見出し画像

春先から冬にかけて短歌、俳句、詩を考えた記録。

画像1

■短歌

1.3日前にあけたミネラルウォーターをゆったりと泳ぐ黒い出目金

2.血だらけで歩くの歩く歩くのです これが私の人生だから

3.三件隣の家から悲鳴だよ!踊らにゃ損損!!殺せよソンソン!!

4.本棚の後ろをそっと見たけれどそこには何もいませんでした

5.3歳のぼくが語った100の夢 1つ1つを踏み潰してく

6.ぽつ、ぽつり降って来たねああ雨か いやいや違った 骨と歯だった

7.失恋し泡となった姫想い しゅわりと齧るカキフライ、うまし

8.半額の総菜に紛れて並んでる 色褪せた僕の証明写真

9.ネクタイを締める度に真上から ころころ転がる父の遺影

10.朝鏡に映った私を殴って痛い こんなにんげん こんなにんげん

11.日曜のスーパーのお菓子コーナーの床はすべすべ うずくまり眠る

12.帰り道繋いだ手だけを切り取って ずっと部屋に飾っているよ

13.ダイニングテーブルを綺麗に四等分 包丁でぐぢゅぐぢゅ切り分けました 

14.誕生日ケーキを空に投げたなら 円盤になり昨日へ飛んだ

15.お手紙を毎日食べて生きてます 煮つけにソテー 卵をあえて

16.シロツメクサが敷き詰める丘の上 誓う永遠、愛、血、死、DNA

17.オフィスの机の引き出し開けてごらん 隅でカタカタ震えるハイジ

18.真夜中に目を瞑ればほら教室だ 夢はタイムマシン 唯一赦された

19.ウェディング・ヴィデオずっと繰り返し見て笑いあう一家団欒

20.三日月から滴る雫は生臭い ベッドに落ちてた魚の心臓

21.夜が終わり朝が来るのが怖くって、僕は三点倒立をした

22.誰も着ないリカちゃんの服を集めてる。成長痛にモルヒネを打つ。

23.薔薇が降る 6畳のワンルームにも 平等に降る 美しく降る

24.明るい日と書いて「あした」と読むのです 考えた奴、絶対殺す。

25.朝五時に転がる缶コーヒーから ころ、遺骨、みたいだ。ぼくの。からころ、

26.お雛様の頭をがぶりと噛み千切り 咀嚼す 処女で死んでたまるか

27.真夜中の頭蓋を泳ぐ錦鯉 未来を考え今日も眠れない

28.冬の淡き空白い海おしなべて黙って見つめる私の死体

29.服を着て皆一体どこ行くの 私は春を殺しに行くよ

30.鳴けばいいと思ってる訳では無いんだよ 泣きたいだけだ そんな、叩くな

31.モンブランほろりと口にした途端、ほどけた目尻さえ抱きしめたい

32.「しにたい」と「ふあん」がノートにビックバン!!尊き思春期!!弾け!!彼岸花!!

33.未来予想図をコンパスで突け破け!!こんな紙切れ意味ない!!恥知れ!!

34.三日ぶりに外出たら社会は美しくキラキラ奇跡バラバラ私。

35.板チョコをかじって見上げた曇天は、果てなく重く、しかし雨降らず

36.手首に何気なく書いた漢数字、一が二になり、三がしになり

37.さぞかし私を叱れば気持ちいいんでしょそんなの見ればわかるわ(笑)

38.眠れない夜が朝になる音がする。私をひとり残したままで。

39.昔からみんなにじっと見られてて居心地悪く生きてきました

40.親指にマッチ棒で火をつけて下さい、そしたら諦めますから。

41.いちごジャムのなかで踊り廻る胎児 空席の子宮 干からびたウィンナー。

42.鬱になる度に増築されていく。無限回廊オマエダファミリア。

43.抱きしめたテディベアから血の匂い・・・ミルクの匂い、だきしめて眠る

44.壁に投げつけたスマホは盾になる お前を守るただひとつの盾

45.まな板でぬめり艶光る青鱗 指でなぞると「アン」と喘いだ

46.「無限にある」ということはそれはつまり、「無い」と同じじゃね?あれとかそれとか

47.かさぶたを捲ると悲鳴が聞こえたよ 秋の夜長に遠く延びてく。

48.この駅でいったい何人もの人が飛び降りたんだろ、優しすぎたから

49.金平糖口内で転がす尊いね、甘い可愛いね、昔のあたし。

50.人参と肉と玉葱家族愛排泄物と混ぜ合わせてほら、

***

■俳句

1.北風にまぎれて微かに血の臭い

***

■詩

1.私は元気。

平日の昼間にワンルームにいる。
どうもメンタル安定しなくて仕事を休んでしまった。社員どころかパート労働もうまくできない。
窓から日光が差してる。
どんなに労働で頑張ってもこんな不安定なら誰も評価してくれない。
平日の昼間にワンルームにいる。
カップ麺にお湯を注ぐ。人工的醤油の味がする。
洗い場には皿とスプーンと茶碗がところせましと並んでいる。
平日の昼間にワンルームにいる。
基本ベッドに横になってる。
寝るかスマホをいじるか。
15時間睡眠を越えると現実か夢か分からなくなってきて、じゃあどうか五体満足に動く夢よ現実であってくれと思って、目を覚ませば
平日の昼間にワンルームにいる。
私の部屋は午後になると日当たりが悪くなる。暗い。
こんなに暗い部屋にいるのに近くの小学校ではたくさんの児童がきゃあきゃあ生活をしているのだろう。
私もかつてそこにいた。ことが信じられない。
平日の昼間にワンルームにいる。
猫だ!!石を投げろ!!!!
平日の昼間にワンルームにいる。
空腹かどうかも分からない。眠いかどうかも分からない。
でも寝ればいいから。メンタル不調で休んでいたんです、って言葉の心理の裏付けにもなるし。ああ。
平日の昼間にワンルームにいる。
天井は虚空。
平日の夕方にワンルームにいる。
4年2組の5時間目の空中で狂ったように踊る猫。
平日の夕方にワンルームにいる。
流し台から匂う人工的醤油の匂い。
平日の夕方にワンルームにいる。
スマホは繋ぐ。
・・・神様。
平日の夕方にワンルームにいる。
網戸越しに聴こえる、大人(正しい)の声。
平日の夜にワンルームにいる。
深夜のコンビニの虚しき万能感。
平日の夜にワンルームにいる。
きっとみんな寝てる。
きっと小学生のみんなも寝てる。
平日の夜にワンルームにいる。
どこかから聞こえるサイレン。

「ああ・・・もしもし?お母さん?うん。元気だよ。うん・・・・うん・・・」

2.神はいない

ああよかった
ここに拳銃が無くて
あったら僕はすぐにでも口に銃口無理矢理入れて(そう、ちょっと淫靡に!)ためらって3分、
ズドンとヘッドショットしていたことだろう

ああよかった
ここに拳銃が無くて
あったら僕は「もうだめだーーーー!!!地球は終わりだーーーー!!!!」と叫んで夜明け寸前の道路を一人全力で走る
全裸で、ぶるんぶるん乳輪大きめの胸を、
震わせながら ぶらさげながら
そしてまもなく公然猥褻なんちゃらで捕まっていたことだろう

ああよかった
ここに拳銃がなくて
黒くつやのある、推す空く冷たい食感に僕はうっとりし
あらゆる生死をつかさどれる神(偽物)になったことを実感する
やがて僕is神の宗教をはじめて
「教義:処女is美徳」と自分の非モテを正当化し称しこれ如何に拍車をかけていたことだろう

ああよかった
ここに拳銃がなくて
何冊難十冊何百冊と積み上がった積読の書籍の山を数発撃ちぬいた後
僕はこめかみに銃口を当てる
どく・・・どく・・・と流れる血管がイマージュするのは大きい脳味噌
生きることは愚かで猥雑だ
1時間1日1年いや10年は僕はその場から動けず立ち尽くしているだろう

ああよかった
ここに拳銃がなくて
「どうして君は!!ずっと僕のことを好きになってくれないの!!!」
全裸で疾走しながら追いかける後姿
端正でもない格好良くもないけれど僕はずっと君に片想いをしている
走り際踏みしめた十字架は儚く砕ける
本を何冊読んでも、君と僕の両想いは叶わなかったね
「君が・・・」
頬を課する風が冷たい
「一生僕のものにならないなら!」
喉がひりつく
「ずっとこっち向いてくれないなら!!」
僕は本気だ
「君なんて死んでしまえばいいのに!!!」

ふ、と
するときみはたちどまった
そして、ふ、とゆくりとふりむく

僕の顔。

めがけて、
ヘッドショット。


ああ、
よかった
ここに
拳銃がな
くて


***

■評
「いやぁ~久しぶりだね」
「久しぶりだねぇ」
「しゃべり方ちょっと変わったんじゃない?」
「君こそ」
「この会わない間何してたよ?」
「本を読んでいたよ。世界各国の怪談集。いやぁそれぞれの文化が反映されていて面白かったね、まぁ嘘だけど。君は?」
「僕はポケモンかな。ずっと買おうと思ってたニンテンドースイッチを買ってポケモンばっかしてたよ。盾剣は勿論、途中ほら、ダイヤモンドパールが新しく出ただろう?それを買ってやってたよ。とっても面白いよ!嘘だけど」
「僕は同人誌も出したよ。嘘だけど」
「あと夏にはクレヨンしんちゃんの夏休みのゲームもやったな。面白かったよあれも。嘘だけど」
「互いに充実していたみたいで良かったよ」

「にしても、今まで一応月に一度は発表してたのにどうしてこんなに間が空いたんだい?この子は」
「簡単だよ。良くも悪くも元気な日が多くなったのさ」
「へぇ!!!治癒ってやつかい?」
「普通に薬の力だよ」
「へぇ」
「あと普通に怠惰かな」
「そりゃ大病だ」
「だからちゃんと月一で書いてた時と比べて数こそ多いけれど質が低いのも多いだろう?」
「確かに。想像が不自由なものが多い気がする」
「一応ラインとかに日頃からメモして作っていたみたいだけど」
「これは酷いな」
「あの子も頭を抱えているよ。だからまた、2021年の最後の月は最後の月で1つ記事が作れそうなくらいは書いておこうかなぁって思っているみたいだよ」
「なるほどね。でもこの子、」
「うん」
「怠惰なんだろ?」
「とっておきのね」
「とっておきの、怠惰」
「そうさ」
「どうなるんだろうねぇ?」
「どうなることやら」

***

■LINKS
本の感想とかを書く本格的に頑張っているブログ
小さなツナの缶詰。齧る。
こういった詩とか短歌とかメモのように時々書いている、毎日更新しているサブブログ
ツナの缶詰の中は快適です。よく眠れます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?