第1140回 2021/7/20〜26の歴史ニュース

1、これも歴史の一部

賛否両論あり、開催を危ぶむ声すらあった東京2020オリンピックが始まりましたね。

開会式直前のゴタゴタも、開幕早々に始まる我が国の選手たちの躍進も

どちらも歴史上で語られる日がやがて来ます。

同時代人としてこの空気感を伝えられるでしょうか。

さて今回もヘッドラインの後ろのRはコメントをつけてリツイートした際にいただいた、いいねとリツイートの件数、Cはコメントがついたことを示しています。

ちなみに前回はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①中国浙江省余姚市の井頭山遺跡で昨年出土した木器2点が中国最古の漆器と判明 R9

②滋賀県大津市の関蟬丸神社下社で「令和の大修復」の費用をクラウドファンディング(CF)で募集 R12

③長野県諏訪市の考古学や歴史学などの研究者でつくる一般社団法人「大昔調査会」が県地域発元気づくり支援金を活用して映像教材「映像でたどる諏訪の歴史」を制作 R5

④福島県福島市の宮代館跡で16世紀末から17世紀初頭とみられる建物の礎石が出土 R2

⑤国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は21日、英国リバプールの世界遺産登録抹消を決定 R4 C

⑥福井県若狭町の国指定史跡・西塚古墳で、古墳時代中期(五世紀後半)の木製農具「すき」が出土 R38 C

⑦京都市上京区の北野天満宮境内の書庫から渋沢栄一の漢詩を発見 R9

⑧エジプト近海で紀元前4世紀のプトレマイオス朝時代の戦艦の残骸を発見 R12

⑨石川県珠洲市で「奥能登国際芸術祭2020+」の目玉企画「スズ・シアター・ミュージアム」で作品などとして活用する、市民から集めた古い民具についての聞き取り作業が進行 R5

⑩サウジアラビア北部にある玄武岩に、バビロン最後の王・ナボニドゥスの名で書かれた碑文を発見 R22


3、危機は他人事ではない

いかがだったでしょうか。

皆様の気になる話題もあったでしょうか。

今回一番反響があったのは⑥の木製農具の出土。

古墳の溝の中から完全な形で出土した、ということで

壊れて捨てられたものではなく、祭祀行為の一環で埋められたという推定がなされています。

現在でも起工式で「鍬入れ」と言って小さく盛り土したものに、スコップを入れる儀式を行うことがありますが、その源流に当たるようなものが古墳時代からあったのかもしれませんね。

厳密に未使用だったのかは「使用痕分析」という電子顕微鏡を用いた観察が必要になるので調査速報の現時点ではまだそこまでは分かっていないのでしょう。

今後の本報告が待たれます。

そして個人的には⑤の世界遺産登録抹消の話題が印象的でした。

明日にも「北海道・北東北の縄文遺跡群」が正式に世界遺産登録が決まるというタイミングでの発表。

さらには日本遺産の再評価が始まるという話題も取り上げました。

世界遺産の質を保つためにも精査が必要だとは前から言われていましたが、

登録後にオーバーツーリズム(観光客が多すぎて許容量を超え地域住民の生活や自然環境に負荷がかかること)や

開発の進行で価値が損なわれることも少なからず見られました。

世界遺産条約の当初から「危機にさらされている世界遺産」の概念は導入されており、

現時点でも

周辺状況の不安定さが指摘されている「エルサレムの旧市街とその城壁群」 や

武装勢力タリバンによる爆破が衝撃をもたらした「バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群」など51件がリストアップされています。

幸い我が国の世界遺産は含まれていませんが、文化遺産先進国である英国ですら課題を抱えているということを重く受け止める必要があろうかと思います。

来週も新たな歴史のニュースに出会えることを願って。

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?