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何もなくてもいい。京都の本物を知る女性に学ぶ、「シンプルでしなやかな生き方」。京都の行事食研究家・小宮理実さん

「京都の行事食研究家」。

この肩書を聞くと多くの人は「京都の本物を知っていて、格式高い人」だと思うかもしれません。

「京都は格式高くて本物志向の人しか楽しめないのか?」
そんな疑問から活動するのが、「京都の行事食研究家」小宮理実さんです。

「難しすぎることやってもおもしろくない。削ぎ落した元のところを楽しめるようにしたいですね」

京都に生まれ、京都に育ち、本物志向の京都に生きてこらてた小宮さんだからこそわかる、今必要なシンプルな生き方とその背景にある想いをあたたかいお茶をいただきながらお伺いしました。

石の上にも10年。本物志向の京都で生きるための人一倍の努力

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「お茶入れますね」と、とても温かい雰囲気で始まった屋外の京都御所での取材。小宮さんは最初、知人の紹介で東京で食のスタイリングをアルバイトとしてはじめられました。

「右も左もわからないから、ただNOと言わないということだけを決めてやってきました」

その後、1つ1つ経験を積み重ね、「料理研究家」という肩書きを名乗るようになります。
しかし、ようやく自信を得た矢先、ご主人の転勤をきっかけに小宮さんは京都に戻ることになりました。
それでも、小宮さんは持ち前の人一倍努力する姿勢で、本物志向の京都に立ち向かいます。

「あんたに何ができるの?」
「わからないから教えてください」

これは、百貨店に出すおせち料理のお仕事での一コマ。「本物の味」を知るために、夜ごはんだけでも週3・4回の外食生活をするほど死ぬ気で取り組んだそうです。

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その頃を小宮さんはこう振り返ります。

「私は料理専門の学校とか出てないから人の何倍も努力しないといけない。京都は本物しか許してくれない土地。義父に『石の上にも10年』という言葉を言われ、10年先に見える世界のために時間もお金も投資してたら、あっという間に10年たっていました。食をおせち料理だけに限定せず、依頼されたことは全部やろうというスタンスで商品開発、スタイリングも経験しました」

簡単に、誰でも再現できて、理由が分かるように。血肉となった経験をもとに新たな取り組みへ。

10年の修行経験を活かしながら、小宮さんは京都で会員制の料理教室を営んできました。そして、令和になるこのタイミングで、新たなコンセプトの料理講座を始めるそうです。

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「これまでの教室は会員制・自宅での開催ということもあり、生徒さんから生徒さんへご紹介いただく形で丁寧に運営してきました。お蔭さまでいい人に恵まれて豊かな時間を過ごしてきました。次はもっと多くの人に出会えるように、自宅での料理教室から飛び出し、行事の意味や食卓のしつらえ、食べることでどんな意味があるのか体験できる料理講座を開催する予定です」
「なぜ、京都では行事食を大切にするのか。自然や神仏を敬う気持ちを持つことで、心のしあわせが増えること、食を通して豊かに生きていくコツをお伝えしたいです」

日々が充実し、どんな方でもシンプルに楽しめる教室。京都がわからない人にはあったら絶対行きたくなりますよね。

自分でちょっとずつ暮らしをデザインする

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なぜシンプルに生きるという取り組みをするのか。小宮さんはこう答えます。


「誰でも理由がわかり、簡単に再現ができ、真の豊かさに触れたら人と比べることなくしあわせな軸を持ち生きていくことができます」「シンプルなルーティンを作って生きたほうがしなやかさが増す。ちょっとした自信を自分で積み重ねることが大事なのではないでしょうか。それをするには、京都はぴったり。自然に寄り添い毎日の暮らしをデザインしてみる。そしてちょっと違ったら軌道修正するんです」


ちょっとした自信を積み重ねていく生き方。心に余裕がない方はシンプルな生き方を改めて見つめなおすといいかもしれません。

料理研究家×大学生 番外編

小宮さんから、「シンプルにしなやかに生きる生き方」を教えてもらった後は、僕の人生相談にのってもらいました。

北海道に就職すると話した僕に対して小宮さんはとても温かい応援の言葉ををかけてくれました。

「すごい決断だよ。いっぱい色んな経験を積んでほしい。きっといろんな経験しないと気づかないから」
「北海道は知恵を絞り、しなやかに暮らすことができる」

なんと小宮さんはお母さんが北海道生まれだそうで、北海道にゆかりがあるとのこと。

一緒に取材に行った、大学時代を北海道で過ごしたメンバーからは災害の時の話を聞きました。

「停電すると、普通は大騒ぎになるよね。だけど北海道の友人は、大変な思いをしながらも、『小さいランプで読書ができて有意義』とか、『もうしばらく電気は来ないのだからキャンプしてジンギスカン食べよう!』とか言っていたよ」
「都会に住んでるとお金さえあれば何でもサービス手に入っちゃう。だからどうしても『提供される』という感覚になっちゃうのかもね」

とのこと。だから、その場に何もなくても知恵を絞ればどんな環境でも生きていけるのではないか。

そんな少しずつ暮らしをデザインするヒントを小宮さんの取材から得られたような気がします。

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何もなくていい。詳しくなくていい。

詳しいからこそ楽しめる人に加えて、何もない状態で知恵を絞る楽しさがこれから生まれてくるのではないかと思う今日この頃です。

もし今あなたになにか特別詳しくてできることがなくても、シンプルにしなやかに生きればきっと自分サイズの暮らしがデザインできるのではないでしょうか。

僕も人一倍努力をして経験を重ね、シンプルにしなやかに生きていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、今回は初めて公式の記事でも一眼レフをもって写真を撮らせてもらったのでよければチェックしてくださいね。
https://kyoto-iju.com/column/hito_08

株式会社ツナグム・インターン 佐々木将人(関西学院大学4年)

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