一緒にさらっと見てきただけなので、何度かいくと印象が変わるかもしれません。

あくまでも現在の印象、ということになります。

2、全体よりも個別が優れてる

本当にやっているのか?

と同行者に言われるくらい、進入路や駐車場側からは人気を感じない雰囲気。

「開館中」という標識を一瞬「閉館中」と見間違えました。


この施設は世界遺産平泉のガイダンス施設なのですから

まず平泉を訪れた人が全体を俯瞰して把握し

どこをどのように見て回るか、を考えるヒントになる場所ですから

もう少し入りやすいエントランスであって欲しかったですよね。

景観に配慮して落ち着いた雰囲気になっているのは間違いないのですが。

中に入ると、基本的には撮影可能なのですが、寺院の重要部分に係る写真は「撮影禁止」の文字。

そこだけフレームから外すのは難しいですから、結局解説パネルの写真はとれませんでした。


代わりにこちら。地形をつたえかったんだと思いますが…

現存する中尊寺と毛越寺だけでなく、無量光院などすでに失われ、発掘調査の結果全体像がわかった寺院の模型もあります。

最近よく見かけるプロジェクションマッピングの映像解説も


ここに限らず、いつも思うのですが、投影先となる模型に合わせるのに無理がある画像もままありますよね。

個人的には前半の世界遺産全体のガイダンス、という部分はちょっとイマイチな印象。

それでも訪日外国人など前知識が全然ない方には有効なスタイルなのでしょうか。

打って変わって後半の柳之御所跡の解説は満足できるものでした。

砂金の重さを体験できたり


本当に金ではないと思いますが、袋を持ち上げるとずっしりきます

北方からの重要な輸入品であったアザラシの皮も現代のものですが
触ることができます。


絶妙に気持ちいい手触り

ハンズオン展示が充実していますね。

馬具の説明は実物大ですし


北海道の古来種をモデルにする本格復元

当時の食膳も復元されています。


本当にこんなに飯は山盛りだったのか

中世の技術を説明するパネルも充実


この一枚を制作するためにどれだけ担当者が文献を読み解いたのか考えてしまう同業癖

次は史跡本体もじっくり見てから再訪したいところです。

3、玄人泣かせの展示

いかがだったでしょうか。

おまけに調査員、というか発掘調査自体にフォーカスした展示もなされており

道具の解説こんなに…

その発想は好感が持てます。


あえて断面図を手実測している場面を切り取る

でも一般受けするか、というとまた別の話。

そして最後に、関係書籍を集めた図書コーナー


我が町に一番つくりたいのはこのスペースだったりします。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。



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