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一年半越しの決着『ガールズ&パンツァー最終章 第2話』

 この日をずっと待っていた…!!2019年6月15日は、待ちに待ったガルのパン祭りの開催日だ。何を言っているかわからないと思うが、要はガルパンの最新作の公開日だ。

 インフィニティ・ウォーからエンドゲームまでは約一年、本国インドにおける『バーフバリ 伝説誕生』から『バーフバリ 王の凱旋』までが二年、そしてこのガルパン最終章の1話から今回の2話までは一年半を要した。ここに挙げたどれもが衝撃的なラストで幕を引き、その続きを切望するファンの悲鳴でTLが埋め尽くされた伝説の作品だ。よって、他の作品が「今日から公開で~す。観てね~」と言っているのとはワケが違う、ということだけは念頭に置いてほしい。

 ネタバレ防止のために余計な文章にスペースを割いたが、それだけ人を熱狂させるコンテンツであるということが伝われば何よりだ。

いっぱい食べる女の子はかわいい

 夏の大会を制した大洗女子学園戦車道チームだが、旧生徒会広報の河嶋桃の進学を手助けするため、彼女たちは新たな大会「無限軌道杯」への出場を決意。初戦の相手はフランスをモチーフとした「BC自由学園」。この学校では中高一貫によるエスカレート組と受験入学組との内乱が長きに渡り続いており、大洗はその分裂に勝機を見出す。だが、それは全て敵チームを欺く演技であり、土壇場で息の合った戦術を披露し、大洗女子チームは敵の包囲網の餌食となる。新しく参加したサメさんチームの活躍によって何とかそれを抜け出し、西住みほらは油断していた自らを引き締め、第2ラウンドへ―、というのが前回のあらすじ。

 第1話が再び戦車道に挑む動機や新キャラクターの紹介に尺を割いていたせいもあり、戦車シーンそのものは終盤のわずかな尺しか与えられていなかった。そうした説明を済ませた今回の2話では、冒頭から白熱の一回戦がノンストップで進行し、ついにBC自由学園との決着が描かれる。

 エスカレート組と受験組の仕組まれた対立を解き、大洗を圧倒するBC自由学園。その隊長を務めるマリーは、常に優雅に、華麗に、そしていついかなる時もお菓子を手放さない。ケーキにモンブランにブリュレにマカロン…。いかつい戦車と女の子らしいお菓子好きな一面とのギャップで、短い出番ながらメロメロに魅了されてしまった。糖尿病不可避なペースで甘いもの食べてる様子でつい心配になってしまうのだけれど、口をいっぱいに開けてケーキを食べる姿がドチャクソ可愛いので、ずっと観ていたくなる。あと戦車道の選手は軒並み身体能力がおかしい次元に達しており、このマリーもマトリックス避けや回転ジャンプを繰り出すため、たいへん愛らしい。入場特典でフィルムが配布されるとしたら、このシーンが一番欲しいです。

 話が逸れた。BC自由学園の戦略に一度は撤退を決した大洗だが、次なる戦略に打って出る。相手校の歴史を逆手に取り、予想できない一手を導き出す。「読めない」ことに定評のある、ザ・西住流の突飛な戦略が功を奏し、戦況は一変。敵戦力を仲間割れを誘うことで削り、敵フラッグ車の包囲網を完成させる。あまりに鮮やかすぎて、末恐ろしくなるほどの手腕。みほ… 恐ろしい子!

バカだなぁ細見は。「突撃」って付いてるから立派な突撃じゃないか。

 一年半引っ張ったBC自由学園との闘いをあっという間に済ませ、束の間の日常が描かれる。桃ちゃんのお家事情に思いを馳せたり、島田愛里寿の参戦フラグが建ったりしたが、一番大きなものを持ち帰ったのは知波単学園の福田だった。

 突撃しか頭に無く、決して強豪校という印象はなかった知波単学園。しかし、変わらなければならないという危機感を抱きつつあり、それは『劇場版』で芽生えた大きな収穫だった。その共闘の縁で開かれたアヒルさんチームとの食事会にて、福田は気づきを得る。

 この映画の何に驚かされたかと言えば、二回戦が始まったことなんですよね。てっきり対一校につき2話ずつの進行だと勘違いしており、後半からの作画の圧に「こりゃ一年半かかるわ」と納得。しかもその相手は知波単学園。優勝候補にさえなれなかった弱小校が主人公チームと共闘して成長し屈強なライバルとして立ちはだかるって展開アツくないですか!?吉田玲子~~~~~~~~!!!!!!!!これ最終回じゃねぇんだぞ!?!?!?

 戦況を見極め、時には引くことを学んだ知波単。視野を広げたことで戦略にも深みが増したその勢いは、夏の王者である大洗を一度は圧倒する。こと「突撃」に関しては無類の結束を見せる知波単を、言葉巧みに誘導する隊長の西と福田。『劇場版』を踏まえた水際からの急襲、突撃だけではない知波単の底力は、画面の前の我々をも動揺させる。

 大洗はとんでもないバケモノを生み出してしまった。戦車道の勢力図を塗り替えかねないダークホースの誕生に身震いすると共に、またしても生殺しエンド…。エンドロールが始まった瞬間の、劇場の全員が息を吞む一体感が忘れられません。おそらく全員「ここで!?!?」と脳内で叫んだでしょう。また一つ死ねない理由ができた。

そんなことよりウチのエリカがですね

 みんな、逸見エリカは好きかい?言わなくてもいい、わかってる。ワニだとか西住サンドだとかネタ方向で話題になるけれど、それは愛情の裏返しだって知ってるから。ガルパンおじさんは照れ屋。

 西住まほがドイツに旅立つ今、エリカは黒森峰の隊長として闘っている。絶対王者である黒森峰、しかし夏の優勝を二度も逃しており、その中心にいた西住みほは夏の優勝校の隊長。エリカは黒森峰の復権を担う大役を、頼れるまほ抜きで背負わなければならない。そのプレッシャーは、想像しがたいほどに重いものだろう。

 彼女に仲間はいるだろうか。支えてくれるチームメイトはいるだろうか。3年生が出そろった今回の大会にて、唯一隊長を引き継ぐ形になったエリカの初陣は、途方もない茨の道。勝ち上がった末の闘いは、おそらくみほ率いる大洗との勝負。絶対に負けられない、意地でも勝たなくてはならない。もしそれに負けたら、彼女は戦車道を続けられるだろうか―。

 そんなことに思いを馳せてしまうほどに、中盤の演技には鬼気迫るものがあった。感情を押し殺したような射撃の号令、息遣い。エリカの孤高の闘いに、せめて救いがありますようにと、願わずにはいられない。

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